「通信制高校 面接」で検索してこられたということは、出願の準備が現実的な段階に入ったか、あるいは「面接なんて本人が乗り切れるだろうか」という不安が先に立っているか、そのどちらかだと思います。
面接という言葉の重さを、私は受ける側で一度、する側でもう一度味わいました。いまは自分が学生を面接する立場にいます。緊張で言葉が出てこない子はいますが、それだけで結論を出したことはありません。ただし、ここで扱うのは採用面接ではなく入試の面接です。特定の学校の話でもなく、全国の通信制高校で面接という検査がどう位置づけられているのかを、文部科学省の調査と公立高校の入学者選抜要項で確認しながら整理します。扱うのは次の3つです。
- 面接は何をみる検査なのか(公的な資料に書かれている定義)
- 何を聞かれ、何を用意すればいいのか(服装・持ち物・志望動機)
- 不登校や欠席が多いことは、選抜のなかでどう扱われるのか
通信制高校の面接とは、どんな検査ですか?
学習活動や学校生活に対する意欲・関心、そして一般常識などを問う検査です。 これは私の解釈ではなく、千葉県が公表している資料に書かれている説明です。ただし先に断っておくと、この定義は千葉県のもので、全国共通の文言ではありません。都道府県でどう違うのかは、このあと章を立てて表で比べます。
千葉県が令和9年度の入学者選抜について公表した「検査の内容等について」(令和8年7月8日公表/2026年9月1日確認)には、各検査の内容が次のように説明されています。
(1) 面接
学習活動や学校生活に対する意欲・関心、あるいは、一般常識等を問う検査。
同じ資料では、あわせて実施されることの多い作文についても定義があります。
(4) 作文
指示された題名のもとに(自由に書かせることを含む。)文章を作成させる検査。
つまり、通信制高校の面接とは、これから学校とどう付き合っていくつもりかを、本人の言葉で確かめるための時間です。 中学までの成績を測り直す場でも、話し方の技術を採点する場でもありません。ここを取り違えると、準備の方向がまるごとずれてしまいます。
面接だけで合否が決まるわけではない
もうひとつ、はじめに押さえておきたいことがあります。面接は「選抜の資料のひとつ」であって、それ単独で結論を出す検査ではありません。
千葉県立千葉大宮高等学校(通信制課程・普通科)を例に見てみます。令和8年度千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項(2026年9月1日確認)の「Ⅹ 通信制の課程の入学者選抜」には、選抜方法がこう書かれています。
中学校の校長から送付された調査書等の書類の審査並びに面接及び作文の結果を選抜の資料とし、高等学校の通信制の課程の教育を受けるに足る能力、適性等を総合的に判定して入学者の選抜を行うものとする。
| 選抜の資料 | 中身 |
|---|---|
| 調査書等の書類 | 中学校の校長から送付される書類 |
| 志願理由書 | 学校が提出を求めた場合、選抜の資料に加える |
| 面接 | 学習活動や学校生活に対する意欲・関心、一般常識等 |
| 作文 | 指示された題名のもとに文章を作成 |
「総合的に判定」という言い方は、行政文書ではよく使われる表現ですが、ここでは実務的な意味があります。ひとつの資料の出来だけで結論が決まる設計になっていない、ということです。面接で言葉に詰まったから終わり、という構造ではありません。
なお、通信制の入試に偏差値という数字が存在しない理由と、その構造については通信制高校に偏差値はある?全国データで見る入試の実態と学力の話で詳しく分解しました。この記事では、そこから先の「面接という場で実際に何が起きるのか」に絞って書いていきます。
面接は、どれくらいの通信制高校で行われていますか?
