通信制高校 スクーリングなし」で検索して、このページにたどり着いてくださったのだと思います。

探しているのは、たぶん学校の名前ではないですよね。外に出るのがしんどい。それでも高校は出しておきたい。 その条件を満たす場所があるのか——知りたいのは、そこだと思います。

先に、いちばん大事なところをお伝えします。スクーリングが完全にゼロの通信制高校は、法令の作り上ありません。 ただ、この記事はそれを言って終わるものではありません。「ゼロは無いけれど、限りなく少なくする道はある」というのが、調べたうえでの正確な答えだからです。どこまで減らせるのか、何を確認すれば減らせるのかを、法令と公的データで整理します。

そして、もうひとつ先にお伝えしたいことがあります。登校を減らすこの仕組みについて、文部科学省のガイドラインは、免除が想定される事情の例として「いじめ、人間関係など心因的な事情により登校が困難である場合」をはっきり挙げています。外に出られないことは、制度の外側にある特別な話ではなく、制度が最初から想定している事情です。詳しくは本文で書きますが、このことだけは先に知っておいてください。

私は通信制高校の卒業生です。当時の私のなかにも、学校に行きたくない気持ちは確かにありました。その私が結局どういう形を選び、いま何を思っているかも、最後に書きます。

「スクーリングなしの通信制高校」はありますか?

制度として掲げられる学校は、ありません。面接指導(スクーリング)は通信制高校の教育方法そのものとして法令に組み込まれているためです。

根拠は2つあります。

ひとつは高等学校通信教育規程(昭和三十七年文部省令第三十二号)です。第2条第1項は、高等学校の通信制の課程で行う教育について「添削指導、面接指導及び試験の方法により行うものとする」と定めています。第2項で「放送その他の多様なメディアを利用した指導等の方法を加えて行うことができる」と続きますが、これは加えるという書き方です。面接指導と置き換えてよい、とは書かれていません(e-Gov法令検索 2026年8月22日確認)。

もうひとつは高等学校学習指導要領です。第1章総則 第2款5「通信制の課程における教育課程の特例」が、各教科・科目について1単位あたりの面接指導の単位時間数の標準を定めています。数字で決められている以上、学校が独自に「うちは0時間です」と決めることはできません(文部科学省 2026年8月22日確認)。

つまり、「スクーリングなし」を条件に学校を探す作業は、残念ながら空振りになります。探し方を「ゼロの学校」から「いちばん少ない学校」に切り替えたほうが、結果的に選べる幅が広がります。

なお、通信制高校の仕組み全体については通信制高校とは?卒業までの仕組みにまとめています。この記事は、そのなかの「登校」だけを深掘りしたものだと思ってください。

ここから2つの章は、「なぜゼロにできないのか」の裏付けです。法令の名前と数字が続くので、いま答えだけを先に知りたい場合は、目次から「登校を減らす仕組み①」の章まで飛ばして読んでいただいて大丈夫です。

スクーリングとは、そもそも何のための時間ですか?

スクーリングとは、通信制高校で先生から対面で受ける授業のことです。法令上の呼び名は「面接指導」で、添削指導(レポート)・試験と並ぶ、単位を認めるための3本柱のひとつです。

3本柱中身法令上の位置づけ
添削指導レポートを提出し、先生が添削して返す高等学校通信教育規程 第2条
面接指導決められた日に登校し、対面で授業を受ける同 第2条
試験単位認定のための試験同 第2条

文部科学省の「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(令和5年2月一部改訂)は、面接指導について「添削指導と同様、高等学校通信教育における基幹的な部分」と位置づけています。そして、それまでの添削指導を通して見えてきた一人ひとりの学習上の課題を考えながら、自宅学習に必要な基礎的・基本的な知識を指導する時間だと説明しています。

ここが誤解されやすいところなのですが、スクーリングは「出席点を稼ぐための時間」ではありません。 家でひとりでレポートを進めていて詰まった部分を、対面でほどく時間です。同じガイドラインは、同時に面接指導を受ける生徒数について「少人数で行うことを基本」とし、多くとも40人を超えない範囲で設定するよう求めています(高等学校通信教育規程第4条の2)。

法令では、どれくらいのスクーリングが決められているのですか?

