「フリースクールって、月にいくらかかるんだろう」

お子さんが学校に行けなくなって、居場所を探しはじめた親御さんが最初につまずくのが、この費用の話だと思います。公立の学校なら授業料はかかりません。フリースクールは民間なので、月謝がかかる。それはわかっていても、相場がつかめないと見学の予約ひとつ入れにくいものです。

私は通信制高校の卒業生で、いまはFP(ファイナンシャルプランナー)2級を持って店と会社を経営しています。中学では不登校でした。この記事では、フリースクールの費用を国と自治体が公開している資料だけで整理し、家計の目線で「何にいくらかかり、何で軽くできるのか」をまとめます。

先にお伝えしておくと、フリースクールの費用を全国規模で調べた文部科学省の調査は、確認できた範囲では2015年のものが最新です。古い数字であることを前提に、相場の「形」をつかむ材料として読んでください。

フリースクールの費用は月いくら?

平均は月約3万3千円です。 フリースクールとは、学校に行っていない子どもが通う、民間の学びの場や居場所のことです。文部科学省が全国のフリースクールなどにアンケートをとった「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(調査時点 平成27年3月・回答319団体)に、会費(授業料)の分布が載っています。

月謝(会費)の額団体数割合
5,000円以下259.5%
5,001〜10,000円155.7%
10,001〜30,000円10038.2%
30,001〜50,000円9536.3%
50,001円以上2710.3%
平均(262団体)約3万3千円

(出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」 p.14・2026年10月5日確認)

この表を見るときに、FPとして気をつけてほしい点が2つあります。

1つ目は、平均の出し方です。調査の注記によると、平均は「会費の合計 ÷ 会費無しを除いた数」で計算されています。つまり無料の団体は平均に入っていません。また、月単位では会費をとらない団体(通った日ごとに利用料を払う形など)が49か所あり、これも表には入っていません。「平均3万3千円」は「月謝制のところの真ん中あたり」と読むのが正確です。

2つ目は、幅が広いことです。1〜3万円と3〜5万円がそれぞれ4割弱で、合わせて4分の3が1〜5万円の間に入ります。その中のどこに集まっているかまでは、この調査からはわかりません。見学先の月謝が2万円でも4万円でも、どちらも珍しい額ではない、と読んでください。

小さな団体が多い

同じ調査では、1団体あたりの小・中学生の在籍は平均約13.2人、「1〜5人」の団体が約4割、20人以下が全体の8割強でした。運営しているのはNPO法人が45.8%で最も多く、任意団体21.9%、個人9.7%、公益・一般社団・財団法人8.8%、株式会社などの営利法人8.5%、学校法人2.2%と続きます。

数人の子を個人やNPOが見ている場所と、企業や学校法人が大きく運営している場所が、同じ「フリースクール」という言葉でくくられています。費用の差が大きいのは、この中身の差が出ているのだと考えられます。

入会金と、月謝以外にかかるお金

入会金の平均は約5万3千円です。 ただし分布はかなり散らばっています。

入会金の額団体数割合
5,000円以下2713.9%
5,001〜10,000円3618.6%
10,001〜30,000円6131.4%
30,001〜50,000円3518.0%
50,001〜100,000円115.7%
100,001円以上2412.4%

(出典:同調査 p.14。入会金を徴収していない団体は別に123か所)

平均を押し上げているのは、10万円を超える12.4%の団体です。いちばん多いのは1〜3万円の層で、そもそも入会金をとらない団体が123か所あります。入会金の有無は、見学のときに最初に聞いてよい項目です。

月謝と入会金のほかにも、家計から出ていくお金があります。

費用公的資料でわかること
その他の納付金(教材費・施設費など)会費・入会金以外の納付金をとる団体は36.4%(6割強はとらない)。東京都の補助では入会金・施設維持費・教材費は対象外
交通費条件を満たせば通学定期が使える(後述)
昼食・行事・合宿団体ごと。姫路市の補助では飲食費・課外活動費は対象外
パソコン・端末オンライン型や学習中心の施設で必要になることがある(例:N中等部はMacBook Airを自己手配)

一方で、会費の減免制度がある団体は45.2%でした(会費をとっている団体のうち)。どんな場合に下がるかは団体ごとですが、半数近くが何らかの減免を持っているので、家計の事情は遠慮せずに聞いてかまいません。

文部科学省が示している民間施設のガイドライン(試案)にも、「入会金,授業料(月額・年額等),入寮費(月額・年額等)等が明確にされ,保護者等に情報提供がなされていること」という項目があります。料金を聞いたときに説明があいまいな施設は、それだけで判断材料になります。

