「第一学院って、やばいの?」
通信制高校を調べていると、学校名と一緒に「やばい」という言葉が出てくることがあります。第一学院高等学校も、検索すると「やばい」「学費 高い」「スクーリング 行きたくない」といった言葉が並びます。
「第一学院高等学校がやばい」と言われるとき、その中身は、学費・スクーリング・株式会社立であること・入試・国の点検調査など、いくつかの話が混ざっています。 この記事では、それを一つずつ分けて、公式サイト、学校が公表している学校概要のPDF、所轄の市が公表している学校評価報告書で確かめました。口コミや知恵袋は「何が言われているか」の把握だけに使い、事実の根拠にはしていません。
書いているのは、中学で学校に行けなくなり、別の通信制高校を出た店長です。いまは自分の店で、N高の生徒たちを雇っています。最後にN高との違いも並べます。
第一学院高等学校とは
第一学院高等学校とは、株式会社ウィザスが設置する、全国から入学できる通信制・単位制の高校です。 まず、基本の情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置者 | 株式会社ウィザス(構造改革特区の株式会社立) |
| 本校 | 茨城県高萩市(高萩校)・兵庫県養父市(養父校) |
| 課程 | 通信制・単位制(広域) |
| 在籍者 | 8,776名(高萩5,280名・養父3,496名。2026年5月1日時点の学校概要から当サイトで合算) |
| キャンパス | 68(2026年4月時点・提携キャンパス・グループ内キャンパスを含む) |
| コース | 本校通学、スタンダード(最大週5日)、ベーシック(最大週2日)、プレミアム(週5日)、専門、オンラインのMobile HighSchool など |
(出典:第一学院高等学校「学校概要」と2026年度学校概要PDF。2026年10月17日確認)
沿革によると、もとは1985年に創設された大検(いまの高卒認定)の予備校「第一高等学院」で、2005年に高萩市、2008年に養父市に通信制高校を開き、2012年に「第一学院高等学校」へ名前を変えました。文部科学省の通信制高等学校情報発信サイトでも、在籍生徒数の多い通信制高校の一つです(全国の生徒数ランキングは通信制高校の人気ランキングにまとめています)。
「やばい」と言われる中身を、資料で分けてみる
検索で言われていることを、公式・公的な資料で確かめた結果です。
| 言われていること | 資料で確かめたこと | 判定 |
|---|---|---|
| 株式会社の学校だから怪しい | 設置者は株式会社ウィザス(構造改革特区)。卒業資格は全日制と同じ高卒。就学支援金の対象校 | 誤解 |
| 学費が高い | 本校分は年375,300円で、授業料の単価はN高と同じ。通学コースは別に指導料がかかり、支援金の対象外 | 一部事実 |
| 学費がよく分からない | コース別の金額は公式サイトになく、資料・募集要項で案内 | 事実 |
| スクーリングが泊まりで遠い | 所属する本校で、宿泊型の行程。運営費と交通費が別にかかる | 事実 |
| 偏差値が低い | 学力試験をしないので、偏差値がない | 誤解 |
| 入試で落ちる | 面接と作文の選考がある。不合格率は非公表 | 一部事実 |
| 国から指摘を受けた | 2024年の点検調査で、養父校が18項目の指摘を受けた(養父市の公表資料)。学校は改善を重点目標に | 事実 |
| 卒業できない人が多い | 卒業者数・退学者数は公表されているが、卒業率は非公表 | 確認できず |
| いじめがある | いじめ防止の方針は公開。件数は非公表 | 確認できず |
| 荒れている | 「細かな校則はない」「服装は自由」は公式。荒れているという資料はない | 誤解(校則が緩いのは事実) |
(判定は当サイトによるもの。根拠は下の各章と出典。2026年10月17日確認)
ここからは、それぞれをもう少し詳しく書きます。
株式会社の学校なのは本当?
