「N高って、有名人も通ってるんでしょ?」

N高グループの名前を知るきっかけが、テレビやネットで見た有名人の話だった、という方もいると思います。一方で、検索してみると、まとめサイトごとに名前が違ったり、「この人も?」と思うような名前が混ざっていたりして、どれが本当なのか分かりにくいところがあります。

N高の卒業生とは、学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校を卒業した人のことです。 2016年に開校した学校なので、卒業生はまだ若い世代ですが、すでにオリンピックやワールドカップで活躍している人もいます。

この記事では、学園の公式サイトとニュースで確認できる人だけに絞って、有名な卒業生を紹介します。あわせて、よく混同される人や、有名人ではない「普通の卒業生」がどんな進路に進んでいるかも書きます。私は中学で不登校を経験し、N高ではない別の通信制高校を卒業しました。いまは店も経営していて、N高生が4人アルバイトに来てくれています。

N高の卒業生で、公式に確認できる有名人

学園の公式サイトには「卒業生紹介」というページがあり、さまざまな分野で活躍する卒業生18人が名前入りで紹介されています。 前文には「現在社会で活躍している、またさまざまな成果を残している卒業生を紹介します」とあります。

この18人に、学園の公式ニュースで卒業生として紹介されている人を加えて、よく知られた人を中心にまとめます。

名前分野公式に書かれている主な実績学校・卒業
鈴木彩艶サッカー日本代表GK。2026年のFIFAワールドカップで全4試合に先発フル出場N高 2020年度卒
紀平梨花フィギュアスケート2018年グランプリファイナル優勝、四大陸選手権・全日本選手権2連覇N高(在学中の2018年に1年)
吉田唄菜フィギュアスケート(アイスダンス)2026年ミラノ・コルティナ五輪 フィギュア団体 銀メダルN高 卒業生
上野愛咲美囲碁史上最年少で女流棋聖。2024年 呉清源杯 世界女子囲碁選手権 優勝N高(在学中の2019年に3年)
原口沙輔(SASUKE)音楽14歳でメジャーデビュー。東京2020パラリンピック閉会式に出演・音楽制作N高(在学中の2021年に3年)
望月慎太郎テニスウィンブルドン選手権 ジュニア男子シングルス優勝。在学中の2021年にプロ転向N高(在学中の2021年に3年)
池田美来サーフィン2026年アジア競技大会 金メダルN高 2025年度卒
織田夢海スケートボード2026年アジア競技大会 銀メダルN高 2024年度卒
上野梨紗囲碁2025年、女流の国際戦で初優勝(優勝時はN高3年)N高 卒業生

(出典:N高グループ公式サイト「N高グループの概要」の卒業生紹介、学園の公式ニュース。2026年10月12日確認。公式の卒業生紹介にはN高・S高の区別と卒業年が書かれていないため、学校・卒業の欄は個別のニュースで確認できた範囲で書いています)

公式の卒業生紹介に載っているのは、スポーツ選手だけではありません。スポーツ以外の分野で、プロとして活動している人を挙げると、次のようになります。

名前分野公式の紹介文の要点
森本隼太ピアノ在学時にN高とイタリアの音楽院での学習を両立。ヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール優勝
フィトラ・ラフィフ・シドキ囲碁在学中に、インドネシア人として初めてプロ囲碁棋士に認定
徐文燕囲碁女流特別採用棋士試験を1位で突破し、プロ囲碁棋士に
清水啓伸モータースポーツプロレーサー。2024年 FIA-F4選手権 第6戦優勝
加藤路瑛起業12歳で起業。感覚過敏の課題解決に取り組む会社の代表。在学当時はS高

(出典:N高グループ公式サイト「N高グループの概要」の卒業生紹介、公式ニュース。2026年10月12日確認)

このほかにも、短歌・小説の書き手、在学中に起業部の支援を受けて会社を作った人、VRの研究で学会の賞を受けた人などが並んでいます。囲碁、ピアノ、レース、起業と、分野の幅が広いのが特徴です。