1年間でいくらになる?家計で見る試算

月謝と入会金の公的な数字をもとに、1年間の目安を出してみます。交通費・教材費・行事費は含めていません。

ケース月謝入会金初年度2年目以降(年)
平均どおり33,000円53,000円449,000円396,000円
月2万円の施設20,000円20,000円260,000円240,000円
月4万円の施設40,000円50,000円530,000円480,000円
月4万円+東京都の補助(月2万円)実質20,000円50,000円290,000円240,000円

※月謝×12か月+入会金で計算(筆者試算)。入会金は2行目以降、仮の額です。補助は入会金に使えません。東京都の助成は、学校が確認した利用状況報告を出したあとに四半期ごとに支給される後払いなので、毎月の支払い自体は満額を立て替えることになります。

FPの立場から見ると、この金額は「1回で払う大きな額」ではなく「毎月の固定費」として効いてきます。しかも不登校の期間は、どれくらい続くかが最初にはわかりません。

ですから家計の計画としては、「いくらまでなら半年続けられるか」を先に決めておくのがおすすめです。高い施設が悪いわけではありませんが、続けられない額で始めて、途中でやめざるを得なくなるのが、子どもにも親にも負担が大きい形です。

費用を軽くする制度はある?

国が全国一律で費用を補助する制度は、2026年10月時点ではまだありません。 不登校の子の学びを支える「教育機会確保法」(2016年成立)は、国と自治体に情報提供や助言などの支援を求めていますが、費用そのものについては附則で「経済的支援の在り方について検討を加え」と書かれているにとどまります。

そのかわり、自治体が独自に補助しているところがあります。代表的な例を並べます。

自治体補助額主な条件
東京都利用料に月2万円まで都内在住の不登校の小・中学生。日中にフリースクール等に通所。入会金・施設維持費・教材費は対象外。要件に出席扱いの記載はない
港区(東京都への上乗せ)利用料の1/2から都の助成額を引いた額(月2万円まで)都の助成の交付決定を受けている港区在住の家庭
三重県利用料の1/2(月1万5千円まで)生活保護・就学援助・住民税非課税・児童扶養手当の世帯。オンラインのフリースクールは対象外
姫路市対象経費の1/2(月1万円まで)在籍校の校長が出席扱いを認定していること。入会金・交通費・飲食費は対象外

(出典:東京都生活文化局、港区、三重県、姫路市の各公式ページ・いずれも2026年10月5日確認)

並べてみると、同じ「フリースクールの補助」でも、誰が対象か・出席扱いが要るか・オンラインが対象かが自治体ごとにまったく違います。

東京都の補助は令和7年度に3,757件の交付が決まっています。助成を受けるには交付申請と3か月ごとの利用状況報告が必要で、令和8年度分は令和9年2月12日まで申請でき、令和8年4月分までさかのぼれます。保護者の要件には「子供が在籍する学校と日常的に連絡を取ることができる方」とあり、学校との連絡が前提になっている点は押さえておいてください。

なお、在籍校を通じて受ける就学援助(学用品費・通学費・学校給食費などの補助)は、国が示す補助対象品目にフリースクールの利用料は入っていません(文部科学省「就学援助制度について」 2026年10月5日確認)。ただし三重県のように、就学援助や住民税非課税の世帯をフリースクール補助の対象にしている自治体はあります。

お住まいの地域に制度があるかは、「(市区町村名) フリースクール 補助金」で検索すると、自治体の公式ページが出てくることが多いです。見つからなければ、教育委員会か在籍校に聞くのが早道です。

通学定期が使える条件

フリースクールに電車で通う場合、条件を満たせば通学定期が使えます。 1993年(平成5年)の文部省の通知で、学校外の施設に通う不登校の小・中学生にも通学定期を発売する扱いが始まりました。

条件は、在籍校の校長が、その施設で相談・指導を受けた日を「出席扱い」にしていることです。JR東日本の場合は「実習用通学定期」という仕組みを使い、申請するのは保護者ではなく在籍校(校長)です。JR東日本の公式ページには、この扱いが小・中学校と高校までに適用されること、申請から承認番号の通知までに約2週間かかることが書かれています。

つまり、駅の窓口で親が直接買えるものではありません。出席扱いの相談とセットで、学校に「通学定期の手続きもお願いできますか」と聞く流れになります。ほかの鉄道会社やバスの扱いは各社の規定によるので、利用する会社に確認してください。

税金で戻ってくるお金は?

