「通信制高校 友達」で検索してこられた方には、たぶん2通りあります。これから通う学校で友達ができるか不安な方と、すでに通っていて、思ったより一人だと感じている方です。
そして最近は、もう1通りあります。「友達 うざい」「友達 いらない」という調べ方をする方です。これも実際に検索されています。
この記事は、その3つのどれにも同じ答えを出さないつもりで書きます。私は通信制高校の卒業生で(N高ではなく別の通信制高校です)、いまは自分の店で現役のN高生4人を含む通信制出身の子たちを雇っています。在学中の私は「友達ができたり、できなかったり」でしたし、雇う側になってからは、学校で友達が少なかった子がその後どうなるかを何年も見てきました。
扱うのは次の3つです。
- なぜ通信制では友達ができにくいのか(性格の話ではなく、数字で説明できる構造の話)
- 学校が用意しているきっかけは、実際にどこにあるのか(公式で確認したものだけ)
- 友達が少ないまま卒業した子は、その後どうなったのか(雇う側として見てきたこと)
通信制高校で友達はできますか?
できる人もいれば、できない人もいます。 私は「できます」とは書きません。自分がそうではなかったからです。
関係が続かないというより、続く条件がそろいにくい。私はそう受け止めています。
いま在校生から聞いている話も、そんなに変わりません。
つまり、できないわけではないけれど、放っておいてできるものでもないというのが実際のところだと思います。そしてこの「時間がかかる」には、はっきりした理由があります。次の章で数字を見ます。
なぜ通信制高校は「友達ができない」と言われるのですか?
会う回数が、そもそも少ないからです。 性格や社交性の前に、この一点で説明がつく部分がかなりあります。
文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(初等中等教育局高等学校振興課・令和8年8月31日/調査時点は令和7年5月1日現在/2026年9月16日確認)に、通学頻度別のコースごとの生徒数が出ています。
| 通学頻度別コース | 生徒数 | 割合 |
|---|---|---|
| 週5通学コース | 37,505人 | 12.5% |
| 週4通学コース | 5,712人 | 1.9% |
| 週3通学コース | 20,013人 | 6.7% |
| 週2通学コース | 13,564人 | 4.5% |
| 週1通学コース | 36,929人 | 12.3% |
| いわゆる集中スクーリングを前提としたコース | 86,961人 | 28.9% |
| その他 | 99,722人 | 33.2% |
| 合計 | 300,406人 | — |
※割合は合計300,406人に対して算出したものです。この集計は通学頻度別コース単位の数字で、同調査の令和7年3月31日時点の在籍生徒数306,711人とは集計の対象が異なります。調査の注記によると、ここでいう「コース」には正規の教育課程ではない教育活動のために開設するコースも含まれます。
週3日以上通うコースにいるのは、63,230人(21.0%)です。 残りの約8割の内訳は、週2日以下のコースが50,493人(16.8%)、年に数日の集中スクーリングを前提としたコースが86,961人(28.9%)、「その他」が99,722人(33.2%)です。調査の注記によると「その他」には、月に1〜2回通学するコースや、都合の良い日にいつでも通学できるコースなどが含まれます。いずれも週3日以上の登校を前提にした設計ではない、というのがここで言えることです。
ここから言えることは単純です。同じ相手と次に会うのが1か月後、あるいは半年後という環境で、関係が育つのに時間がかかるのは当たり前だということです。
全日制なら、クラスが決まっていて、毎日同じ教室で、朝から夕方まで一緒にいます。会話が続かなくても、明日また顔を合わせます。あの環境は、友達ができやすいというより「会う回数が強制的に多い」だけだったのだと、私は卒業してから思うようになりました。
通信制は、その強制をやめた学校です。無理に会わなくていい代わりに、自然には会わない。 これが表と裏でセットになっています。
「コミュ障には無理」は、性格の話ではなく回数の話です
このキーワードで上位に出てくるのは、質問サイトや掲示板のページです。人がいる場に行っても自分から声をかけられない、自分のような人間には向いていないのではないか——そういう趣旨の相談が、いくつも並んでいます。
自分をどう名づけるかについて、私は何も言えません。 それは医療や心理の領域で、私は専門家ではないからです。
ただ、ひとつだけ書けることがあります。年に数回しか会わない相手と、初回で打ち解けられる人のほうが少ないということです。上で見たとおり、会う設計がそうなっています。初対面に近い状態が何度も繰り返されるので、「うまくできなかった」と感じる回数だけが増えやすい構造でもあります。
それを自分の性格の証拠として受け取る必要はない、というのが私の意見です。
友達ができている人は、どこで出会っているのですか?