323校のうち296校、割合にして91.6%です。 通信制の入試で、面接はほぼ標準の装備だと考えてかまいません。
参照するのは文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(令和8年8月31日公表・調査時点は令和7年5月1日/2026年9月16日確認)です。通信制課程を置く高校323校を対象にした書面調査で、入学者選抜の方法別の実施校数が集計されています(複数選択可)。
| 選抜の方法 | 実施校数 | 割合 |
|---|---|---|
| 面接による検査 | 296校 | 91.6% |
| 調査書等の書類による選考 | 230校 | 71.2% |
| 小論文又は作文による検査 | 154校 | 47.7% |
| 学力検査問題による検査 | 91校 | 28.2% |
| その他 | 16校 | 5.0% |
(割合は当サイトで算出)
ここから、この記事にとって大事な読み方をひとつ引き出します。面接を実施していない学校は、多く見積もっても27校(323校-296校)、全体の8.4%にとどまります(当サイトで算出)。「多く見積もっても」としたのは、この27校のなかには「その他」の検査(16校)を選んだ学校が含まれる可能性があり、そこに面接に近い形式が入っていないとは言い切れないためです。
つまり、「面接が不安だから、面接のない通信制高校を探す」という回避策は、選択肢を1割弱まで絞り込むことを意味します。しかもその27校のなかには、代わりに学力検査を課している学校も含まれます。避ける方向に労力を使うより、面接がある前提で準備を組み立てるほうが、はるかに現実的です。
もうひとつ目を引くのは、小論文・作文が154校(47.7%)と、半分近くの学校で実施されている点です。面接のことばかり気にしていると、当日「作文もあります」と言われて驚くことになります。この記事の後半で、志望動機と作文をまとめて扱います。
公立の通信制高校は、都道府県で入試の中身が違いますか?
違います。それも「面接があるかどうか」というレベルで違います。 ここまでの数字は私立・株式会社立を含む全国の話でしたが、公立を受けるなら、この章がいちばん実務に直結します。
公立高校の入学者選抜は都道府県ごとに設計されていて、通信制の課程で何を課すかも揃っていません。2026年9月1日時点で各教育委員会が公表している要項を実際に読んで比べると、こうなっていました。
| 自治体 | 通信制の課程で実施する検査 |
|---|---|
| 千葉県(令和9年度) | 面接、作文 |
| 大阪府(令和8年度) | 面接のみ。学力検査は実施しない |
| 神奈川県(令和9年度) | 作文。面接は「特色検査」として校長が必要に応じて実施 |
| 東京都(令和8年度) | 国語・数学・外国語(英語)を総合した検査(60〜70分) |
| 埼玉県(令和9年度) | 原則として調査書等の資料を参考に選抜。校長が必要と認める場合に面接 |
(大阪府・東京都は次年度版が秋に公表される時期のため、2026年9月1日時点の最新公表版)
面接の内容の定義も揃っていません。「学習活動や学校生活に対する意欲・関心、あるいは、一般常識等を問う検査」という言い方は、他の4都府県の要項には見当たりませんでした。私立や株式会社立を含めた全国では面接が9割超ですが、公立に限ると、住んでいる自治体によって受ける検査そのものが変わります。 この記事で千葉県の資料を使うのは、通信制の課程の選抜が要項として細かく公開されている数少ない例だからで、そのまま他県に当てはめないでください。
では、上の表にない県ならどうするか。自分の県の要項には、誰でも同じ手順でたどり着けます。
私立(N高グループなど)を受ける場合は、都道府県の要項ではなく各校の募集要項が同じ役割を果たします。
通信制高校の面接では、何を聞かれますか?
