「高校の志望動機、何を書けばいいんだろう」

志望動機とは、「なぜその学校に入りたいのか」と「入ってから何をしたいのか」を学校に伝える文章のことです。

願書や面接の準備で手が止まって、例文を探しに来た中学3年生の方、あるいはその保護者の方が多いと思います。白い欄を前にすると、何から書けばいいのかわからなくなるものです。

私は中学で不登校を経験し、通信制高校(N高ではない学校です)に進んで卒業しました。いまは店を経営していて、高校生のアルバイトの応募を受ける側にもいます。この記事では、高校の志望動機について、入試要項や国の調査で確かめられることと、書く側・読む側の両方を経験した立場から言えることを分けて整理します。

この記事でわかることは4つです。

  • 高校の志望動機は、どの書類で、どう使われるのか(東京・神奈川・大阪の要項と私立の例)
  • 何を書けばいいのかと、書き出しの型
  • 状況別の例文5つ(部活・学科、私立推薦、夢がまだない、不登校、通信制)
  • テンプレートとの付き合い方と、避けたい書き方

高校の志望動機は、どこで使われますか?

主に、出願書類と面接の2か所です。 ただ、公立高校の場合、志望動機をどの書類に書き、どう扱うかは都道府県ごとに決まっています。代表的な3都府県の令和9年度入試の資料を並べます。

都府県書類の名前志望動機の欄扱い
東京都自己PRカード志望理由や、中学校で取り組んできたことを書く点数化しない。面接の資料として使う。推薦は全員、一般入試は面接を実施する高校の志願者のみ提出
神奈川県面接シート「入学を希望する理由」の欄がある書いてある内容は評価しない。面接の参考資料
大阪府自己申告書志望理由だけの欄はない(「経験・学び・高校でどう生かすか」がテーマ)志願者全員が出願時に提出(日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒の選抜を除く)。一般選抜では総合点を基本に、合否の境目付近で資料にする

(出典:東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」p.6・p.13・p.18、同「東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」p.68、神奈川県 面接シートの見本p.7、大阪府「令和9年度大阪府公立高等学校入学者選抜方針」p.2・p.8、同「選抜の方法(一般入学者選抜・全日制)」。いずれも2026年10月5日確認)

東京都のパンフレットは、自己PRカードについてこう説明しています。

自己PRカードは、志望理由や皆さんが中学校で取り組んできた学習や様々な活動から得たことなど、志望校に最も伝えたいことを記入して提出するものです。

(東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」p.68 Q21)

「点数化しない」「評価しない」と聞くと、手を抜いてもいいように感じるかもしれません。ですが、どちらも面接の資料として使われます。書いた内容をもとに質問される、ということです。東京都の推薦入試の個人面接では、「出願の動機・理由、興味・関心、高校生活に対する意欲」や「自己PRカードの記載内容」などを確かめると書かれています(同パンフレット p.62)。神奈川県では、面接を行う学校で「入学希望の理由」が面接の共通の観点とされ、面接シートや調査書を参考資料にして面接が行われます(基本事項Q&A p.4)。シートの文章そのものは評価されなくても、そこに書いた理由は面接で問われます。

私立高校では、推薦で「志望理由書」を出すことが多い

私立高校は学校ごとに様式が違います。たとえば次のような例があります。

学校書類指定
日本大学高等学校(横浜市)推薦志望理由書720〜800字・学校所定の用紙
慶應義塾高等学校 推薦入学志願書の「志願理由」欄字数指定なし・自筆

(出典:日本大学高等学校「2027年度 募集要項」p.3、慶應義塾高等学校「募集要項/出願書類」。いずれも2026年10月5日確認)

慶應義塾高等学校の志願理由欄は、「なぜ君は本校の推薦入試を受験するのですか。また、君は本校に入学したらどのようなことをしようと思っていますか」と問いかけています。高校が志望動機で知りたいことが、ほぼこの2行に集約されています。

高校の志望動機には、何を書けばいいですか?