学校が場を用意した日です。 これは私の印象ではなく、公式のアンケート結果として順位が出ています。
N高グループの公式パンフレット「学校案内」(2026年版)に、在校生アンケートの結果として「友だちができたきっかけ」が載っています。
| 順位 | きっかけ |
|---|---|
| 第1位 | スクーリング会場での交流 |
| 第2位 | リアルキャンパスでの交流 |
| 第3位 | Slackでの交流 |
このデータは、私のサイトの別の記事でも紹介しています。ただ、この記事の文脈で読み直すと、順位そのものより「上位3つに何が入っていないか」のほうが重要だと思っています。
上位3つに、偶然が入っていません。
廊下ですれ違う。隣の席になる。同じ電車で帰る。忘れ物を借りる。全日制で友達ができるきっかけの多くは、本人が何も決めていないところで発生します。上位3つは全部、参加するかどうかを本人が選んだ場です。
※学校案内に載っているのは上位3つだけで、選択肢の全体や回答者数は公表されていません。ここから言えるのは「上位に来たものが、いずれも学校が用意した場だった」までで、それ以外のきっかけが存在しないという意味ではありません。
これは、きつい話でもあり、救いのある話でもあります。
- きついのは、動かないと何も始まらないこと
- 救いなのは、参加する日を1つ増やすだけで、確率が動くこと
同じ学校案内には、スクーリングについて「授業や特別活動だけでなく、仲間と交流するきっかけを提供しています」「Slackでは、同じ趣味・興味を持つ仲間と集うことができます」という説明もあります。スクーリングそのものの日数や会場、費用についてはN高のスクーリングは年何日?会場一覧・沖縄伊計本校・費用まで解説に整理してあるので、そちらを見てください。
友達が少なかった子は、その後どうなったのか
では、動かないまま卒業した子は、その後どうなったのか。 先に、そこから書きます。学校の公式ページが書けるのは在学中までで、知恵袋の相談は、書き込んだ時点で話が止まります。卒業したあとを見ているのは、たぶん雇う側です。
この「最初が少し遅い」の中身が、この記事の答えだと思っています。
これは学力の話ではありません。人と話してきた場数の話です。 そして場数は、あとから積めます。実際に、そうなった子を見ています。
面接で受け答えができなかった子が、いま人を育てる側にいます。 1年かかりました。
私はこの事実を、「だから大丈夫」という励ましには使いたくありません。同じ現場から、逆向きの話も書いておきます。
この観察は、あくまでうちのバイトが続いたかどうかの話で、その子の人生がどうなるかの話ではありません。そのうえで言えるのは、在学中の友達の人数が、その後の働きぶりを決めていたわけではないということです。
友達ができないなら、場数だけ別のところで積むという手があります
友達を作ることと、人と話す量を増やすことは、別々に扱えます。 ここを分けると、動きやすくなる人がいると思います。
学校で友達を作るのは、相手との相性という運の要素が大きい。でも「人と話す場数」のほうは、相性が悪くても積めます。
私自身がそうでした。
順番としては、学校に慣れる → バイトを始める → 外に出るのに慣れる → 自分でコンビニや本屋に行けるようになる、という流れでした。世界は一直線には広がらず、きっかけが連鎖して広がりました。
バイトの現実的な話(何時間できるのか、学校とどう両立するのか)は通信制高校でバイトはできる?両立の実際を卒業生と雇う側からに書いています。
もうひとつ、不登校だったころの話も添えておきます。
親から見れば「ゲーム三昧」でも、本人にとっては唯一の社会接点だったということがあります。友達が「学校の中にいるかどうか」だけで数えると、見落とすものがあります。
ここから先は、在学中の話に戻ります。学校の側が実際にどんな場を用意しているのかを、公式で確認しました。
学校が用意している「きっかけ」を公式サイトで確認しました
きっかけは5系統あり、そのうち3つはオンラインで完結します。 2026年9月16日に、N高グループの公式サイトの各ページを開いて確認した内容です。
| きっかけ | 公式に書かれていること | 確認したページ |
|---|---|---|
| スクーリング | 「スクーリングにはガイダンスやグループワーク・特別活動など友だちができるきっかけがたくさんあります。スクーリングは友だちづくりの場になっています」 | よくある質問 |
| リアルキャンパス | 通学コースの説明に「友だちと出会い、メンターの手厚いサポートを受けられます」「メンター・友だちとの交流など、キャンパスを最大限に活用」 | 通学コース |