質問そのものを事前に公表している学校は、ほとんどありません。 ですので、この記事では想定質問集を作りません。代わりに、公表されている事実から逆算します。
わかっているのは次の3つです。
- 面接という検査が何をみるものか(最初の章で確認した定義)
- 面接がどんな形式で、どれくらいの時間行われるか(学校ごとに公表されている場合がある)
- その学校がどんな生徒を求めているか(後述する「受入れの方針」)
形式と時間について、1校の例を挙げておきます。N高等学校・S高等学校・R高等学校の公式サイト「入学試験について」(2026年9月1日確認)によると、通学のリアルキャンパスに出願した場合は筆記試験(35分)と、グループワークを含む面接(1グループごとに実施・20分程度)が課されます。待ち時間があるため、終了までに40分程度かかる場合があるとも案内されています。ネットコースとオンラインキャンパスは書類選考のみで、入学試験はありません(ネットコースは「必要に応じて面接試験を実施」と入学案内に記載があります)。
注目したいのは、面接の中身については「試験時にお伝えします」とされていて、事前には公表されていないことです。これは意地悪ではなく、前もって答えを用意してきた人が有利にならないようにする、という設計だと考えるのが自然だと思います。
「何を見られているか」は、志望校が公表しています
面接対策として最も確実なのは、志望校が公表している「入学者の受入れに関する方針」を読むことです。 これは努力目標ではなく、法令に根拠があります。
学校教育法施行規則第103条の2は、こう定めています(e-Gov法令検索・2026年9月1日確認。現行有効の版であることを確認しています)。
高等学校は、当該高等学校、全日制の課程、定時制の課程若しくは通信制の課程又は学科ごとに、次に掲げる方針を定め、公表するものとする。
一 高等学校学習指導要領に定めるところにより育成を目指す資質・能力に関する方針
二 教育課程の編成及び実施に関する方針
三 入学者の受入れに関する方針
3つ目が、いわゆるアドミッション・ポリシーです。条文に「通信制の課程」と明記されているとおり、通信制も対象になっています。
実際に、どれくらいの学校が公表しているのか
前出の実態調査によると、アドミッション・ポリシーを策定しているのは323校のうち283校(87.6%)、そのうち公表しているのは242校(85.5%)です。つまり、全323校に対して約75%の学校が、求める生徒像を自分の言葉で世に出していることになります。裏を返せば、公表していない学校も一定数あるということでもあります。
公立の実例:「期待する生徒像」として公表されている
公立高校の場合、これが入学者選抜の要項のなかで一覧として公表されていることがあります。千葉県の令和8年度実施要項の付表7には、千葉県立千葉大宮高等学校(通信制課程・普通科)の期待する生徒像がこう記載されています。
次の全てを満たす生徒
ア 学習意欲が旺盛である生徒
イ 高校生活を確実に送る姿勢を有する生徒
ウ 自学自習の精神を持ち、通信制の課程の特徴を生かして学習を進める意志がある生徒
同じ付表には、注意書きも添えられています。
期待する生徒像は、当該校が求める生徒像を示したものであって、これにより、受検者の志願を制約するものではありません。
「この条件に当てはまらない人は出願するな」という意味ではない、とわざわざ書かれている。 ここは読み落とさないでほしいところです。求める姿を示しているだけで、門を狭くするための基準ではありません。
同じ付表7では、この学校の検査の内容が一期から四期のすべてで「面接、作文」、志願理由書は「有」と示されています。面接と作文と志願理由書がセットで用意されていることが、出願前に一覧で確認できるわけです。
さらに千葉県の実施要項には、各高校が「選抜の手順、選抜のための各資料の項目等を定めた『選抜・評価方法』を作成し、公表する」こと、そしてそれを学校のウェブページに掲載することまで定められています。面接をどう扱うかの方針が、受検の前に読める形で置かれている、ということです。
求める生徒像も、検査の内容も、学校自身が書いて公開しています。 出所のわからない想定質問集より、こちらを先に読むほうが早いはずです。
服装・持ち物・保護者の同席はどうなっていますか?
