「N高等学校 恥ずかしい」——この言葉で検索した方の多くは、たぶん2つのことを知りたいのだと思います。ひとつは「学歴として、ちゃんと通用するのか」という事実。もうひとつは「それでも人に言いにくい、この気持ちをどうすればいいのか」です。そして、その検索を誰かに見られたくなかった方も、きっといると思います。学校の話も、恥ずかしいという気持ちそのものも、周りには聞きづらいものです。

私は通信制高校の卒業生で、在学中は自分の学校のことを聞かれるのが苦手で、正直ごまかしていた側の人間です。いまは店を経営していて、現役のN高生4人がアルバイトとして働いています。

この記事では、先に文部科学省と学校公式の資料で事実を確かめ、そのあとで、恥ずかしさが私の中でどう消えていったかを書きます。事実はもう知っていて、気持ちの話から読みたい方は「私も、言えませんでした」の章から読んでください。

  • 卒業したときの学歴は、全日制とどう違うのか(文科省の説明の原文)
  • 「底辺」「誰でも入れる」と言われる理由と、実際に通っている人
  • 恥ずかしいと感じたときの、経験者としての対処法

「恥ずかしい」と言われる理由と、事実

「恥ずかしい」と検索する人が気にしていることを分けると、だいたい次の3つになります。順に、公的な資料と公式の記載で確かめます。

気にしていることよくある言い方確かめる資料
学歴として通用するか「ちゃんとした高校じゃない」「履歴書で恥をかく」文部科学省FAQ・学校教育法
世間からどう見られるか「底辺」「誰でも入れる」「珍しい」学校基本調査・入試と卒業の仕組み
どんな人が通っているか「普通の子は行かない」N高グループ公式の記載・店のN高生

N高等学校の卒業は、学歴として全日制と同じですか?

同じです。 まず、そもそも通信制高校とは何かを、文部科学省の言葉で確認しておきます。

通信制高校とは「自宅等での自学自習を中心にレポートの提出(添削指導)、スクーリングへの参加(面接指導)、多様なメディアを利用した学習、試験等を通じて学習する高等学校です。」

——文部科学省 通信制高校情報発信サイト「よくある質問」(2026年10月26日確認)

同じページで、卒業後の学歴についても質問と答えが載っています。

Q「通信制高校を卒業すると最終学歴は高等学校を卒業したことになりますか?」

A「全日制高校や定時制高校と同じ「高等学校卒業」になります。」

法律の組み立ても見ておきます。学校教育法は、高等学校の課程として「全日制の課程」「定時制の課程」「通信制の課程」の3つを定義し(第4条第1項)、第54条で「高等学校には、全日制の課程又は定時制の課程のほか、通信制の課程を置くことができる。」「高等学校には、通信制の課程のみを置くことができる。」と定めています。つまりN高等学校とは、学校教育法第一条に定められた、通信制の課程のみを置く高等学校です。公式の情報公開でも、N高等学校は「課程 単位制・通信制課程(広域)」「学科 普通科」と記載されています(基本情報 2026年5月現在)。

卒業の条件も、課程で分かれていません。学校教育法施行規則第96条は、校長が卒業を認めるのは「七十四単位以上を修得した者」と定めていて、全日制か通信制かで数字は変わりません。大学に入学できる人も、学校教育法第90条で「高等学校…を卒業した者」とされていて、課程の区別はありません。

つまり、法律に「通信制も全日制と同じ」と書いた条文があるのではなく、そもそも課程で区別していない、というのが正確なところです(法令はe-Gov法令検索で2026年10月26日確認)。

N高グループ自身も、公式の「よくある質問」でこう答えています。

「はい。N高等学校、S高等学校、R高等学校は学校教育法第一条に定められた高等学校です。全日制と同じ「高校卒業資格」を取得することができます。」

履歴書の学歴欄も、全日制の人と同じ形で「入学」「卒業」を書くだけです。正式名称や「通信制課程」を書き添えるべきかどうかは、N高等学校の正式名称と履歴書の書き方で根拠つきで整理しました。

「底辺」「誰でも入れる」は本当?

入口と出口を分けて考えると、見え方が変わります。

入口について。公式の入学試験の案内では、ネットコースとオンラインキャンパスは書類選考で、入学試験はありません。通学するコースは書類選考に筆記試験と面接が加わります(2026年10月24日確認)。どちらも偏差値という数字が出る形ではないので、「誰でも入れる」「底辺」という言い方につながりやすいのだと思います。偏差値がないことの意味はN高等学校に偏差値がない理由に、「底辺校」という言葉の出どころはN高等学校とは?の「底辺校」の章に書きました。

ただ、出口の条件は別です。前の節のとおり、卒業に必要なのは全日制と同じ74単位以上で、N高でもレポートの提出、スクーリング、単位認定試験を積み上げて単位を取ります。入りやすさと、卒業の中身は別の話です。「入口で選抜が少ない」ことを「卒業まで楽」と読み替えると、実際とずれます。卒業までたどり着く人の割合や、卒業後の進路の数字は、「人生終わり」と言われる理由を学歴・進路・世間の目に分けて確かめた記事に公式の数字をそのまま並べています。

どれくらいの人が通信制を選んでいる?