高等学校学習指導要領が、教科ごとに「1単位あたり何単位時間」という標準を定めています。1単位時間は50分として計算します。

これがその表です(第1章総則 第2款5(1))。

各教科・科目添削指導(回)面接指導(単位時間)
国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目31
理科に属する科目34
保健体育に属する科目のうち「体育」15
保健体育に属する科目のうち「保健」31
芸術及び外国語に属する科目34
家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目必要に応じて2〜3必要に応じて2〜8

(出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年告示) 2026年8月22日確認)

読み方を補足します。高校を卒業するには74単位以上の修得が要ります(学校教育法施行規則第96条)。たとえば「体育」を2単位履修するなら、面接指導は標準で2単位時間×5=10単位時間、時間にして約8時間20分。国語や数学は1単位につき1単位時間なので、同じ2単位でも2単位時間で済みます。

教科によって登校の重さがまったく違う、というのがこの表のいちばん大事な点です。体育と理科・芸術・外国語が重く、国語・数学・地理歴史・公民・保健が軽い。だから「うちの学校は年◯日です」という説明の背後には、どの科目をどの学年で取らせるかという設計があります。

加えて、特別活動(ホームルーム活動を含む)は卒業までに30単位時間以上指導するものとされています(同 第2款5(7))。スクーリングの日程にホームルームや行事が組み込まれているのは、この規定があるためです。

登校を減らす仕組み①:メディア学習による面接指導時間数の免除

ここがこの記事の中心です。面接指導の時間数は、テレビ・ラジオ・インターネットなどを使った学習によって、一定の割合まで免除できます。 これが「限りなく少なくできる」の正体です。

高等学校学習指導要領 第1章総則 第2款5(5)は、こう定めています。学校が指導計画に、各教科・科目または特別活動について体系的に行われるラジオ放送、テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れた場合で、生徒がこれらの方法により学習し、報告課題の作成等により、その成果が満足できると認められるときは、その生徒について面接指導等時間数のうち10分の6以内の時間数を免除できる——。

さらに続きがあります。生徒の実態等を考慮して特に必要がある場合は、複数のメディアを利用することで、各メディアごとにそれぞれ10分の6以内を免除できる。ただし、免除する時間数は合わせて10分の8を超えることができない

「特に必要がある場合」が何を指すのかも、ガイドラインに例示があります。

  • 病気や事故のため、入院または自宅療養を必要とする場合
  • いじめ、人間関係など心因的な事情により登校が困難である場合
  • 仕事に従事していたり、海外での生活時間が長かったりして、時間の調整がつかない場合
  • 実施校自らが生徒の実態等を踏まえ、複数のメディア教材を作成する等により教育効果が確保される場合

(出典:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(令和5年2月一部改訂) 2026年8月22日確認)

2つ目の項目に注目してください。 冒頭でお伝えしたのが、これです。「登校が困難である」という状態が、制度のなかにきちんと書かれています。無理を押して行くしかない、という話ではないのです。

ただし、ガイドラインは同じ箇所で「10分の6を超えて10分の8まで減免することは極めて例外的な取扱いである」とも明記しています。標準的な運用は10分の6まで、と理解しておくのが安全です。

もうひとつ、見落とされがちな条件があります。免除には報告課題がついてきます。ガイドラインは、免除する時間数に応じて報告課題等の作成を求めるなどして、高等学校教育として必要とされる学習の量と質を十分に確保するよう求めています。さらに「メディアを利用して生徒が行った学習の時間数と、同程度またはそれ以上の時間数を免除するという運用は不適切」ともされています。

なお、ここでいう報告課題は、単位認定の3本柱のひとつである添削指導(レポート)とは別のものです。この免除の仕組みで減らせるのは面接指導等時間数であって、レポートの回数ではありません。レポートのほうが法令上どう決まっているのかは通信制高校のレポートとは?にまとめました。

つまり免除は「勉強が減る」ことではなく、「登校が減る代わりに家での課題が増える」ことです。 ここは正直にお伝えしておきます。家で自力で課題を進めるのがしんどいタイプの場合、登校を極限まで削る設計は、かえって卒業を遠ざけることがあります。

実際に、どれくらいの学校がこの免除を使っているのですか?