フリースクールの費用が医療費控除の対象になるかについて、国税庁の個別の回答は確認できませんでした。国税庁が示す医療費控除の対象は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」などで、フリースクールのような学びや居場所の利用料にあたる項目は挙がっていません。所得税には、教育費をそのまま差し引ける控除もありません。

ですから家計の計画では、控除で戻ってくるお金はないものとして組むのが無難です。医療機関の治療の一環として通う場合など、個別の事情があるときは税務署に確認してください。

「出席扱い」になるのはどんなとき?

出席扱いにするかどうかは、在籍校の校長が判断します。 フリースクールに通えば自動で出席になるわけではありません。

根拠は、文部科学省が2019年(令和元年)に出した「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知です。別記で、学校外の施設で相談・指導を受けている場合の扱いが定められています。

当該施設における相談・指導が不登校児童生徒の社会的な自立を目指すものであり,(中略)円滑な学校復帰が可能となるよう個別指導等の適切な支援を実施していると評価できる場合,校長は指導要録上出席扱いとすることができる。

(文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記1 2026年10月5日確認)

あわせて、要件として次の3つが挙げられています。

最後の「通所または入所」がポイントで、この別記はフリースクールに通うことを前提にしています。自宅でのオンライン学習は別の枠組みで扱われます。

実際に出席扱いになっている子はどれくらいいるのか。令和6年度の国の調査では、学校外の機関などで専門的な相談・指導を受けて出席扱いになった小・中学生は42,978人でした(前年度38,632人)。ただしこの数字は教育支援センターなども含んだ合計で、民間のフリースクールだけで出席扱いになった人数は公表されていません。2015年の文科省調査では、フリースクールに在籍する小・中学生のうち在籍校で出席扱いになっている割合は55.8%でした。

費用の話をしている記事でここまで書くのは、出席扱いがお金に直結するからです。通学定期が使えるか、姫路市のように補助の条件を満たせるかが、ここで決まります。出席日数は高校受験の調査書にも関わってきます(不登校からの高校受験は内申点と出席日数の影響を整理した記事で詳しく扱っています)。

入会を決める前に、在籍校の担任や校長に「この施設に通った場合、出席扱いを検討してもらえますか」と聞いておくのが、あとで困らない順番です。

無償の選択肢:教育支援センターとの違い

フリースクールの費用が重いと感じたら、先に教育支援センターを調べてみてください。教育委員会などが設置する公的な施設で、さきほどの令和元年の通知では、教育支援センターについて「不登校児童生徒の無償の学習機会を確保し」と書かれています。

教育支援センター民間のフリースクール(参考)N中等部
運営教育委員会など(公的機関)NPO・任意団体・個人・企業など学校法人角川ドワンゴ学園
費用国の通知で「無償の学習機会」と位置づけ月謝平均約3万3千円・入会金平均約5万3千円(2015年)通学コース週5日:月73,700円+設備管理費 月11,000円、入会金110,000円/ネットコース:月40,700円、入会金22,000円
出席扱い通知で施設の基本とされている校長の判断在籍校の判断(公式FAQでは、了承があれば学習状況等報告書を在籍校へ送るなど連携すると説明)
籍在籍校のまま在籍校のまま在籍校のまま(学校教育法第一条の中学校ではない)

(N中等部の金額は公式サイト「通学コース 学費」・「ネットコース 学費」より。いずれも税込・2026年10月5日確認。PCは自己手配)

国の調査では、令和6年度に学校外で専門的な相談・指導を受けた不登校の小・中学生のうち、教育支援センターが32,240人、民間団体・民間施設が18,566人でした。民間の利用は5年前(令和元年度 6,328人)の約3倍に増えていますが、人数でいえば公的な教育支援センターのほうがまだ多い、という状況です。

教育支援センターにも、合う・合わないはあります。私自身、中学のときに学校の中にあったカウンセラーのような人がいる部屋に何回か行きましたが、居心地がよいとは感じませんでした。公的か民間かより、その場所が本人にとって居られる場所かどうかのほうが大事です。そのうえで、通える範囲に教育支援センターがあるなら、無償の場所から見てみる、という順番は家計の面では理にかなっています。本人がまだ動けない時期なら、順番にこだわる必要はありません。

N中等部は、N高と同じ学校法人が運営している中学生向けの学びの場です。公式サイトには「学校教育法第一条に定められた中学校ではありません」とあり、フリースクールや学習塾と並ぶ「新たな選択肢」として紹介されています。月謝は、上の文科省調査の区分でいうと、ネットコース(月40,700円)が「3〜5万円」の層、通学コース(週5日で月84,700円)が「5万円超」の層にあたります。なお公式サイトには「N中等部に休会制度はなく、当学園所定の手続きにより退会を申し出ることができます」とあり、料金の条件を入会前に明記している例です。

フリースクールで後悔しやすいのは、どんなとき?