服装の指定は、確認した千葉県の要項にも学校の公式ページにも書かれていませんでした。一方で、持ち物と当日の注意事項はかなり具体的に書かれています。
まず持ち物から見ていきます。千葉県の実施要項の「受検者心得」には、通信制の課程の検査について次のような内容が定められています。
- 受検票を持参すること
- 当日、指定された時刻までに志願した高等学校に集合すること
- 携帯品やその他の留意事項は、検査の内容に応じて高等学校が別に定めた指示に従うこと
- 時計を携帯する場合は、時計機能のみのものであること
- スマートフォン等の電子機器類は、検査室に持ち込まないこと
- 検査室内では、物の貸借をしないこと
N高グループの場合は、公式サイトに持ち物が明記されています(2026年9月1日確認)。
| 受験の形式 | 持ち物 |
|---|---|
| 現地受験 | 筆記用具、生徒証などの写真付き身分証明書 |
| オンライン受験 | 筆記用具(メモ用)、Webカメラ機能付きのPC(カメラは外付けでも可) |
注目したいのは、どちらにも服装の記載がないことです。 制服で来るように、あるいはこういう服装で来るように、という指定は書かれていません。「携帯品、その他留意事項については……高等学校において別に定めた指示に従うこと」とあるとおり、細かい部分は学校ごとの案内に委ねられています。
ですので、この記事で「こう着ていけば大丈夫です」と断言することはしません。指定が公表されていない以上、気になるなら志望校に直接聞くのが、いちばん早くて確かな方法です。 説明会や個別相談で聞けますし、電話でも答えてもらえる範囲の質問だと思います。
一方で、制服を用意している通信制高校もあります。「通信制だから私服」とも「高校だから制服」とも決まっていないというのが実際のところで、だからこそ受験の日の服装も、志望校の案内に沿って判断するしかありません。
保護者は面接に同席しますか?
確認した範囲では、受検者本人が検査を受ける前提で書かれており、保護者が面接に同席するという記載はありませんでした。 千葉県の実施要項も、N高グループの公式ページも同じです。
ただし、これは「同席する学校が存在しない」という意味ではありません。保護者面談を別枠で設けている学校もありますし、説明会に保護者向けの時間を用意している学校もあります。募集要項に記載がなければ、記載がないこと自体が確認の理由になります。 出願前の個別相談で、面接の形式とあわせて聞いておくと安心です。
出願そのものの実務——時期、必要書類、親がやること——はN高の出願はいつ?に分けて書きました。在籍中の高校からの移動を考えている場合はN高への転入・編入ガイドのほうが近いと思います。
不登校や欠席が多いことは、面接でどう扱われますか?
面接をする学校の側から見ると、不登校の経験は例外ではありません。むしろ多数派です。 ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
実態調査には、令和7年度の入学者について次の集計があります。
| 設置者 | 令和7年度入学者数 | 中学3年生のときに不登校だった生徒数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 公立 | 9,969人 | 5,333人 | 53.5% |
| 私立 | 61,200人 | 34,663人 | 56.6% |
| 株式会社立 | 6,829人 | 4,465人 | 65.4% |
| 全体 | 77,998人 | 44,461人 | 57.0% |
公立・私立・株式会社立のどこを見ても、半数を超えています。 株式会社立にいたっては3人に2人です。
この数字が意味しているのは、こういうことだと思います。面接をする先生から見れば、目の前に座っている子が中学に通えていなかったことは、その年の入学者の半分以上に当てはまる話です。特別な事情として身構えて聞くようなことではなく、日常的に接している状況だということになります。
制度の側でも、前提として織り込まれています
学校教育法施行規則第90条は、高校の入学者選抜の根拠になる条文です。第1項で調査書や学力検査の成績等を資料として選抜を行うと定めたうえで、続く2つの項でこう定めています(e-Gov法令検索・2026年9月1日確認)。
2 学力検査は、特別の事情のあるときは、行わないことができる。
3 調査書は、特別の事情のあるときは、入学者の選抜のための資料としないことができる。
出席や成績の記録を、選抜の資料から外すことが、制度として認められている。 通信制の入試が面接中心になっているのは、この規定の延長線上にあります。
事情を「申告できる」仕組みが用意されている場合があります
もう一段、具体的な話をします。千葉県の令和8年度実施要項では、出願書類のひとつとして自己申告書が用意されています。
ただし先に、いちばん誤解しやすい点を書いておきます。この様式で申告できるとされているのは「障害又は病気、怪我等の状況」で、「欠席が多い理由」は現在の対象に挙げられていません。 不登校そのものを説明するための書類ではない、ということです(この点は後述するとおり、直前の年度から書き方が変わっています)。