7割前後の学校が10分の6以内の免除を実施し、10分の8以内まで行う学校は1割台にとどまります。文部科学省の実態調査に、科目別の実数があります。

文部科学省は令和8年8月31日に「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」を公表しました。対象は通信制課程を置く高等学校323校(令和7年5月1日現在)です。そのなかに、科目ごとの面接指導時間数と減免状況の集計があります。

科目1単位あたりの面接指導を標準どおりに設定10分の6以内の減免を実施10分の8以内の減免を実施
現代の国語(標準1単位時間)292校(90.4%)231校(71.5%)33校(10.2%)
生物基礎(標準4単位時間・開講314校)307校(97.8%)242校(77.1%)44校(14.0%)
体育(標準5単位時間)314校(97.2%)230校(71.2%)48校(14.9%)
特別活動122校(37.8%)24校(7.4%)

(出典:文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」 2026年9月16日確認)

この表からわかることが3つあります。

  1. 免除はどこの学校でもやっている仕組みではありません。 現代の国語で7割強、特別活動では4割弱です。志望校が実施しているかどうかは、学校ごとに確認が要ります
  2. 10分の8まで踏み込む学校は少数です。 科目にもよりますが1割前後。ガイドラインが「極めて例外的」と書いているとおりの実態になっています
  3. 特別活動の減免率が低い。 行事やホームルームは、メディアで置き換えにくい性格のものだからだと考えられます

使われているメディアの種類も集計されています。現代の国語について、テレビ・ラジオの高校講座を挙げた学校が111校、「インターネットを利用した指導(同時双方向)」を挙げた学校は27校でした(1校が複数のメディアを選べる調査です)。

ここも大事な点です。ガイドライン(令和5年2月一部改訂)は、多様なメディアの利用形態について「オンデマンド型のみならず、例えば少人数かつ同時双方向型で行うなど」もあり得ると述べています。つまりZoomのようなリアルタイムのオンライン授業も、制度上は「面接指導」ではなく「メディアを利用して行う学習」の側に入ります。 ただし、これは格下の扱いという意味ではありません。メディアを利用した学習は、面接指導の時間数を最大10分の8まで減らせる、制度が正式に認めた学習方法です。ネットでの授業や学習を積み重ねることが、そのまま登校日数を減らすことにつながる設計になっています。一方で「面接指導そのもの」にはならないため、「オンライン授業があるから登校ゼロで卒業できる」とまでは言えない——ここだけ、区別しておいてください。

登校を減らす仕組み②:日数をまとめる「集中スクーリング」

回数を減らすもうひとつの方法が、必要な時間数を数日にまとめて消化する「集中スクーリング」です。年間の登校日を数日に圧縮できる代わりに、1日が長くなります。

ガイドラインは、合宿等を伴って特定時期に集中的に行う面接指導(いわゆる集中スクーリング)について、生徒および教職員の健康面や指導面の効果を考慮して、例えば8時30分から17時15分までとしたり、多くとも1日あたり8単位時間までを目安に設置したりするなど、1日に実施する面接指導の時間数を適切に定めるよう求めています。

1単位時間は50分ですから、8単位時間=400分。休憩を挟んで朝から夕方までびっしり、というのが集中スクーリングの実像です。

なお、ガイドラインは「正規の教育課程ではない教育活動(いわゆる通学コース)と、指導要領等に基づき高等学校通信教育として実施される面接指導とは明確に区別される」とも述べています。週5日通うコースに在籍していても、その通学とは別に面接指導への出席が要るということです。逆に言えば、普段の通学日数と法令上のスクーリングは別勘定なので、「週5コースだからスクーリングも多い」というわけでもありません。

通学頻度別に見ると、いまの通信制高校はどうなっていますか?