| Slack | 「コミュニケーションツール『Slack』やネット部活・同好会、バーチャル空間で行われる交流会で友だちとつながることができます」 | ネットコース |
| ネット部活・同好会 | 「部員同士の交流や特別顧問による直接指導を行っています」 | ネット部活・同好会 |
| イベント | 年間9つのイベントを掲載。冒頭に「(イベントの参加は任意です。内容は年度ごとに異なります。)」と明記 | 年間イベント |
Slackについては、学校生活のページにも「一度しかない高校生活を楽しむために、ネットの高校では生徒と生徒、生徒とメンターがコミュニケーションを取れる"場"が数多くあります」「バーチャル空間では、リアルに近いコミュニケーションで全国の仲間と楽しめます」という記載がありました。相談の窓口としても、公式のよくある質問に「所属コースにかかわらずN高グループ生は電話やメール、Slack、Zoomなどを利用して相談できます」と書かれています。
部活と同好会の中身は、この記事では扱いません。 どんな部があるか、入部に審査があるのか、費用はかかるのかはN高の部活はネットで活動?種類一覧と参加のリアルにまとめてあるので、興味がある方はそちらへどうぞ。ネットコースの生活全体の組み立てはN高ネットコースの実態|学費・1日の流れ・向いている子にあります。
ひとりで参加しても大丈夫なのか、という質問
これは公式のよくある質問に、そのままの形で載っています。
ひとりで参加する場合友だちはできますか?
スクーリングにはガイダンスやグループワーク・特別活動など友だちができるきっかけがたくさんあります。スクーリングは友だちづくりの場になっています。
同じページには、逆の質問もあります。
友だちと一緒にスクーリングに参加することはできますか?
在籍校が同じ場合、それぞれが同日に予約を入れることで一緒に参加できます。ただし、スクーリングには参加可能人数があるため、定員に達すると予約できません。
後者は実務的に大事な情報だと思います。 「知っている子と一緒に行きたい」は、多くの生徒にとって現実的な希望です。制度としてはできる。ただし定員があるので、早めに動く必要がある。これは知っておいて損のない話です。
「友達がうざい」「作りたくない」と思っている人へ
友達をつくらないという選択は、制度の上で普通に成立します。 ただし、完全に人と関わらずに卒業する設計にはなっていません。まずそこを正確に書きます。
N高グループの公式のよくある質問に、卒業の要件が5つ挙げられています(2026年9月16日確認)。
- 高等学校の在籍年数が3年以上
- 必履修科目を全て履修している
- 合計修得単位数が74単位以上
- 特別活動の必要時間数を満たしている
- 在籍期間の学費および諸費用を全て納入している
友達の人数は、どこにも出てきません。 一方で4番目の特別活動は要件に入っています。ホームルームや行事にあたる時間が一定数は必要、ということです。つまり「誰とも顔を合わせずに卒業」ではなく、「関係を深めるかどうかは自分で決められる」が正確なところだと思います。
服装や身なりについても、公式のよくある質問には「頭髪や装飾など身なりに関する校則もありません」と書かれています。外形を揃えることを求められない学校では、人付き合いの型も求められにくい、というのが私の実感です。
ただし、「いらない」と「できなくてつらい」は別の話です
ここは慎重に書きます。
「友達なんていらない」と自分で決めている状態と、欲しいのにできなくて、そう言うことで自分を守っている状態は、外からは同じに見えます。でも中身はまったく違います。
私は前者を否定しません。実際、高校の3年間で友達を作らなくても、人生は普通に続きます。 先に書いたとおり、私はそれを雇う側として見てきました。
ただ後者なら、その気持ちを一人で抱え続ける必要はありません。 誰かに一度話してみると、それだけで少し軽くなることがあります。文部科学省の同じ調査によると、通信制高校323校のうち273校(84.5%)がスクールカウンセラーに相談できる体制を整えています。令和6年度間に支援を受けた生徒は延べ21,303人でした。使っている人はそれなりにいます。
人間関係がしんどくなったときに、通信制でできること
もうひとつ、通信制ならではの話を書いておきます。距離を取る手段が制度として用意されていることです。
N高グループの場合、コース変更の周期が公式に決まっています。
ネットコースから週5コース・週3コース・週1+コースへの変更は、3ヵ月ごと。週5コース・週3コース・週1+コースからネットコースへの変更は6ヵ月ごとに可能です。
全日制では、クラスが合わないからといって通学日数を減らすのは簡単ではありません。通信制では、それが手続きとして用意されています。逃げ道が制度としてあるだけで、踏みとどまれることがあります。 私自身、多少休んでも単位が足りる設計に助けられて卒業しました。