通信制高校の生徒は、いま過去最多です。 文部科学省が2026年8月26日に公表した学校基本調査の速報(令和8年5月1日現在)は、「高等学校(通信制)は、31万2千人で、前年度より7千人増加し、過去最多。」と書いています。

ここ数年の推移を、同じ学校基本調査の数字で並べてみます。

年度(5月1日現在)全日制・定時制通信制通信制の割合(当サイトの計算)
令和5年度2,918,501人264,974人8.3%(約12人に1人)
令和6年度2,906,921人290,087人9.1%(約11人に1人)
令和7年度2,873,619人305,197人9.6%(約10人に1人)
令和8年度(速報)2,845,117人311,792人9.9%(約10人に1人)

(出典:令和5〜7年度は文部科学省「通信制課程における教育課程について」資料2の生徒数推移、令和8年度は「令和8年度学校基本統計 速報値」。いずれも出典は学校基本調査。2026年10月26日確認。割合は「通信制÷(全日制・定時制+通信制)」で計算し、中等教育学校の後期課程は含めていません)

令和5年度から令和8年度の3年間で、全日制・定時制は73,384人減り、通信制は46,818人増えました。35人のクラスに置き換えると、通信制の生徒は3〜4人いる計算です。

※この記事の以前の版では「約26万人(令和5年度)・高校生のおよそ11人に1人」と書いていました。令和5年度の人数で計算すると約12人に1人になり、割合が合っていませんでした。最新の数字に改めています。

そのうちN高グループは、公式サイトのトップで「全校生徒数 36,371名」(2026年3月末時点)と公表し、公式コラムでは「高校生の約100人に1人がN高グループの生徒です。」と書いています(N高グループ公式サイト・公式コラム、2026年10月26日確認)。N高・S高・R高それぞれの在籍者数と、通信制全体に占める割合はN高の生徒数の記事に書きました。

実際、どんな人が通っている?

一言でまとめられないくらい、幅があります。 公式コラムは、在籍している生徒の例をこう書いています。

「フランスでロードレーサーになる夢に向かって活動している生徒、プログラミングを集中して学びながらIT企業で働いている生徒、ネットコースに在籍しながら海外留学をしている生徒、高校卒業資格の勉強と並行して大学受験の準備をしている生徒、タレント活動をしながら学習している生徒など、多様なバックグラウンドを持つ生徒が在籍しています。」

もちろん、これは学校が選んで紹介している例です。学校に行けなくなって通信制を選ぶ人も、同じように普通にいます。文部科学省の実態調査では、令和7年度に全国の通信制高校へ入学した77,998人のうち、中学3年生のときに不登校だった人は44,461人(57.0%)でした(令和7年度通信制高等学校実態調査、通信制全体の数字で、N高の数字ではありません。2026年10月26日確認)。私も、中学で学校に行けなくなってから通信制を選んだ側です。目的があって選んだ人と、そうでない人が、同じ学校に並んでいるというのが実際の姿です。

見た目の話もしておきます。公式の「よくある質問」には「制服の購入・着用は所属コースにかかわらず任意です。」とあります。店のN高生に聞いたところでは、「クラスだと制服は3人しかいない」そうです。その子のクラスでは、私服のほうが多数派ということです。制服を買うかどうかの判断はN高の制服の記事に書きました。

「すごい学校」の話は、年まで見ておく

ネットでは逆に「N高はすごい」という話もよく見かけます。どれも公式の記載がありますが、いつの話かを一緒に見ておかないと、受け取り方がずれます。

よく聞く話公式の記載時期
「世界最高の学校賞」トップ3イギリスの教育支援団体T4 Educationの「World's Best School Prizes(世界最高の学校賞)」イノベーション部門で、ファイナリスト3校に選出。日本からはN高のみ(公式ニュース)2022年(選ばれたのはN高等学校。S高・R高の実績ではありません)
eスポーツの全国大会で優勝「STAGE:0 2025」でFORTNITE(バトルロイヤル)部門・OVERWATCH 2部門優勝、「第3回 NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権」でSTREET FIGHTER 6部門・League of Legends部門優勝(eスポーツ部の大会実績)2025年度
投資部に有名な投資家「村上世彰特別顧問の講義のほか、優秀な部員は村上特別顧問の個人面談を受けられます。」(部活動一覧)2026年10月時点の記載
生徒会の予算が1,000万円「年間1,000万円の運営予算を活用しながら生徒自身がさまざまな決済権限を持ち活動するN/S高生徒会」(公式ニュース)2024年9月の発表(生徒会の発足は2022年度)
卒業生がW杯・五輪に2026年、卒業生がFIFAワールドカップ、ミラノ・コルティナ冬季五輪、アジア競技大会に日本代表として出場し、メダルも獲得(卒業生の記事に出典つきで整理)2026年(S高の卒業生も含む)