いちばん人数が多いのは、月1〜2回程度の通学などを含む「その他」のコースで99,722人。次いで集中スクーリングを前提としたコースの86,961人です。同じ実態調査に、コース別の学校数と生徒数があります。

通学頻度別コース開設している学校数(323校中)生徒数
週5通学コース90校37,505人
週4通学コース27校5,712人
週3通学コース63校20,013人
週2通学コース69校13,564人
週1通学コース128校36,929人
いわゆる集中スクーリングを前提としたコース113校86,961人
その他123校99,722人
合計300,406人

(出典:同・令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果より。「その他のコース」は、例えば月に1〜2回通学するコースや、生徒の都合の良い日にいつでも通学することができるコース等と注記されています)

「その他」と「集中スクーリング前提」だけで、186,683人。全体の6割を超えます。 週5で通っている生徒は37,505人で、全体の1割強にすぎません。

登校の少ない選択肢は、いまや例外ではなく主流です。「通わない高校を探している自分は変わっているのでは」と思う必要はありません。同じ設計を選んでいる人が、これだけいます。

学校選びの手順そのものは通信制高校の選び方|後悔しないための7つのチェックポイントにまとめました。スクーリングの頻度と場所は、そのチェックポイントの1番目に置いています。

N高グループのネットコースは、年に何日登校するのですか?

公式サイトによると、1年次と3年次が全国拠点に年7〜8日、2年次は全国拠点4〜5日に加えて本校に4〜5日です。

具体的な学校の数字を1つ見ておきます。N高等学校・S高等学校・R高等学校の公式サイト「スクーリングについて」には、次のように書かれています(2026年8月22日確認)。

学年スクーリング
1年次全国拠点に7〜8日(期末のテストを含む)
2年次全国拠点に4〜5日(期末のテストを含む)+ 本校に4〜5日
3年次全国拠点に7〜8日(期末のテストを含む)

本校スクーリングは宿泊を伴い、N高は4泊5日、S高は3泊4日、R高は3泊4日とされています。資料請求でもらえる学校案内(2026年版)には「N高・S高・R高の主な違いは3年に1度の本校スクーリング会場のみ。学費や学びの内容に違いはありません」と書かれていました。

そして公式サイトの「必修授業」ページは、科目ごとの単位認定要件のひとつとして「スクーリングの必要時間数を満たし、全て出席している」ことを挙げています(2026年8月22日確認)。ネットコースであっても、この条件は変わりません。

N高のスクーリングの中身(会場一覧・沖縄伊計本校で何をするか・費用の見積もり)はN高のスクーリングは年何日?会場一覧・沖縄伊計本校・費用まで解説に、ネットコースそのものの設計はN高のネットコースとは?学費と1日の流れに分けて書いています。学費や日程の一次情報は、資料を実際に取り寄せたときの記録にまとめた学校案内が、いちばん一覧性が高いと感じました。

「近くに会場がないから無理」と判断する前に、まず年に何日なのかを確認する。順番としては、そちらが先だと思います。会場が遠くても成り立っている実例は、先に挙げたスクーリングの記事に、本人から聞いた話としてまとめてあります。

「面接指導に1日も来ていない生徒」が8,097人いるのは、どういうことですか?

この数字は「登校しなくても卒業できる」ことを示すものではありません。ただし、この8,097人が具体的にどういう状態なのかは、調査に内訳の説明がありません。わかることと、わからないことを分けて書きます。

同じ実態調査に、こういう集計があります。令和7年3月31日時点の在籍生徒数のうち、令和6年度間に添削課題の提出はあるが、面接指導に1日も来ていない生徒数は8,097人。在籍生徒306,711人に対して2.6%です。設置者別では公立4.2%(2,478人)、私立2.3%(5,060人)、株式会社立2.0%(559人)でした。

コース別の内訳も出ています。

コース1日も来ていない生徒数構成比
いわゆる集中スクーリングを前提としたコース3,923人48.5%
その他1,972人24.4%
週1通学コース1,556人19.2%
週5通学コース201人2.5%
週4通学コース170人2.1%
週2通学コース139人1.7%
週3通学コース136人1.7%

(同・令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果より。コース別の集計は令和7年度開校の29校を除いたものです)

ここを慎重に読んでください。調査が公表しているのは、人数と、設置者別・コース別の内訳と、学校が挙げた理由の項目までです。 この8,097人が単位を修得できたのかどうかは、書かれていません。