人間関係のトラブルそのものについてはN高等学校にいじめはある?ネット上のトラブルと、在校生3人に聞いた実際に、「通信制に通っていること自体が言いにくい」という別方向のしんどさについては「N高は恥ずかしい」と感じているあなたへに分けて書いています。
私の場合、友達関係はこうでした
数は少なかったし、途中で途切れました。そのうえで、続いたものもあります。 両方書きます。
先に書いたとおり、在学中は「できたり、できなかったり」でした。ただ、途中で変化がありました。
この話の詳細は中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに書いたので、ここでは繰り返しません。この記事で書きたいのは、むしろ後悔しているほうの話です。
通信制には、年齢も背景もばらばらの人がいます。私のときは、病気や単位の関係で1〜2歳上の人、社会人になってから高卒を取りに来た親世代、リタイア後に通っている年配の方、妊娠中の方、外国籍の方、芸能活動をしている人がいました。昼食を30代のクラスメイトによく奢ってもらっていたこともあります。
あのとき「同い年の友達」だけを探していたのは、もったいなかったと思っています。
保護者の方へ:友達の人数を、心配の中心に置かないでください
学校に行きづらくなる理由の上位は、友達ではありません。 これは公的な調査の数字で確認できます。
先ほどの文部科学省の実態調査によると、添削課題は提出しているのに、令和6年度の1年間で面接指導(スクーリング)に1日も来ていない生徒は、令和7年3月31日時点の在籍生徒数306,711人のうち8,097人(2.6%)でした。学習は続いているし、在籍もしています。
同じ調査は、その理由を学校に尋ねています。最も多かったのは「心身に関すること」(感覚の敏感さ、体調不良、不安・抑うつ、朝起きられない 等)を挙げた161校。「友人との関係(トラブル(いじめ以外)、親しい友人がいない 等)」を挙げたのは42校で、対象168校の4分の1でした(対象は323校のうち168校。これは生徒数ではなく、その理由を選択した生徒が在籍する学校数です)。
ここから読めることは2つです。ひとつは、文部科学省の調査票に「親しい友人がいない」という選択肢が実在すること。国が数えるくらいには珍しくない、ということです。もうひとつは、それでも最多ではないこと。
「友達ができないから学校に行けない」と親が先に結論を出すと、体調や生活リズムの話が後回しになります。 順番を間違えると、本人は「友達を作れない自分が悪い」と受け取ります。学校側の対応にも数字があって、同じ168校のうち165校が「教師による定期的な連絡」を行っていました。
最後にひとつ。親にできるのは、友達を増やすことではなく、会える場所の情報を切らさないことだと思っています。 私が中学に行けなくなったとき、親は登校を促しませんでした。かわりに通信制高校の資料を取り寄せてきて、それが私の進路になりました。友達の話も同じで、作れと言う必要はなくて、作れる場がどこにあるのかだけ伝わっていれば足りるのだと思います。
まとめ
この記事の要点を、持ち帰れる形で並べておきます。
- 通信制高校で友達ができるかは、性格より先に「会う回数」の問題です。 週3日以上通うコースにいるのは21.0%で、残る約8割は週3日以上の登校を前提にしない設計のコースにいます
- 友だちができたきっかけの上位3つは、すべて学校が用意した場でした。偶然すれ違って始まる経路が構造的にないので、参加する日を1つ増やすことがそのまま確率になります
- 卒業要件に友達は含まれません。 ただし特別活動の時間数は要件に入っているので、まったく人と関わらない設計ではありません
- 「いらない」と「欲しいのにできない」は別です。前者は成り立ちます。後者なら、323校中273校にあるスクールカウンセラーの体制を一度使ってみる価値があります
- 通信制出身の子を12人以上雇ってきて、在学中の友達の人数が働きぶりを決めていると感じたことはありません。 効いていたのは「人と話してきた場数」で、これは学校の外でも積めます。一方で、続かずに辞めていく子も一定数います。そこは正直に書いておきます
- 保護者の方へ。学校に行けなくなる理由として学校が最も多く挙げたのは「心身に関すること」で、友人関係ではありません。 順番を間違えると、本人は「友達を作れない自分が悪い」と受け取ります
「友達ができるか」は、入学前に確定させられることではありません。かわりに、登校日が年に何日あるのか、任意で参加できる場がどれだけあるのか、しんどくなったときに通学日数を減らせるのかは、入学前に調べられます。学校案内にはそこが書いてあります。まず見比べるところからで、十分だと思います。