「なぜこの学校か」「中学で取り組んだこと」「高校でしたいこと」の3つです。 これは私の考えではなく、今回確認した東京都・神奈川県・大阪府の書類が、それぞれこの3つの中から聞いているからです。

材料公的な書類での聞き方
① なぜこの学校か神奈川県 面接シート「志願する高等学校に入学したいと思っている理由を、できるだけ具体的に」
② 中学で取り組んだこと東京都 自己PRカード「中学校で取り組んできた学習や様々な活動から得たこと」
③ 高校でしたいこと大阪府 自己申告書「それを高等学校でどのように生かしたいと思いますか」

大阪府の自己申告書は、②と③をひとつの問いにまとめた形で聞いています。①の「なぜこの学校か」を直接聞く欄はありません(令和8年度実施要項。令和9年度の要項は2026年10月5日時点で未公表)。

あなたは、中学校等の生活(あるいはこれまでの人生)でどんな経験をし、何を学びましたか。また、それを高等学校でどのように生かしたいと思いますか。できるだけ具体的に記述してください。

(大阪府「令和8年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」全般p.7)

3つの材料を、まずメモで書き出してみてください。文章にするのは、そのあとで構いません。

「その学校の何に惹かれたか」が出てこない場合は、学校のことをまだ十分に知らないだけかもしれません。パンフレット、募集要項、学校説明会の資料には、その学校が大事にしていることが書かれています。志望動機の言葉は、多くの場合そこから見つかります。

書き出しと組み立ての型

書き出しは「私が貴校を志望する理由は、〇〇だからです」と、結論から始めるのが書きやすい形です。 書き出しで悩む人は多いのですが、最初の一文で理由を言い切ってしまうと、あとは説明を足していくだけになります。

組み立ては、次の4段で考えると整理しやすくなります。

  1. 結論

    志望する理由をひとことで(「〇〇を学びたいからです」)

  2. きっかけ

    その学校を知った・惹かれた場面(説明会で〇〇を見た、など)

  3. 中学での経験

    その理由につながる自分の事実(〇〇に取り組んで△△ができるようになった)

  4. 高校でしたいこと

    入学後にどうしたいか、卒業後にどうつなげたいか

書き出しの例をいくつか挙げます。

  • 「私が貴校を志望する理由は、〇〇科で△△を基礎から学びたいと考えたからです。」
  • 「私は、学校説明会で見た〇〇部の練習に惹かれ、貴校を志望しました。」
  • 「私が貴校を志望したのは、〇〇の授業で、中学で興味を持った△△を続けたいと考えたからです。」

「貴校」は書き言葉、「御校」は話し言葉として使い分けるのが一般的です。願書や志望理由書には「貴校」、面接で話すときは「御校」を使えば問題ありません。言いにくければ「こちらの学校」でも通じます。

状況別の例文

ここからは、状況別の例文です。このまま写すのではなく、〇〇の部分と、自分の経験にあたる部分を置き換えて使ってください。 例文は200〜300字前後にしています。字数の指定に合わせて、きっかけや経験の部分で調整します。

例文1:学科・部活に惹かれた場合(公立・全日制)

私が貴校を志望する理由は、〇〇科で情報技術を基礎から学びたいと考えたからです。中学校ではパソコン部に入り、文化祭のポスターを作る係を3年間担当しました。最初は思うように作れませんでしたが、先輩に教わりながら続けるうちに、見る人の立場で考えて作ることの大切さを知りました。学校説明会で、貴校の生徒が授業で作った作品を見て、もっと本格的に学びたいと強く思いました。入学後は、授業と部活動の両方で技術を身につけ、将来は人の役に立つものを作る仕事に就きたいと考えています。

例文2:校風・教育方針に惹かれた場合(私立・推薦)

私が貴校を志望する理由は、「〇〇」という教育方針のもとで、自分から考えて動く力を身につけたいと考えたからです。中学校では生徒会で行事の運営を担当し、意見が分かれたときにどうまとめるかに苦労しました。その経験から、指示を待つのではなく自分で考えて動く力を伸ばしたいと思うようになりました。オープンスクールで、在校生の方が自分たちで行事を企画していると聞き、この学校で学びたいと思いました。入学後は、授業だけでなく行事や委員会にも積極的に関わりたいです。

例文3:将来の夢がまだ決まっていない場合

私が貴校を志望する理由は、幅広い分野を学びながら、自分のやりたいことを見つけたいと考えたからです。私はまだ将来の職業を決められていませんが、中学校の理科の授業で実験の結果を予想して確かめることが好きだと気づきました。貴校には〇〇や△△など選択できる授業が多く、興味のあることを試しながら進路を考えられると知りました。入学後は、興味を持ったことに積極的に取り組み、高校3年間で将来の方向を決めたいと考えています。