制度の側から言えるのは、次の1点です。前の章で確認したとおり、メディア学習による免除の上限は10分の8なので、面接指導をまったく受けないまま、履修中の科目の面接指導の時間数が満たされることはありません。 その意味で、この数字は「登校しなくてよい」ことの根拠にはなりません。

一方で、0日の理由がひとつとは限りません。年度の途中で転入・編入して、面接指導の日程がまだ来ていなかった生徒も、3月31日時点の在籍数には含まれます。また学校教育法施行規則第98条・第100条は、高等学校卒業程度認定試験で合格点を得た試験科目に係る学修などを、校長が教育上有益と認めるときに科目の履修とみなし、単位を与えることができると定めています(e-Gov法令検索 2026年8月22日確認)。内訳が公表されていない以上、この数字から一人ひとりの状況を決めつけることはできません。

調査では理由も集計されていて、学習に関すること、学校生活に関すること、教職員との関係、友人との関係、心身に関すること、生活習慣に関すること、家庭に関すること、仕事に関することなど、複数の項目が並んでいます(生徒数ではなく、その理由を挙げた生徒が在籍する学校の数の集計です)。ひとつの原因で説明できるものではありません。

そして——ここが大事なのですが、この2.6%を「失敗した人たち」として読まないでください。 通信制は単位制です。全日制のように学年で切られて留年、という作りにはなっていません。その年度に取れなかった単位があっても、次の年度に取り直せます。在籍を4年にするという設計も選べます。この点は通信制高校を4年で卒業するという選択に、自分の経験とあわせて書きました。

「行けなかった年がある」ことと「卒業できない」ことは、別のことです。

経験者から見た補足:ゼロではなかったことが、私には良かった

ここからは制度の話ではなく、通った側の実感です。私は「登校がゼロではなかったこと」を、いま良かったと思っています。

先にお断りしておくと、私が在籍していたのはN高ではありません。20年ほど前の別の通信制高校で、レポートは紙、提出は郵送か直接持参という時代でした。ですから以下は「通信制高校一般の、少し前の話」として読んでください。

「登校日をゼロに近づける」設計と、「サボってもどうにかなる」設計は、似ているようで違います。前者は1日の重みが増す設計です。年に4日しかないなら、そのうち1日を落としたときの取り返しが効きにくくなる。後者は、余白を持たせる設計です。

年に数日という設計は、この両方を成立させる線なのだろうと思います。

中学で不登校だった当時の私が、どうやって通信制にたどり着いて社会に出たかは中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに書きました。この記事では制度の話に絞ります。

それでも登校が難しいとき、学校に何を確認すればいいですか?

「通えますか」ではなく、「何時間まで免除できますか」と聞いてください。制度の言葉で聞くと、答えも具体的に返ってきます。

その前に、ひとつ知っておいてほしいことがあります。学校の側も、通えない事情があることを想定しています。 N高グループの公式Q&Aは、本校スクーリングへの参加について説明したうえで、こう書いています。

経済的な事情や健康面の不安などがある場合は、個別に相談してください。

N高等学校・S高等学校・R高等学校「よくある質問」 2026年8月26日確認)

記事の前半で見たとおり、文部科学省のガイドラインも、免除が想定される事情の例として「いじめ、人間関係など心因的な事情により登校が困難である場合」を挙げていました。制度の側にも、学校の側にも、相談する窓口はあらかじめ用意されているということです。事情を説明することは、特別な交渉ではありません。

  1. 志望校を3〜5校に絞る

    通学頻度別コースの名称と、年間の登校日数を確認する。日数は学年ごとに違うことがあります

  2. 免除の実施状況を聞く

    メディア学習による面接指導時間数の減免を実施しているか。10分の6以内か、10分の8以内か

  3. 報告課題の量を聞く

    免除を受けた場合、代わりに家で何をどれだけ提出するのか

  4. 会場と日程を確認する

    会場の場所と移動時間・交通費、集中型か分散型か、1日の時間帯(集中型は朝から夕方までが目安)、宿泊を伴うか、宿泊が難しい場合の扱いはあるか

  5. 教科の配置を聞く

    面接指導が重い体育・理科・芸術・外国語を、どの学年に置く設計か

  6. 本人の生活に当てはめる

    年◯日・1日◯時間を、本人のいまの状態に重ねて考える

このうち、年間の日程・会場・宿泊の扱いといった項目は、公式サイトより紙の資料(募集要項や年間日程表)のほうが具体的にまとまっていることが多いです。電話で1つずつ聞くのは、本人にも学校にも負担が大きいものです。まず資料で全体像をつかんで、免除と報告課題の運用など、資料に載っていないことだけを個別に質問する——という順番をおすすめします。