本当です。ただし、それで卒業資格が変わるわけではありません。 第一学院高等学校の設置者は株式会社ウィザスで、構造改革特区の制度を使って、株式会社が高校を設置しています。茨城県の私立学校のページでも、設置者は「株式会社ウィザス」とされています。
公式のよくある質問では、卒業資格は全日制高校と同じとされていて、国の就学支援金の対象校でもあります。株式会社立の学校は、所轄が県ではなく特区の市(高萩市・養父市)になり、市が毎年「学校評価報告書」を公表しています。高萩市の令和6年度の学校評価報告書には、株式会社立は学校法人立に比べて「税制面・私学助成面において圧倒的な差異があり、学校経営の原資は、生徒・保護者の純粋な学費に因るところとなっている」と書かれています。
学費は高い?N高と比べると
本校分は、N高とほぼ同じ水準です。 2026年度の学校概要PDFに載っている本校分の学費は、次のとおりです(高萩校・養父校とも同額)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金(入学年次のみ) | 10,000円 |
| 授業料(1単位12,000円・25単位の場合) | 300,000円 |
| 施設設備費・指導関連費 | 65,300円 |
| 合計 | 375,300円 |
(出典:第一学院高等学校 2026年度学校概要PDF。2026年10月17日確認。別に入学検定料10,000円。このほかに本校集中スクーリングの運営費8,635円×泊数と交通費、コース別の指導料がかかる)
授業料の1単位12,000円は、N高(普通科)と同じ単価です。就学支援金は1単位13,668円まで出るので、授業料の部分はほぼまかなえる計算になります。入学手続きのときは、就学支援金の相当額を差し引いた額を納める形と案内されています。
高くなるのは、キャンパスに通うコースの「指導料」です。 公式の就学支援金のページには、支援金の対象は通信制課程の授業料で「入学金/施設設備費/特別指導料/指導関連費は対象外」とあります。コース別の指導料の金額は公式サイトに載っておらず、よくある質問は「詳しくは別途資料をご確認ください」としています。
| 比べる項目 | 第一学院 | N高グループ |
|---|---|---|
| 入学金 | 10,000円 | 10,000円 |
| 授業料の単価 | 1単位12,000円 | 1単位12,000円(普通科) |
| 年あたりの諸費 | 65,300円(施設設備費・指導関連費) | 63,000円(施設設備費50,000円・教育関連諸費13,000円) |
| 通学コースの上乗せ | コース別の指導料。金額は公式サイトに非掲載。支援金の対象外 | 週5リアル初年度の合計1,028,000円など、募集要項で公表。支援金の対象外 |
(N高は2027年度生徒募集要項。詳しくはN高等学校の学費はいくら?に)
自宅中心のコースどうしなら、本校分の学費はほぼ同じです。通学コースでどちらが高いかは、第一学院の指導料の金額が分からない限り比べられません。 通学型を考えているなら、両方の資料で金額を並べて確かめるのが確実です。
スクーリングは泊まりで遠い?
所属する本校で、宿泊型のスクーリングがあります。 公式のよくある質問では、スクーリングは「ご自身が所属する本校(高萩本校もしくは養父本校)で参加いただきます」とされています。2026年度の高萩校の計画では、4〜6日間の宿泊型の行程が組まれていて、本校分の学費とは別に、運営費8,635円×泊数と交通費がかかります。本校通学コースは、通学がスクーリングになるので宿泊はありません。
公式サイトに載っている生徒の声には、「年1回宿泊型のスクーリングがあり、最初は緊張しましたが、3泊の中で自然と仲間と話せるようになりました」という言葉があります。泊まりのスクーリングは、負担にもなる一方で、友達ができるきっかけにもなります。
N高のスクーリングは、本校(N高は沖縄)でのスクーリングが原則として在学中に1回(2年次)で、1・3年次は全国の拠点の会場です。日数や費用の違いはN高のスクーリングは必須?にまとめています。
偏差値が低い?入試で落ちる?
偏差値はありません。 第一学院の選考は「面接(本人および保護者)・作文」による総合判定で、筆記試験はありません(スポーツコースは別に学力試験・実技試験あり)。学力試験をしない学校には偏差値という物差しが当てはまらないので、「偏差値が低い」のではなく「ない」が正確です。オンラインのMobile HighSchoolは書類選考のみです。
選考がある以上、不合格の可能性はゼロではありませんが、不合格率や倍率は公表されていません。入学者の受け入れ方針には、「『学びたい』,『高校を卒業したい』という強い意志を持った生徒」「通信制で学ぶ基本となる『時間の管理』ができる生徒」などが挙げられています。N高の入試の仕組みはN高等学校の偏差値は?で整理しています。
国の点検調査で指摘を受けたのは本当?
本当です。所轄の養父市が公表している資料に書かれています。 養父市の「令和5年度 第一学院高等学校養父校 学校評価報告書」(2024年8月26日)には、2024年7月10日に文部科学省・内閣府・NPO法人全国通信制高等学校評価機構が行った点検調査で、養父校が「18項目に渡って指摘を受け」たと書かれています。
同じ報告書に書かれている指摘の例は、次のようなものです。
- 面接指導(スクーリングの授業)の時間数を、一律に10分の8まで減らして実施していた
- 一部の科目で、40人を超える人数で面接指導をしていた
- 時間割が1日9単位時間と長時間に設定されていた
- 一部の科目で、特区の区域の外で試験を実施していた
- サポート施設の教職員を、本校の教育に従事する者として扱っていた
(出典:養父市「令和5年度 第一学院高等学校養父校 学校評価報告書」。2026年10月17日確認)
養父市の令和4年度の報告書には、2017年5月の点検調査でも指摘を受けたことが書かれていますが、令和5年度の報告書は、そのときの指摘への対応が「依然として不適切な状況にある」とした国の評価を載せています。今回の指摘に対しては、学校が2025年度の学校評価で「『高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン』遵守の確立(仕組み化)」や「実施校所属人員配置増」を重点目標に掲げています。2026年度の高萩校の実施計画では、面接指導の時間を減らす割合が5割程度の科目も見られます(すべての科目は確認していません。指摘を受けた養父校の計画は確認していません)。
改善が完了したかを第三者が確かめた資料は、今回は見つかりませんでした。 また、この指摘は養父校についてのもので、高萩校が同時に点検を受けたかは確認できませんでした。大手の報道で、第一学院の不祥事や行政処分の記事は見つかりませんでした。
通信制高校の授業の質については、国が広域通信制高校への点検を行っています。気になる場合は、説明会や個別相談で「スクーリングの時間数や面接指導の人数はどうなっているか」を直接聞いてみるのが確実です。
卒業できる?進路は?
