「通信制って、修学旅行ないんでしょ?」
お子さんにこう言われて、答えに詰まって検索した保護者の方。あるいは「青春っぽい行事を諦めたくない」と思いながら調べている本人。N高の修学旅行の答えは、少しだけ複雑です。
先に整理して言います。「修学旅行」という名前の行事は、公式の学校案内には見当たりません。でも、実質それにあたる泊まりの行事はあります。 しかも、うちの店で働くN高生が何週間も前から楽しみにしていたくらいには、ちゃんと「楽しみな行事」として機能しています。
私は通信制高校の卒業生で、店では現役のN高生4人と働いています。私の学生時代には泊まりの行事なんてなかったので、正直、この話を聞いたときは驚きました。公式資料の中身と、在校生から聞いた実際を整理します。
「修学旅行はない」は半分だけ正しい
まず、言葉の整理からです。
私は資料請求して届いた公式の学校案内(2026年版)を通しで読みましたが、「修学旅行」という行事名はどこにも出てきません。だから「N高に修学旅行はない」という答えは、名前の上では正しいことになります。
でも、それで終わると実態を見誤ります。
本校スクーリングとは、2年次に在籍校の本校へ行って数日間の授業を受ける、宿泊型の必修行事です。 そしてその中身が、授業だけではないんです。公式資料の日程例には、観光地の見学や土地の文化体験がしっかり組み込まれています。
つまり、「全員で遠くへ行って、泊まって、授業もあるけど観光もある」——構造としては修学旅行そのものです。名前が違うだけ、と言っていいと思います。
3校それぞれ、どこで何をするのか
公式の学校案内(2026年版)に載っている日程例を、3校分まとめます。ここはWeb上でほとんど整理されていない情報です。
| N高(沖縄・伊計本校) | S高(茨城・つくば本校) | R高(群馬・桐生本校) | |
|---|---|---|---|
| 日数の例 | 5日 | 4日 | 4日 |
| 授業の例 | 体育=ビーチバレー・モルック、家庭科=ちんすこう作り | 通常授業+見学 | 通常授業+見学 |
| 課外活動の例 | 首里城・紅型の染色・ハーリー・バナナボート・エイサー鑑賞 | JAXA筑波宇宙センター・地図と測量の科学館・筑波山神社・ブルーベリー染色 | 富岡製糸場(世界遺産)・群馬サファリパーク・織物染物体験・坐禅 |
| 集合場所の例 | 那覇空港 | 東京駅 | 東京駅または高崎駅 |
体育の授業がビーチバレーで、家庭科がちんすこう作り。「授業」の枠を使って、その土地でしかできないことをやる設計です。正直、私はこの日程表を読んで、いい意味で「授業とは……?」と思いました。
なお、これはあくまで公式資料に載っている日程例です。年度によって内容は変わり得るので、実際の詳細は入学後の案内で確認してください。宿泊先や持ち物を含むスクーリング全体の仕組みはN高のスクーリングは年何日?に別でまとめています。
在校生は、実際どう受け止めているのか
制度の説明より、こちらのほうが知りたい方も多いはずです。
「通信制=行事がない=青春がない」というイメージで諦めかけている子がいたら、ここは伝えてあげてほしい部分です。少なくとも、泊まりの行事を楽しみに待つN高生は実在します。 うちの店にいます。
ついでに書いておくと、人とつながる機会は年に一度の行事だけではありません。日常のほうにはネット上でやる部活があって、行事とは別の種類の居場所になっています。
参考までに、20年前の通信制の「行事」
比較対象として、私の時代の話も置いておきます。いまの充実ぶりが伝わると思うので。
行事は「思い出」だけの話ではありません
もうひとつ、意外と知られていない実務の話を挟みます。
高校卒業の要件には、特別活動への参加が含まれています。 公式の学校案内(2026年版)によると、卒業までに30単位時間以上の特別活動が必要です。
つまりホームルームや行事への参加は、思い出づくりであると同時に、卒業要件の一部でもあります。「行事は全部スルーでいい」と考えている子は、この必要時間だけは頭に入れておいてください。何がどこまで特別活動に数えられるかは学校の運用によるので、詳しくは入学後の案内や個別相談での確認が確実です。
本校スクーリングが必修とされているのも、この構造の中にあります。「行かなくてもいいけど行くと楽しい」ものと、「卒業に必要」なもの。行事と一口に言っても2種類あることは、入学前に知っておいて損がありません。
費用の話:2年次に出費の山が来ます