(確認日:eスポーツ部は2026年10月11日、卒業生は2026年10月12日、それ以外は2026年10月26日)

世界最高の学校賞は公式サイトにいまも「世界トップ3に選出」と載っていて、現在の記載には年が書かれていないので、この表では公式ニュースの日付で2022年としました。4年前の評価です。eスポーツ部の活動はN高のeスポーツ部の記事、公式が紹介している卒業生と、そうではない普通の卒業生の進路は卒業生の「その後」を公式の紹介と分けて整理した記事に書いています。

ひとつ付け加えると、こうした話は「学歴が足かせにならなかった例」ではあっても、「N高に行けばこうなれる」という話ではありません。恥ずかしいかどうかを判断する材料としては、上の「卒業資格」と「通っている人の幅」のほうが、自分の子に当てはまる情報だと思います。

私も、言えませんでした

ここからは、事実では片づかない「気持ち」の話です。まず、私自身のことを書きます。

当時恥ずかしかった理由は、いま振り返ると単純です。

通信制を選んだこと自体は、後悔していません。学校で嫌な気持ちになることもありましたが、私にとって良い選択だったと思っています。そのあたりの経緯は中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに書きました。それでも、校名は言えなかった。選んだことに納得していても、言いにくさは別に残る——私の場合はそうでした。あなたがいま同じ状態でも、それは学校への裏切りではありません。

社会人になって、恥ずかしさは形を変えました

卒業して働き始めると恥ずかしさは消える——と言いたいところですが、実際は少し違いました。

相手に悪意があったとは思いません。私の場合、恥ずかしさを消したのは「気にしない心の強さ」ではありませんでした。できることが増えたら、気にする場面のほうがなくなっていた、という順番です。

だから、いま恥ずかしさを感じている人に「気にしないで」と言うつもりはありません。気にしないように頑張るより、目の前のことをひとつずつ増やしていくほうが、少なくとも私には効きました。

いまのN高生は、驚くほどオープンです

ここからは、現在の話です。いま店でアルバイトをしてくれている現役のN高生は、4人います。

自分の意思で選んだ学校だから、隠す理由がない。4人を見ていると、そういうことなのだと思います。校名をごまかしていた私とは、ずいぶん違います。そしてその背景には、上の表の変化もあります。私のころは通信制そのものが少なかったのに対し、いまは高校生の約10人に1人です。「通信制です」と言う場面の重さが、私のころとは違ってきているのだと思います。

N高生4人の普段の様子は在校生4人に聞いた評判にまとめています。「やめとけ」という言葉のほうが気になる場合は、その検証記事で不安を6つに分けて確かめました。

それでも恥ずかしいときの、実用的な対処法

とはいえ、気持ちは数字では消えません。いま現在の「言いたくない」にどう対処するか。経験者として、後輩に言うならこうです。

「わざわざ自分から言わなくていいし、聞かれたら答えるぐらいでいい。就活の履歴書以外でそんなに聞かれることないし、気にすることないと思う」

これを、場面の構え方にするとこうなります。

3つ目を実感した例をひとつ挙げます。

かつて校名をごまかしていた側からすると、拍子抜けするほどあっさりしています。身構えているのは、たいてい自分のほうなのだと思います。

「でも、履歴書を見る側は内心どう思っているの?」——ここは、いま実際に履歴書を見る側になった私が答えます。

その子が管理職になるまでの話はN高生4人と働いてわかったことに書きました。かつて履歴書を書く側として気にしていた欄を、いまは読む側として見ています。その立場から言えるのは、少なくとも私は、そこで人を判断していないということです。就職の場面が不安な場合は、通信制から就職はできる?で、卒業生と採用する側の両方から書いています。

「でも実際、下に見られることはあるでしょ?」に正直に答える

きれいごとで終わらせたくないので、この問いにも答えておきます。

偏見が世の中にゼロかと言えば、ゼロではないと思います。 私が卒業したころに一般の就職面接を受けていたら、少しマイナスに働いた部分はあったと思います。私自身は学校の推薦枠で就職したので、面接で通信制のことを深く聞かれることはありませんでした。

