「高卒認定試験 難易度」と検索しているのは、高校を辞めた人か、辞めるかどうか迷っている人、あるいはその親御さんだと思います。

知りたいのは、おそらく2つです。自分(うちの子)でも受かるのか。 それから、高卒認定と通信制高校、どちらを選べばいいのか。

この記事では、文部科学省が公表している実施結果と規則から、高卒認定試験の難易度を数字で確かめます。そのうえで、通信制高校との違いを整理します。

私は中学で学校に行けなくなり、そのあと通信制高校に進んで卒業しました。高卒認定試験は受けていません。その立場の違いは先に書いておきます。そのかわり、「独学で勉強を続けられるか」という点については、自分の失敗から書けることがあります。

高卒認定試験の難易度は?合格率で見ると

令和8年度第1回の合格率は47.0%でした。文部科学省「令和8年度第1回高等学校卒業程度認定試験実施結果についてお知らせします」(2026年10月1日確認)によると、受験者は8,090人、全科目に合格した人は3,806人です。

高卒認定とは、高校卒業と同等以上の学力があると国が認める試験です。 正式名称は高等学校卒業程度認定試験で、高認とも呼ばれます。高校を卒業していない人が対象で、毎年8月と11月の2回、文部科学省が実施しています。

合格率は、ここ数年ほとんど動いていません。

年度年間の合格率
令和4年度46.4%
令和5年度47.2%
令和6年度49.7%
令和7年度47.2%
令和8年度(第1回)47.0%

(各年度の文部科学省「実施結果」の公表値。合格率は全科目合格者÷受験者)

令和7年度は、年間で出願者19,050人・受験者16,820人・合格者7,937人でした。毎年およそ8,000人が合格している試験です。

合格率47%は「半分が落ちる」という意味ではありません

合格率47%は、1回の試験で「全部の科目」に受かった人の割合です。1科目以上に受かった人まで含めると、数字はまったく違って見えます。

令和8年度第1回人数受験者に占める割合
1科目以上に合格した人7,804人96.5%
うち全科目に合格した人(高卒認定試験合格者)3,806人47.0%
うち一部の科目に合格した人3,998人49.4%

(同じ実施結果の表1より)

この回は、受験した人の96.5%が、少なくとも1科目には受かっています。 令和7年度は年間で89.4%でした(同じ実施結果の表1)。年によって上下はありますが、おおむね9割前後です。全科目合格に届かなかった半分も「落ちた」のではなく、「一部の科目に合格した」人です。

そして、一部の科目に合格した人は、次の回にその続きから受けられます。文部科学省のQ&A(2026年10月1日確認)はこう書いています。

一度合格した科目は記録に残りますので、残りの科目を次年度以降に受験することもできます。

つまり高卒認定試験は、1回で全部受かる試験というより、合格した科目を積み上げていく試験です。1回目で半分受かり、2回目で残りを受ける、という進め方ができます。「合格率47%だから、2人に1人は無理」と読む必要はありません。

合格点は何点ですか?

合格点は公表されていません。 高等学校卒業程度認定試験規則は、全科目で「合格点を得た者」を合格者とすると定めていますが、何点が合格点なのかは、文部科学省の規則・実施要項・Q&Aのどこにも書かれていません。

インターネットでよく見る「40点くらいで受かる」という話は、民間のサイトが書いているもので、そのサイト自身も「文部科学省は公表していない」と断っています。公的な資料では、確かめようがない数字です。

一方で、確かめられることもあります。

  • 出題はマークシート方式です。実施要項は「主として多肢選択による客観式の検査方法による出題とし,解答はマークシート方式による」としています
  • 試験時間は1科目50分です
  • 過去の問題と解答・配点表が文部科学省のサイトで公開されています

合格点がわからない以上、いちばん確かな難易度の測り方は、過去問を実際に解いてみることです。何点取れるかを自分の目で確かめるほうが、「40点」という噂よりずっと当てになります。

受ける科目は何科目ですか?

合格に必要な科目は9〜10科目です。 令和8年度から「情報」が加わり、1科目増えました。

教科科目必要な科目数
国語国語(現代の国語及び言語文化)1
地理歴史地理(地理総合)/歴史(歴史総合)2
公民公共1
数学数学(数学Ⅰ)1
理科科学と人間生活+基礎科目1つ、または基礎科目3つ2〜3
外国語英語(英語コミュニケーションⅠ)1
情報情報(情報Ⅰ)1

(高等学校卒業程度認定試験規則 別表・令和8年度実施要項より)

出題の範囲は、いまの高校の学習指導要領に沿ったもので、並んでいる科目名は、高校で最初に学ぶ科目です。

高校で取った単位や検定で、科目が免除になります

高校で修得した単位や、英検などの検定の合格で、科目を免除してもらえます。 規則の第5条が定めています。

  • 高校で、試験科目に当たる科目の単位を修得していれば、その科目は免除(単位修得証明書を出す)
  • 英検は準2級以上、数検は2級以上、ITパスポート試験の合格などで、対応する科目が免除
  • ただし「試験科目の全部について行うことはできない」。最低1科目は受けて合格する必要があります