一方で、不登校の経験そのものを本人が申告できる仕組みを持っている自治体もあります。文部科学省の調査では、学校以外の場での学習状況等を自己申告書として提出できることとしている都道府県が28ありました。その内訳は不登校から高校受験はできる?4つの選択肢と、私が実際に選んだ道にまとめてあります。同じ「自己申告書」という名前でも、何を書く書類なのかが自治体で違う、と考えておくのが安全です。
そのうえで、要項に書かれている内容を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を書くものか | 障害又は病気、怪我等の状況について志願校に申告しようとする場合に提出できる |
| 誰が書くか | 原則として志願者本人が記入する |
| 出し方 | 志願者の氏名を書いた封筒に入れ、封をしたうえで、在籍中学校の校長を通じて志願校の校長に提出する |
| 選抜での扱い | 選抜の資料としない |
| 学校からの照会 | 校長が中学校に内容を照会できる書類から、自己申告書は除かれている |
そして要項には、こう明記されています。
志願者から提出された「自己申告書」は、選抜の資料としない。
なお、提出されたことにより、不利益な取扱いをすることのないよう十分に留意する。
伝えたいことがあれば伝えられる。しかしそれで不利には扱わない。 千葉県の要項には、事情を抱えた志願者を想定した設計がこういう形で組み込まれている、ということです。
なお、入学後の話になりますが、同じ実態調査にはスクールカウンセラーに相談できる体制を整えている学校が273校(84.5%)という集計もあります。事情を抱えた生徒が来ることを前提に、体制のほうが先に用意されている——入試の面接も、その延長にある場だと考えると、少し気持ちが軽くなるのではないかと思います。
私自身も、不登校の時期に通信制高校の入試を受けました。面接でいちばん恐れていたのは不登校の理由を聞かれることでしたが、その質問は出ませんでした。そのときのことはN高等学校の受験に落ちることはある?不合格になる要因と出願前の準備に詳しく書いたので、同じ不安を抱えている方はそちらを読んでみてください。
「どう説明するか」は、短い答えをひとつ決めておけば足ります
念のため書いておきます。「聞かれません」と断言することはできません。 学校によって面接の運用は違いますし、志願理由書に書いた内容について確認されることもあり得ます。
だからこそ、長い説明を組み立てるのではなく、短い答えをひとつだけ決めておくことをすすめます。形はシンプルで、次の2つをつなぐだけです。
- 事実をひとこと——「学校に通えない時期がありました」「教室に通うことが難しい時期がありました」。この程度で足ります。理由まで言う必要はありません(体調が理由ならそう添えても構いませんが、事実と違うことは足さないでください)
- これからの話につなぐ——「いまは、自分のペースで学べる環境で勉強を続けたいと考えています」。少なくとも最初の章で見た千葉県の定義では、面接がみているのは、これからの学習への意欲・関心のほうです。重心はこちら側に置きます
やらなくていいこともはっきりしています。原因を分析して説明することと、うまく話そうとすることです。不登校の理由は、本人にもきれいに言葉にできないことが多いものです。初対面の大人の前でそれを解き明かす必要はありませんし、事実と違う前向きな説明を作る必要もありません。用意した一言を家で一度声に出してみる——準備はそれで十分だと思います。
志望動機は、どう考えればいいですか?
志望動機は、志望校が公表している受入れの方針と、自分の事情を突き合わせて組み立てるのが確実です。 ここでも、材料は学校の側が出しています。
志望動機を書く場面は、面接の質問だけではありません。書類として提出を求められる場合があります。
| 学校 | 志望動機を書く場面 |
|---|---|
| 千葉県立千葉大宮高等学校(通信制) | 志願理由書(所定の様式)を出願書類として提出。学校が提出を求めた場合、選抜の資料に加えられる |
| N高等学校・S高等学校・R高等学校 | Web出願の出願者情報に「志望動機と卒業後の目標」の入力欄がある |
(いずれも2026年9月1日確認)
つまり、面接で初めて志望動機を言葉にするのではなく、出願の段階で一度書いていることになります。逆に言えば、出願書類に書いた内容と面接で話すことがちぐはぐにならないよう、書いたものを手元に残しておくのが実務的です。
そして前述のとおり、小論文・作文を実施する学校は154校(47.7%)あります。作文は「指示された題名のもとに文章を作成させる検査」ですから、面接と作文の両方で、自分の考えを言葉にする場面が来ることになります。
卒業後の目標が決まっていない場合の書き方は、N高のWeb出願で「志望動機と卒業後の目標」をどう埋めるかのチェックリストのほうに置いてあります。この記事とあわせて読んでもらえたらと思います。
学校選びの軸そのものが定まっていない段階なら、志望動機を考える前に通信制高校の選び方|後悔しないための7つのチェックポイントを見てもらうほうが順番として自然かもしれません。志望動機は、学校を選んだ理由の言い換えでしかないので、選び方が固まると自然に書けるようになります。
面接で落ちることはありますか?