ただ、いまは通信制が当たり前になってきて、偏見も少なくなってきていると感じます。そのうえで、私が実際に経験した「困ったこと」を正直に書くと、こうなります。

ひとつだけあったのは、4年かけて卒業したぶん同学年の人と年がずれ、そこを「どうしてなの」と聞かれたことです。これは通信制だからではなく、卒業までの年数の話なので、4年で卒業する選択の記事に分けて書きました。

偏見は「ない」とは言いません。ただ、在学中に想像していたほど、社会に出てから出番は多くなかった。これが、経験者としての正直な答えです。

場面別:こう乗り切ればいい

「聞かれたら短く答える」を、よくある3つの場面に当てはめておきます。台本があると、その場で固まらずに済みます。

親戚の集まりで「学校どう?」と聞かれたら

「楽しくやってるよ」で十分です。 親戚が聞きたいのは学校の制度ではなく、あなたが元気かどうかです。通信制の説明を求められているわけではないので、近況を一言返せば会話は成立します。深く聞かれたら「ネットで授業を受ける高校で、自分には合ってる」まで言えれば十分すぎるくらいです。

昔の友達に「いまどこの高校?」と聞かれたら

一番ドキッとする場面だと思います。でも、相手が知りたいのはたいてい近況です。「N高ってとこ。ネットの高校」で会話は進みます。相手が興味を持って聞いてきたら、そのとき話せばいいし、話したくなければ「まあ、自分には合ってる」で切り上げてもかまいません。その先を話すかどうかは、あなたが決めていい。

バイトの面接で学校を聞かれたら

ここは、むしろ言ったほうが得になる場面です。採用する側の私から見ると、平日の日中に入れる人は貴重だからです。「通信制なので平日の昼も入れます」は、面接で使える立派な材料です。弱みだと思っていたものが、場面が変われば強みになる例です。

親御さんへ:隠したがる子を、直さなくていい

もしこの記事を読んでいるのが保護者の方で、お子さんが学校名を隠したがることに心を痛めているなら、ひとつだけ。

隠したがることを、直そうとしなくて大丈夫だと思います。「堂々としなさい」「いい学校でしょう」と説得したくなる気持ちは分かります。私の場合、恥ずかしさが気にならなくなったのは、社会に出て自分にできることが増えてからでした。言葉で消えるものではなかった、というのが実感です。

親ができるのは、家の中では学校が「普通のもの」として扱われている状態をつくることだと思います。親が学校の話を普通にする。行事の話を普通に聞く。それだけで、少なくとも家の中は「隠さなくていい場所」になります。外で言えるようになるのは、その後でいい。

そして、もし親御さん自身が「通信制で大丈夫だろうか」と迷っているなら、最初に書いた事実を思い出してください。卒業すれば、全日制と同じ「高等学校卒業」です。親としての関わり方は不登校の子の進路、親にできることにも書いています。

入学を迷っている段階なら:恥ずかしさだけで選択肢を外さないで

もしあなた(またはお子さん)が入学を考えている段階で、「通いたい気持ちはあるけれど、恥ずかしい気がして踏み切れない」のだとしたら、伝えたいことがあります。

私は通信制で自分のペースで学べたことで、卒業までたどり着き、社会に出ることができました。ただ、それは私の場合で、通信制が合わない人もいます。だから「通信制に行けば大丈夫」とは言いません。言えるのは、恥ずかしさだけを理由に、合うかもしれない選択肢を最初から外すのはもったいない、ということです。

合うかどうかは、イメージではなく中身で判断したほうが確かです。コースごとの登校日数、レポートの進め方、学費。こうしたことは学校の資料にまとまっています。人に聞かれる前に、まず自分で中身を知っておくと、それだけで気が楽になります。私が実際に請求して、何が届いたかは資料を取り寄せたときの記録に残しました。

まとめ:恥ずかしさは、通過点です

  • N高を卒業すると、学歴は全日制と同じ「高等学校卒業」。文部科学省がそう説明していて、法律も課程で区別していない
  • 通信制高校の生徒は311,792人で過去最多、高校生の約10人に1人(令和8年度速報)。N高グループは36,371名(2026年3月末)
  • 「恥ずかしい」と感じるのは変ではない。校名をごまかしていた私もそうでした
  • 私の場合、恥ずかしさはできることが増えたら気にならなくなった
  • 対処は「自分から言わない・聞かれたら短く」。深く聞かれる場面は、思っているよりずっと少ない

この記事を書きながら、ひとつ気づいたことがあります。私はいま、通信制卒であることをこうして何千字も書いて公開しています。かつて校名すらごまかしていた人間が、です。恥ずかしさは、克服しようと力むものではなく、前に進んでいるうちに気にならなくなっていくものなのだと思います。

最後に、当時の私と同じ気持ちでいる人へ。わざわざ自分から言わなくていい。聞かれたら答えるくらいでいい。 それより、単位をひとつずつ取って、好きなことに時間を使って、できることを増やしていってください。