高校を途中で辞めた人なら、1年生の単位が残っているだけで、受ける科目がかなり減ることがあります。令和4年4月以降に高校に入学した人の場合、免除に必要な単位は、たとえば数学Ⅰが3単位、英語コミュニケーションⅠが3単位、地理総合・歴史総合・公共・情報Ⅰがそれぞれ2単位です。国語は「現代の国語」2単位と「言語文化」2単位の両方が必要です(文部科学省「高等学校の単位修得による免除要件(令和8年度から)」/2026年10月1日確認)。また、文部科学省のQ&A「試験科目の免除について」は「試験科目にない科目については高等学校で修得していても科目免除の対象とはなりません」としています。受ける前に、前の学校から単位修得証明書をもらっておくと見通しが立ちます。

受験料は、受ける科目の数で決まります。7科目以上なら8,500円、4〜6科目なら6,500円、3科目以下なら4,500円です(規則 第11条)。

高卒認定試験を受けているのは、どんな人ですか?

受験者の半分近くは、高校を途中で辞めた人です。文部科学省のパンフレット(2026年10月1日確認)に、令和7年度の出願者の内訳が載っています。

最終学歴割合人数
高校中退47.7%9,079人
定時制・通信制高校に在学中19.1%3,645人
全日制高校に在学中13.7%2,618人
中学校卒業13.7%2,616人
その他4.8%922人
高専中退0.9%170人

見てほしいのは、高校に在学中の人が合わせて3割以上いることです。高卒認定試験は、高校を辞めた人だけのものではありません。定時制・通信制・全日制に通いながら受けている人がいます。文部科学省のQ&Aも「休学中でも受験可能です」としています。

合格した人の内訳と、年齢ごとの合格率

令和8年度第1回の合格者3,806人を、最終学歴で分けるとこうなります(同じ実施結果の表2)。

合格者の最終学歴人数割合
高校中退2,007人52.7%
全日制高校に在学中537人14.1%
定時制・通信制高校に在学中528人13.9%
中学校卒業408人10.7%
その他・高専中退326人8.6%

年齢でも見てみます。同じ実施結果の表3(受験者数と合格者数)から、年齢ごとに合格者÷受験者を割り算しました。

年齢受験者合格者合格者÷受験者
16〜18歳4,515人2,385人52.8%
19〜20歳1,271人572人45.0%
21〜25歳724人305人42.1%
26〜30歳347人130人37.5%
31〜40歳617人214人34.7%
41歳以上616人200人32.5%

(受験者の最高年齢は89歳、合格者の最高年齢は74歳)

1回の試験で全科目に合格する割合は、年齢が若いほど高く出ています。 なぜそうなるのかは、この資料からは分かりません。高校の単位による免除の有無なども影響しうるので、「若いほうが有利」とまでは言えません。ただ、受験者の半分以上は16〜18歳で、10代の受験はめずらしくない、ということは確かです。

高校を辞めたあとの進路全体については高校中退は人生終わり?に、休学という選択肢は高校の休学を学則と法令で整理した記事にまとめています。

合格したら「高卒」になりますか?

なりません。 ここがいちばん誤解されやすいところです。文部科学省のQ&A(2026年10月1日確認)は、はっきり書いています。

高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか?(答) なりません。合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません。

そのうえで、合格すると次のことができるようになります。

  • 大学・短大・専門学校の受験資格が得られる
  • 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)や保育士試験など、国家試験・資格試験で高卒者と同等に扱われるものがある
  • 18歳未満で合格した人は、18歳になってから合格者になる(規則 第8条)。ただし文部科学省のQ&A「大学受験等について」(2026年10月1日確認)は「満18歳の誕生日を迎える前でも年度内に満18歳になるのであれば、大学受験は可能です」としています

就職については、文部科学省のパンフレットが、国家試験や国の採用試験では高卒認定試験合格者は「高卒者と同等」に扱われているとしたうえで、「今後も、更に多くの地方公共団体や企業でも、同様の取扱いがなされるよう働きかけていきます」と書いています。つまり、民間企業での扱いは、国が働きかけている途中です。求人の「高卒以上」に高卒認定が含まれるかは、応募先に確かめる必要があります。

大学進学との関係については、通信制高校から大学進学は難しいかを書いた記事で、高卒認定の合格科目を高校の単位として認めてもらう方法も含めて整理しています。学歴そのものの扱いは通信制高校の学歴は不利になるかに書きました。

独学で、勉強を続けられますか?

高卒認定試験の難しさは、試験の問題より、一人で勉強を続けることのほうにある、と私は考えています。試験は年2回で、それまでの勉強の段取りは、全部自分で組む必要があるからです。

ここは、私の失敗から書けることがあります。

通信制高校に入ってからも、同じ壁がありました(通ったのはN高ではなく、別の通信制高校です)。

量が少なくても、一人では続かなかった、ということです。

通信制高校には、レポートの締め切りと登校日があります。高卒認定試験そのものには、その枠がありません。予備校やオンラインの講座で枠を作る人もいますが、そうしなければ、自分で過去問を解き、自分で次の試験日に照準を合わせることになります。勉強を一人で続けられる人には、最短の道です。一人では続かない自覚がある人には、試験の難易度より先に、その点が壁になると思います。

高卒認定と通信制高校、どちらを選べばいいですか?