選抜が行われている以上、不合格の可能性がゼロだとは書けません。 ここは正直に書きます。
事実として押さえておきたいのは次の点です。
- 323校のうち296校が面接、230校が調査書等の書類による選考を実施している。つまり選抜は行われている
- 学力検査を実施している学校も91校あり、うち公立が15校
- 面接の結果だけで決まるのではなく、書類とあわせた総合判定である
では実際に何人が落ちているのか。令和8年度の公立について、都道府県が公表している受検者数と合格者数を突き合わせたものを通信制高校に落ちる確率は?公立3都県の実数と、落ちる4つの経路にまとめました。同じ公立でも、不合格が出た地域と0人だった地域に分かれています。
一方で、千葉県の令和8年度実施要項には、通信制の課程の募集人員についてこう書かれています。
入学許可候補者の決定に当たっては、募集人員の遵守に努める。
なお、その際、受検者の数が募集人員に満たない場合においては、学校の実態に応じて可能な限り入学許可候補者とする。
志願者が募集人員に満たない場合は、可能な限り合格とするよう努めるという趣旨が明記されています。ただしこれは千葉県の要項の記載であって、全国の公立高校に同じ条文があるわけではありません。「全員が合格する」という保証でもありませんし、公立高校全体で見れば、定員に満たなくても不合格になる事例(定員内不合格)は実際に報告されています。全国の件数は不登校から高校受験はできる?で確認しました。
そしてもうひとつ、実務的にはこちらのほうが起こりやすいと感じています。不合格より先につまずくのは、出願そのものです。 出願期間に書類が間に合わない、中学校からの書類を開封してしまう、写真の条件を満たさない——こうした手続きのつまずきは、面接の出来とは関係なく起こります。学校ごとの具体例は出願手続きでつまずきやすいポイントの一覧に整理しました。
面接の前に、やっておくとよいこと
やるべきことは、話し方の練習ではなく、情報を手元に揃えることです。 順番に並べます。
志望校の公表物を読む
入学者の受入れ方針(期待する生徒像)と、募集要項の検査の内容
募集要項を手元に取り寄せる
検査の内容・日程・持ち物・提出書類が一覧になっている
個別相談で確認する
面接の形式、保護者の同席、服装、当日の流れ
出願書類を先に書いてみる
志願理由書や志望動機は、面接で話す内容の下書きになる
短い答えをひとつ用意する
欠席の理由を聞かれた場合に備えて。長い説明は要りません
このなかで、いちばん効率がいいのは2番目だと思っています。募集要項には、検査の内容・持ち物・日程・提出書類が1か所にまとまっているからです。ばらばらに検索して集めるより、紙で一式そろえて並べるほうが、結果的に早いというのが私の実感です。
N高グループの場合、募集要項と学校案内は資料請求で送ってもらえます。私も自分で取り寄せてみたので、請求してから手元に届くまでの実際を記録に残しました。複数校を検討しているなら、同じように何校か並べて比べるのがおすすめです。
資料を取り寄せる、要項を読む、日程を確認する——このあたりの工程は、本人が動けない時期でも保護者だけで進められます。面接を受けるのは本人ですが、そこにたどり着くまでの段取りは、大部分が大人の仕事です。「本人にやる気が出るまで待つしかない」と思い詰めなくても、先にできることは案外あります。