楽しい話のあとに現実的な話をします。ファイナンシャル・プランニング技能士2級として、ここは外せません。
金額そのものは時期や地域で変わるため断定しませんが、「2年次=宿泊行事の年」と覚えておくだけで、家計の準備はまったく変わります。学費全体の構造はN高等学校の学費はいくら?で整理しています。
泊まりが不安な子のために
「楽しみ」side だけでなく、逆側にも触れておきます。集団での宿泊がつらい子にとって、この行事は楽しみどころか壁に見えるはずです。
2つ、知っておいてほしいことがあります。
1つ目。宿泊がどうしても難しい事情がある場合、公式FAQ上は「通学型」という扱いが認められる場合があるとされています。 あきらめる前に、まず学校へ事情を伝えてください。自己判断で「無理だから通信制ごとやめよう」となるのが、いちばんもったいない流れです。
2つ目。スクーリングは、友だちができる場所の第1位です。 公式の学校案内(2026年版)の在校生アンケートで、友だちができたきっかけの1位は「スクーリング会場での交流」でした。年に数回しか集まらないからこそ、全員が「初めまして」に近い状態で始まります。すでにできあがった輪に入っていく場ではありません。
行きたくない気持ちの整理はN高のスクーリングに行きたくないときに、当日の持ち物はN高スクーリングの持ち物リストに書きました。
保護者の方の心配ポイントも先回りしておきます
宿泊行事について、親側の心配は本人とは別のところにあると思うので、実務としてまとめておきます。
1つ目は、見方を変えればそれ自体が経験でもあります。同世代が集まる場所へ、自分で移動して合流する。過保護に潰すより、準備を手伝って送り出す種類のものだと私は思います。行きと帰りの移動まで含めて、この行事はできています。
バーチャル修学旅行という選択肢もあります
もうひとつ、N高らしい行事を紹介しておきます。
公式サイトのお知らせによると、N高グループは「バーチャル修学旅行」というオンライン行事を実施した実績があります(公式のお知らせ 2026年8月12日確認)。VRアプリを使って、世界の名所を仲間と一緒に巡るという企画です。群馬の名所をバーチャル空間で巡る回の開催案内も公式サイトに出ています。
「バーチャルで修学旅行なんて」と感じる方もいるかもしれません。ただ、私はこれを「宿泊行事に参加しづらい子にも、共有できる思い出の機会を用意している」と読みました。体調や事情で泊まりに行けない子が、行事そのものから締め出されない設計になっている。
リアルの宿泊行事と、バーチャルの行事。どちらか一方ではなく両方あることが、この学校の行事設計の特徴だと思います。
よくある質問への補足
上のFAQに加えて、細かい点をいくつか。
通学コースだと、行事は増えますか。
公式サイトのブログには、通学コース生向けの沖縄研修旅行の実施記録があります。年度によって実施内容は変わるため、最新の状況は個別相談で確認してください。
行事への参加は強制ですか。
本校スクーリングは卒業に必要な必修行事ですが、公式の学校案内によると、文化祭やネット遠足などのイベントへの参加は任意です。行事が好きな子は参加し、苦手な子は必修だけでいい、という設計です。
親も同行できますか。
公式資料に保護者同行の記載は見当たりませんでした。気になる場合は学校へ直接確認してください。
まとめ
「N高に修学旅行はあるか」への答えは、「名前としては無いが、実質としてはある」です。
- 公式の学校案内2026年版に「修学旅行」という行事名は載っていません
- かわりに2年次の本校スクーリングが、観光・体験を含む実質的な宿泊行事です
- 行き先は沖縄(N高)・つくば(S高)・桐生(R高)。ビーチバレーの体育やJAXA見学まで、中身は学校案内に載っています
- うちの店のN高生は、この行事を何週間も前から楽しみにしていました
- 交通費・宿泊費は実費。2年次に出費の山が来ます
- 宿泊が難しい場合は「通学型」が認められることもあるとされています。あきらめる前に相談を
- バーチャル修学旅行というオンライン行事の実績もあります
この行事の詳細な日程例が載っているのは、資料請求で届く学校案内です。私が実際に請求したときの流れはN高に資料請求してみたに記録しました。「うちの子の場合、集合場所までいくらかかるか」を考える材料としても使えるはずです。名前が何であれ、泊まりの行事を楽しみに待てる高校生活は、いまの通信制でちゃんと成立しています。