分かれ目は2つです。「高校卒業」の学歴が要るかどうかと、一人で勉強を続けられるかどうか。

高卒認定試験通信制高校
得られるもの大学などの受験資格/高卒と同等以上の学力の認定高校卒業(最終学歴が高卒になる)
最終学歴高校卒業にならない高校卒業
かかる期間最短で1回(年2回実施)。科目を分けて受けられる卒業まで3年以上(前の高校の単位を引き継げる)
勉強の形自分で枠を作る(独学・予備校・講座など)レポート・スクーリング・試験の枠がある
お金受験料 4,500〜8,500円/回 + 教材・予備校代学費(就学支援金の対象)
向いている人大学・専門学校への進学が目的で、一人で勉強を進められる就職も考えて「高卒」の学歴が欲しい/締め切りと登校日の枠を使って進めたい

どちらか一方に決める必要もありません。 高卒認定試験は高校に在学中でも受けられます。通信制高校に在籍しながら高卒認定を受け、合格した科目を学校長の判断で高校の単位として認めてもらえる場合もあります(学校教育法施行規則 第100条)。逆に、高卒認定で一部の科目に合格し、残りを高校の単位で満たして合格者になる道もあります。

高校に在籍しながら、高卒認定を使う方法

高校に籍を置いたまま高卒認定を使う方法は、制度の上で2つあります。

  1. 高卒認定で合格した科目を、高校の単位として認めてもらう。 学校教育法施行規則 第100条は、高卒認定で「合格点を得た試験科目」に係る学修を、校長が「当該生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし、当該科目の単位を与えることができる」と定めています。認めるかどうか、何単位にするかは校長の判断です
  2. 高卒認定で一部の科目に合格し、残りを高校の単位で満たして、高卒認定の合格者になる。 文部科学省のQ&Aは、残りの科目を高校で修得した場合、合格の申請をすることで「合格者となることができます」としています

ただし、文部科学省のQ&Aは「高卒認定試験で受験できる科目数は最大で10科目までですので、高卒認定試験の受験のみによって高等学校卒業に必要な単位を全て修得することはできません」とも書いています。高卒認定だけで高校を卒業することはできない、ということです。在籍しながら使う場合は、出願する前に学校へ相談してください。

中学3年生で進路を考えている段階なら、高卒認定は選択肢の1つとして知っておく程度でよいと思います。進学の選択肢の並べ方は不登校から高校受験はできるかをまとめた記事に、通信制高校の仕組みは通信制高校とは?に書いています。

高卒認定を考えている子の親御さんへ

お金の面では、高卒認定のほうが安く見えます。 受験料は1回4,500〜8,500円で、通信制高校の学費とは桁が違います。ただ、独学が続かずに予備校や講座を使うと、その費用がかかります。受かるまでの回数によっても、総額は変わります。

時間の面では、高卒認定のほうが早く見えます。 年2回あり、科目を分けて受けられます。ただ、18歳未満で合格しても、合格者になるのは18歳からです。大学受験を目標にするなら、受験する年度に18歳になるかどうかが関わってきます。

そして、合格しても最終学歴は高校卒業になりません。 本人がどの道に進みたいのか、就職を考えているのか進学なのかで、どちらが合うかが変わります。親が先に「早くて安いほう」を決めてしまうより、目的を本人と一緒に確かめてから選ぶほうが、あとで食い違いが起きにくいと思います。

決める前に確かめておくこと

高卒認定と通信制高校で迷っている段階なら、両方の資料を手元に並べてみるのが早いと思います。高卒認定の受験案内の入手方法は、文部科学省のサイトで案内されています。通信制高校のほうは、私がN高等学校の資料を実際に請求して届いた中身を記録した記事があるので、どんなものが届くのかを先に見ることもできます。

まとめ

高卒認定試験は、1回で全部受かる試験ではなく、科目を積み上げていく試験です。難しいのは問題そのものより、一人で積み上げ続けることだと思います。

  • 合格率は令和8年度第1回で47.0%、ここ数年は46〜50%。ただし1科目以上の合格は96.5%(令和7年度は年間89.4%)で、合格した科目は記録に残ります
  • 合格点は公表されていません。確かめたいなら、公開されている過去問を解いてみるのが確実です
  • 合格に必要なのは9〜10科目(令和8年度から情報が追加)。高校の単位や英検などで免除になります
  • 受験者の47.7%は高校中退者、3割以上は高校に在学中の人です
  • 合格しても最終学歴は高校卒業になりません。大学・専門学校の受験資格は得られます
  • 通信制高校との分かれ目は、「高卒」の学歴が要るかと、一人で続けられるか。在籍しながら両方を使う道もあります