もうひとつ、あまり知られていない選択肢に触れておきます。学校教育法施行規則第100条は、校長が教育上有益と認めるときは、高等学校卒業程度認定試験で合格点を得た試験科目に係る学修などを、在学する高等学校における科目の履修とみなし、単位を与えることができると定めています。履修する科目そのものが減れば、そのぶん面接指導の時間数も減ります。

ただし条文は「できる」という書き方で、運用は校長の判断です。学校によって扱いが違いますし、どの科目をどこまで認めるかも一律ではありません。使えるかどうかは、志望校に個別に確認してください。

なお、スクーリング当日が近づいて足がすくむタイプの不安については、スクーリングに行きたくない君へで別に書いています。制度で日数を減らす話と、当日どうするかの話は、分けて考えたほうが整理しやすいと思います。

よくある誤解を、まとめて整理します

「スクーリングなし」の周辺には、事実と少しずれた情報が並びがちです。ここまで確認したことを踏まえて、整理しておきます。

よくある理解実際
完全オンラインで卒業できる通信制高校がある面接指導等時間数の免除は最大10分の8まで。10分の10にはできません
オンライン授業に出れば、それがスクーリングになる同時双方向のオンライン授業も、制度上は「メディアを利用して行う学習」。面接指導そのものではありませんが、面接指導の時間数を最大10分の8まで減らせる、制度が正式に認めた学習方法です
登校を減らせば、勉強量も減る免除には報告課題がついてきます。登校が減る分、家での提出物は増える設計です
スクーリングは学校ごとに自由に決められる学習指導要領が教科ごとに1単位あたりの標準時数を定めています
「1日も登校していない生徒が2.6%いる」=行かなくてよい調査に内訳の説明はなく、単位を修得できたかどうかは公表されていません。制度上、面接指導を0日のまま履修中の科目の時間数が満たされることはありません

「通信制はやめとけ」と言われる背景も含めて、進路としての通信制全体をどう見るかは「通信制高校はやめとけ」は本当?で検証しました。

まとめ

「ゼロの学校」は無いけれど、「年に数日」までは制度として用意されている——それがこの記事の答えです。

  • 面接指導は高等学校通信教育規程第2条が定める通信教育の方法そのもの。完全にゼロの学校はありません
  • ただしメディア学習による免除があります。面接指導等時間数のうち10分の6以内、特に必要がある場合は複数メディアで合計10分の8まで
  • 上限が10分の8なので、最低10分の2は残る。これが「ゼロにならない」理由です
  • 実態は、10分の6以内の減免を実施している学校が科目により7割前後、10分の8以内まで行う学校は1割台
  • 通学頻度別では、「その他(月1〜2回等)」に99,722人、集中スクーリング前提のコースに86,961人。登校の少ない選択肢は主流です
  • N高グループのネットコースは、1年次・3年次が年7〜8日

「スクーリングなし」で検索する方の多くは、いま外に出るのがしんどいのだと思います。その気持ちは、当時の私にもよくわかります。私のなかにも、学校に行きたくない気持ちは確かにありました。

でも実際に通ってみて、月に数回だけ行けばいいという設計は、私にとってはちょうどよかったのです。ゼロではなかったから社会と細い線がつながっていたし、毎日ではなかったから続けられた。これは私の場合の話で、誰にでも当てはまるとは思いません。ただ、ゼロを探すのをやめた先に、選べるものがあることは、伝えておきたいと思いました。

学校ごとの日数と免除の扱いは、公式サイトだけでは細かいところまで載っていないことがあります。私が資料を取り寄せたときは、紙の学校案内と電子パンフレットの両方が手に入り、日程の全体像を一覧で見られました。そのときの中身と届くまでの流れは請求から到着までの記録にまとめてあります。