夢が決まっていないことは、隠さなくて構いません。「決まっていないから、ここで探したい」は、立派な志望理由です。

例文4:不登校や欠席が多かった場合

私が貴校を志望する理由は、もう一度学校で学びたいと考えたからです。私は中学校で学校に通えない時期がありました。3年生の〇月から△△を始め、少しずつ学習の時間を取り戻しているところです。貴校の説明会で、一人ひとりの状況に合わせて学べる体制があると聞き、ここなら自分のペースで学習を積み重ねられると思いました。入学後は、授業に出ることを積み重ねて、できることを少しずつ増やしていきたいと考えています。

△△には、教育支援センター、塾、家での学習など、いま事実としてあるものを1つ入れます。何もしていなかった時期があるなら、その部分は作らないでください。面接で詳しく聞かれたときに困ります。

不登校の理由そのものを、志望動機の中で詳しく説明する必要はありません。志望動機で伝えるのは「これからどうしたいか」です。欠席の事情を伝えるための欄や書類を設けている県があります(後半で説明します)。

例文5:通信制高校を受ける場合

私が貴校を志望する理由は、自分のペースで学習を進められる学び方が、今の自分に合っていると考えたからです。中学校では毎日決まった時間に通うことが難しい時期があり、決まった時間に行くことより、自分で計画を立てて進める形のほうが続けやすいと感じました。貴校では、レポートやオンラインの授業を自分で計画して進められると知り、この形なら高校の学習を続けていけると思いました。入学後は、計画を立てて単位をきちんと修得し、空いた時間で△△にも挑戦したいと考えています。

通信制高校の面接で聞かれること、志望動機を学校の方針と突き合わせる考え方は通信制高校の面接で聞かれることは?で詳しく扱っています。N高等学校のWeb出願には「志望動機と卒業後の目標」の入力欄があり、その埋め方はN高等学校の受験に落ちることはある?にまとめています。

例文やテンプレートを使っても大丈夫ですか?

型として使うのは問題ありません。ただ、中身まで例文のままだと、読む側に残りにくくなります。

アルバイトの採用と高校入試は別物で、高校が志望動機をどう読んでいるかは、公表されている範囲でしかわかりません。ただ、東京都も神奈川県も、志望動機の書類を「面接の資料」として使うとしています。お手本どおりの文は、面接で「もう少し詳しく教えてください」と聞かれたときに、続きが出てこなくなりやすいと思います。

テンプレートや例文は、順番と言い回しを借りるものと考えてください。〇〇の部分に入る「きっかけ」「中学での経験」は、自分にしか書けません。そこが具体的であるほど、面接でも自分の言葉で話せます。

避けたい書き方

今回確認した東京都・神奈川県・大阪府の要項や選考基準に、「これを書いたら不合格」という項目はありません。そのうえで、面接資料として使われることを前提にすると、次のような書き方は避けたほうが無難です。

面接で志望動機を聞かれたら

書いた志望動機を、そのまま短く話せる形にしておくのが基本です。 文部科学省の「令和7年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」によると、一般入試の面接は、全ての学校・選抜で実施している都道府県が16、一部の学校や選抜で実施している都道府県が31、実施していない都道府県は0でした(p.24)。どの都道府県でも、受ける学校や選抜の種類によっては面接がある、ということです。東京都の推薦入試の個人面接は、自己PRカードの記載内容も確かめるとしています。書類と面接はつながっています。

準備のしかたは3つです。

  1. 書いた志望動機を、「結論→きっかけ→高校でしたいこと」の3文に縮めて声に出す
  2. 「それはなぜですか」「具体的には?」と1回深掘りされたときの答えを用意する
  3. 家族や先生に一度聞いてもらう

例文1を3文にすると、こうなります。

〇〇科で情報技術を基礎から学びたいと考え、御校を志望しました。中学校ではパソコン部で文化祭のポスターを3年間作り、見る人の立場で考えることを学びました。入学後は、授業と部活動の両方で技術を身につけたいです。

深掘りの例は「どんなポスターを作りましたか」「見る人の立場とは、具体的にどういうことですか」。この2つに1つずつ答えを用意しておきます。

店で面接をしていて感じるのは、用意してきた答えは言えても、聞き返されると止まってしまう子がいるということです。人と話す機会が少なかったのかな、と感じることがあります。もっとも、そういうことは慣れたら話せるようになると思うので、私はあまり気にしていません。高校の面接でも、2つ目の「1回深掘り」を準備しておくだけで、当日の焦りはかなり減ると思います。

保護者が志望理由を書く場合は?