よくある質問
最後に、検索でよく見かける疑問に短く答えます。
Q. 面接で緊張して何も話せなかったら、それだけで落ちますか?
面接は選抜の資料のひとつで、調査書等の書類とあわせて総合的に判定されます。沈黙が長くなったことだけで結論が決まる構造にはなっていません。ただし、まったく答えないままで通ると保証されているわけでもありません。 短くていいので、聞かれたことに答える準備をしておくのが現実的です。
Q. 面接はひとりで受けるのですか、グループですか?
学校によって違います。N高グループのリアルキャンパスでは1グループごとの面接で、グループワークを含む形式だと公式に案内されています。個人面接の学校もありますので、志望校の募集要項で形式を確認してください。 グループ形式かどうかで、当日の心の準備がだいぶ変わります。
Q. 中学の内申点は、通信制の面接に影響しますか?
まず、面接と調査書は別々の資料です。実態調査では323校のうち230校(71.2%)が「調査書等の書類による選考」を実施しているので、調査書が見られていないわけではありません。 ただし、その2つがどうつながるかは自治体で違います。千葉県のように書類と面接を並べて総合的に判定する形もあれば、大阪府の通信制の課程のように、面接そのものを「自己申告書及び調査書中の活動/行動の記録に基づき」行うと定めている形もあります。なお学校教育法施行規則第90条第3項により、特別の事情があるときは調査書を選抜の資料としないことも制度上は可能です。志望校がどちらの型かは公表されていないことも多いので、出願前の個別相談で確認してください。
Q. 転入・編入の場合も面接はありますか?
実施している学校が多いと考えられます。千葉県の例では、一期から四期(秋季入学)までどの時期の選抜でも、検査の内容は「面接、作文」とされています。ただし在籍歴や修得単位の確認が加わるぶん、新入学とは手続きが変わります。時期や単位の引き継ぎについてはN高への転入・編入ガイドにまとめました。
まとめ:面接は、ふるいにかけるための時間ではありません
要点を整理します。
- 通信制高校の面接とは、学習活動や学校生活に対する意欲・関心、一般常識等を問う検査です(千葉県の公表資料より。この定義の書き方は千葉県のもので、全国共通ではありません)。学力を測り直す場ではありません
- 通信制課程を置く323校のうち296校(91.6%)が面接を実施。面接を実施していない学校は多く見積もっても27校(8.4%)で、避けるより備えるほうが現実的です
- 千葉県の要項では、調査書等の書類・志願理由書・面接・作文をあわせて「総合的に判定」すると定められています。ひとつの資料の出来で結論が出る設計ではありません
- ただし公立の入試は自治体ごとに設計が違います。 通信制の課程で面接を課さない自治体(神奈川県・東京都)も、自己申告書を選抜の資料に使う自治体(大阪府)もあります
- 「何を見られているか」は志望校が公表しています。 学校教育法施行規則第103条の2により、通信制の課程ごとに入学者の受入れに関する方針を定めて公表することとされ、実態調査では283校(87.6%)が策定、うち242校(85.5%)が公表していました
- 服装の指定は、確認した千葉県の要項にもN高グループの公式ページにも書かれていませんでした。 持ち物と当日の注意事項は具体的に書かれているので、要項を先に読むのが確実です
- 令和7年度の通信制入学者77,998人のうち44,461人(57.0%)が中3で不登校。公立53.5%、私立56.6%、株式会社立65.4%と、どの設置者でも半数を超えます
- 事情を伝えたい場合に自己申告書を提出でき、それを選抜の資料としないと定めている自治体もあります(千葉県・令和8年度実施要項)。ただし年度と地域で扱いが変わります
面接という言葉には、どうしても「試される」という響きがあります。ただ、ここまで見てきた公的な資料が示しているのは、これから通っていけそうかを一緒に確かめる場という位置づけでした。落とすために設計された時間ではないのだろう、というのが、資料を読んだ率直な感想です。
とはいえ、検査の方法も日程も、年度ごとに更新されます。この記事の内容も2026年9月1日時点で確認したものです。出願の段階では、志望校の最新の募集要項を取り寄せて、気になる点は個別相談で直接確かめてください。 聞いたからといって出願を迫られるようなものでもありませんし、そのやり取り自体が、面接当日の空気をつかむ手がかりにもなります。