卒業率は公表されていません。 公式のよくある質問は「卒業要件を満たせば、全日制の高校同様に3年間で卒業可能です」としています。学校概要PDFには、2025年度の卒業者が高萩校2,298名・養父校1,514名、合わせて3,812名と載っています。同じPDFには、2025年度の退学者が2校で261名、転学者が122名とも載っています。ただし、在籍者数の時点と年度がずれているので、ここから退学率を計算することはできません。
公式の進路実績(2026年)は、大学等1,467名、専門学校等1,154名、就職等543名です。この数字は学校概要PDFの2025年度卒業者の進路の内訳と一致し、進学と就職を合わせると卒業者の約83%になります(当サイトの計算)。ただし、分母や「その他」の扱いがN高の「進路決定率」と同じとは限らないので、学校どうしで率を比べることはできません。
校則・雰囲気は?
いじめ防止の基本方針が公開されていて、年2回の学校生活アンケートや、いじめ防止委員会の設置が書かれています。件数は公表されていないので、「いじめがある」「ない」はどちらも資料からは言えません。気になる場合は、個別相談で「困ったときに相談できる窓口は誰か」「アンケートのあとの対応はどうなっているか」を聞いてみてください。
公式のよくある質問では、「細かな校則はありません」「制服は用意していますが、服装は自由です」とされています。校則がゆるいことと、学校が荒れていることは別の話で、荒れているという資料は見つかりませんでした。キャンパスの在籍人数は「100人~350人と幅があります」とされています。新しく入る生徒の学校生活の立ち上がりを、在校生の「ピアサポーター」が手伝う仕組みもあると案内されています。
第一学院とN高、どう選ぶ?
ここまでの事実をもとに、2校の違いをまとめます。
| 項目 | 第一学院 | N高グループ |
|---|---|---|
| 設置者 | 株式会社ウィザス(株式会社立) | 学校法人角川ドワンゴ学園 |
| 本校 | 茨城県高萩市・兵庫県養父市 | N高は沖縄(S高は茨城・R高は群馬) |
| 学費(本校分) | 年375,300円(支援金前) | 年373,000円相当(支援金前) |
| 通学コースの学費 | 公式サイトに非掲載(募集要項で案内・当サイトは未入手) | 公式サイトの募集要項PDFで公表 |
| スクーリング | 所属する本校で宿泊型(2026年度の行程は4〜6日間) | 原則2年次に沖縄(N高)で1回(4泊5日)。1・3年次は全国の会場 |
| 入試 | 面接(本人+保護者)・作文 | ネット・オンラインキャンパスは書類選考、リアルキャンパスは書類+筆記+面接 |
| 進路の公表 | 人数で公表、卒業率は非公表 | 進路決定率・卒業率を公表 |
(N高の数字は当サイトの各記事と2027年度生徒募集要項。2026年10月17日確認)
学校を選ぶときに、私がいちばん大事だと思うのは「通う日数と、泊まりの行事に本人が耐えられそうか」です。
通う日数やスクーリングの形は、学校によって本当に違います。第一学院は通学の日数をコースで選べて、よくある質問では「登校日や登校日数は、いつでも変更可能です」とされています。一方で、所属する本校での宿泊型のスクーリングがあります。N高はネットコースなら日常の通学はありませんが、スクーリングは年7〜10日程度あり、本校での宿泊型は原則2年次の1回です。本人がどこまでなら通えそうかを、学費と同じくらい大事な物差しにしてください。
毎年の本校スクーリングを友達づくりの機会と取れる・面接で本人と保護者が話す選考のほうが安心なら第一学院寄り、本校での宿泊は在学中1回に抑えたい・通学分の金額を出願前に公開資料で見積もりたいならN高寄り、という分け方が一つの目安です。どちらが合うかは家庭と本人によるので、両方の資料を取り寄せて、同じ項目で並べてみるのが早道です。N高の資料で何が届くかはN高に資料請求してみたに書いています。
ほかの通信制高校の「やばい」の中身は、トライ式高等学院は「やばい」?、KTCおおぞら高等学院は「やばい」?でも同じように確かめています。
まとめ
- 第一学院高等学校は、株式会社ウィザスが設置する株式会社立の通信制高校。本校は高萩と養父。株式会社立でも卒業資格は全日制と同じ
- 本校分の学費は年375,300円で、授業料の単価はN高と同じ。通学コースの指導料は公式サイトになく、支援金の対象外
- スクーリングは所属する本校で宿泊型。運営費と交通費が別にかかる
- 偏差値はない。選考は面接と作文
- 2024年の国の点検調査で、養父校が18項目の指摘を受けた(養父市の公表資料)。学校は指針の遵守を重点目標に掲げている
- 卒業率・いじめの件数は非公表。気になる点は、説明会や個別相談で直接確かめるのが確実