「フリースクール やばい」「欠点」と検索する親御さんの不安は、お金のことだけではないと思います。学歴にはならないこと(記事末のよくある質問)、出席扱いが自動ではないこと(前の章)は、ここまでに書きました。ここでは費用の面から、後悔につながりやすいポイントを公的資料の数字で拾います。

どれも「施設が悪い」という話ではなく、入る前に聞けば防げるものです。見学のときに上の5つを聞いて、答えがはっきり返ってくるかどうかを見てください。

いまは自治体の補助があり、国の調査でも民間施設を利用する子が5年で約3倍に増えています。中学のうちに学校以外の場所を使う子は、ここ数年だけでも増えています。

中3になると、お金の話が変わる

ここまでは小・中学生のフリースクールの話でした。お子さんが中3なら、もうひとつ考えておきたいことがあります。中学卒業後の学びの場の費用です。

中学を卒業したあとも、フリースクールに通い続ける道はあります。労働政策研究・研修機構が、中学卒業後の15〜19歳を受け入れる施設(フリースクールやサポート校など)を調べた調査(2018年実施)では、月謝は「1万円〜3万円未満」と「3万円〜5万円未満」が同率の38.2%で最も多く、無料の施設は3.9%でした。中学生向けと同じくらいの負担が、高校の年齢になっても続くことになります。

一方、高校に進むと、国の高等学校等就学支援金が使えます。これは高校などに在籍する生徒の授業料を国が支援する制度で、高校に籍を置かないフリースクールの月謝には使えません。

たとえば通信制高校のN高等学校の場合、公式サイトに示されたネットコースの「1年間の実質負担金額(モデルケース)」は年額73,000円〜です(公式の注記は「世帯年収などにより異なります」。スクーリング参加費・検定料などは別・2026年10月5日確認)。就学支援金は2026年度から所得制限がなくなっており、この金額に支援金がどう効いているかはN高等学校の学費はいくら?で整理しています。

中学卒業後の学びの場年間の目安
フリースクール(月謝が平均どおりの場合)約40万円(月謝のみ)
通信制高校(N高ネットコースのモデルケース)年額73,000円〜(公式の実質負担額。スクーリング参加費・検定料などは別)

学びの中身もまったく違うので、金額だけで比べるものではありません。ただ、通信制高校は卒業すれば高校卒業資格になるのに対し、フリースクールに通うだけでは資格にはつながりません。家計の面でも資格の面でも、「中学卒業後」は選択肢の構図が変わる、ということは知っておいてよいと思います。通信制高校の仕組みそのものは通信制高校とは?に、N高の学費の内訳も同じ記事にまとめています。

中3の秋は、高校の出願準備が始まる時期でもあります。いまフリースクールを検討している中3の親御さんなら、並行して高校の資料にも目を通しておくと、卒業後の費用と選択肢が一度に見比べられます。N高グループの資料は無料で取り寄せられ、資料請求で実際に何が届いたかは、同梱物の一覧と注意点を別の記事にまとめています。

まだ中1・中2で、いまは学校に行けないこと自体がつらい時期なら、高校の話は急がなくてかまいません。中学生が「学校に行きたくない」と思ったときの記事も、あわせて読んでみてください。

まとめ

  • フリースクールの月謝は平均約3万3千円、入会金は平均約5万3千円(文部科学省・2015年調査)。ただし平均は無料の団体を除いた数字で、月謝は1〜3万円と3〜5万円の2つの山がある
  • 平均どおりなら初年度は約45万円。通わない月の扱い、教材費などの追加費用、減免制度(45.2%の団体が実施)を入会前に確認する
  • 国の費用補助はまだなく、自治体ごとの補助がある。東京都は月2万円まで。条件(出席扱い・所得・オンライン可否)は自治体でまったく違う
  • 出席扱いは在籍校の校長の判断。通学定期や一部の補助の条件になるので、入会前に学校へ相談する
  • 公的な教育支援センターは、国の通知で「無償の学習機会」とされている。先に試してから民間を探す順番は家計にもやさしい
  • 中3からは高校の費用も視野に。高校には就学支援金があり、通信制高校は卒業すれば高校卒業資格になる

フリースクールの費用は、施設を比べるほど「いくらが正解か」がわからなくなる種類のお金です。金額そのものより、続けられる額か、出席扱いや補助とつながるかの2点で見ると、判断がしやすくなると思います。