公立高校で、保護者に志望理由を書かせる例は確認できませんでした。 一方、私立の推薦入試では求められることがあります。たとえば慶應義塾高等学校の推薦入試では「保護者による志願者紹介文」の提出が必要で、設問は次のとおりです。

保護者の方にお尋ねいたします。志願者はどのような人物ですか。また、なぜ本校の推薦入試を受験させるのですか。400字以内でお書きください。

(慶應義塾高等学校 2027年度入学試験(推薦)出願書類 様式6・2026年10月5日確認)

この設問で求められているのは、子どもの人物像と、その学校を選んだ家庭としての理由です。学校ごとに設問は違うので、まず募集要項の文言をそのまま読んでください。材料としては、本人の人柄がわかる具体的な場面を1つ、家庭としてその学校を選んだ理由(説明会で何を見たか)、入学後に家庭としてどう支えるか、の3つがあると書きやすくなります。本人の志望動機と方向がそろっていると、面接でも話が食い違いません。

本人の志望動機について保護者ができるのは、代わりに書くことではなく、材料を一緒に思い出すことだと思います。「あのとき、あれを頑張っていたよね」という一言で、本人が忘れていた経験が出てくることはよくあります。

不登校や欠席が多い場合の志望動機は?

志望動機には「これからどうしたいか」を書き、欠席の事情は、そのための欄や自己申告書で伝える、と分けて考えると書きやすくなります。

文部科学省の令和7年度の調査には、不登校経験のある生徒への配慮として、各県の取り組みが載っています。たとえば次のようなものです。

県内容(調査の記述より)
愛知県中学校の欠席理由、志望の動機、高校生活への抱負等を入力することができる
茨城県欠席が多いことの事情や障害のあることによって生ずることがら等について、説明することがある場合、志願者は自己申告書を志願先高等学校長に提出
福岡県自己申告書に志望動機、高校生活への抱負、志願先高等学校へ理解してほしい事項等を記入する

(出典:文部科学省「令和7年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」p.31〜32・2026年10月5日確認)

このように、欠席の事情や理解してほしいことを、志望動機の文章の中で説明しなくても伝えられる欄や書類を設けている地域があります。志望動機と同じ書類に欄を並べる県も、欠席の事情だけを説明する自己申告書を出せる県もあります。お住まいの都道府県で使える仕組みは、中学校の進路の先生に確認するのがいちばん早いです。不登校からの高校受験で、内申点と出席日数がどう扱われるかは不登校から高校受験はできる?で詳しく扱っています。

通信制高校を考えている場合は、学校ごとに入試のやり方が違うので、まず学校の資料を手元に置くところから始めると、志望動機の材料も集まります。通信制高校の仕組みそのものは通信制高校とは?に、N高等学校の資料を実際に取り寄せたときの中身は資料請求で何が届いたかの記録にまとめています。

まとめ

  • 高校の志望動機は「なぜこの学校か」「中学で取り組んだこと」「高校でしたいこと」の3つで組み立てる
  • 公立の扱いは都道府県で違う。東京都の自己PRカードは点数化しない面接資料、神奈川県の面接シートは評価しない参考資料、大阪府の自己申告書は全員提出
  • 書き出しは「私が貴校を志望する理由は、〇〇だからです」と結論から。結論→きっかけ→中学での経験→高校でしたいこと、の順にすると書きやすい
  • 例文やテンプレートは型として使い、〇〇の部分を自分の事実に置き換える
  • 書いたものは面接の資料になる。3文に縮めて声に出し、「1回深掘り」への答えを用意しておく
  • 不登校や欠席が多い場合は、志望動機には「これから」を書き、欠席の事情は別に申告できる仕組みがないか中学校に確認する

志望動機は、うまい文章を書くための欄ではなく、「この学校で何をしたいか」を自分で確かめるための欄だと思います。最初の一文が書けたら、あとは自分の事実を足していくだけです。