なお、公式ニュースには在校生のアスリートの名前も多く出てきますが、この記事では、未成年の在校生の名前は載せていません。

在学中に起業する人も

N高グループには「起業部」というネット部活があり、起業家の家入一真さんが特別顧問を務めています。公式ニュースでは、起業部から会社を設立した例が「法人登記12社目」(2024年3月)などと紹介されていて、2026年3月にも在校生が会社を設立したと発表されています。部活の種類や入り方はN高の部活はネットで活動?にまとめています。

2026年は「卒業生の活躍」が続いた年

2026年は、N高グループの卒業生の名前がニュースに出ることが多い年でした。

  • 2月:ミラノ・コルティナ五輪で、吉田唄菜選手(N高卒)がフィギュア団体で銀、深田茉莉選手(S高卒)がスノーボード女子スロープスタイルで金。深田選手の金は、冬季五輪の日本女子で史上最年少の金メダル
  • 6月:FIFAワールドカップ2026で、鈴木彩艶選手(N高2020年度卒)が日本代表のゴールキーパーとして全4試合に先発フル出場
  • 9月:第20回アジア競技大会に、在校生と卒業生あわせて7人が日本代表として出場(ほかに1人がタイ代表)。池田美来選手(N高2025年度卒)がサーフィンで金、織田夢海選手(N高2024年度卒)がスケートボードで銀。S高2022年度卒の齋藤彰太選手もカヌー・スラロームで出場

鈴木彩艶選手は、さいたま市のN高グループ大宮キャンパスに通っていました。当時を知る恩師は、スポーツ報知の取材に「当時からひたむきに努力をしていた生徒だった。天狗にならずに、常に誠実で謙虚な姿勢がありました」と話しています。ワールドカップのあと、母校がN高だったことにSNSで驚く声が上がったことも報じられました。

鈴木選手は、ワールドカップのあとに学園へ寄せたビデオメッセージで、「N高等学校2020年度卒業生の鈴木彩艶です」と名乗り、「母校の生徒のみなさんにサッカーを応援していただいてとても力になりました」と話しています。

競技や仕事と、勉強をどう両立していたか

有名な卒業生たちが共通して話しているのは、練習や仕事と勉強の両立です。

紀平梨花選手は、在学中の2018年の公式インタビューで、「N高は合間の時間を有効活用して勉強ができたり課題ができたりするので、スケートにも集中できるというのがすごい良かったです」と話しています。

吉田唄菜選手は、生徒が運営する学内メディア「N高グループ新聞」(2026年3月17日)の取材に、中学3年生でカナダに行くことが決まり、日本の学校への進学が難しくなったときにN高に出会ったと話しています。現地では練習が午前中だったので、「午後はしっかり勉強の時間にあてていました」とのことです。

S高の校長は、深田茉莉選手の金メダルに寄せた祝辞で、「海外遠征の合間を縫って面談やスクーリングへも必ず参加し、レポートも一度も遅れることなくしっかり提出されていましたね」と書いています。

(出典:N高グループ公式ニュース 2018年・2026年2月19日、N高グループ新聞(2026年3月17日)。2026年10月12日確認)

通う時間を自分で決められる通信制だから、練習や遠征の時間を確保できた。ただし、レポートやスクーリングといった卒業の条件は、有名人でも同じようにこなしている、ということです。レポートの量や進め方はN高のレポートは大変?で詳しく書いています。

「有名人が行った学校だから安心」とは言えない理由

ここは正直に書いておきます。有名な卒業生がいることは、わが子がN高で活躍できることの根拠にはなりません。

N高の役割は、本人がすでに持っている「やりたいこと」に、時間を使えるようにすることに近いと思います。通い方の自由さが、ある人には競技の時間になり、ある人には創作や研究の時間になった。その結果としての活躍です。

N高と、S高・R高の違いはN高・S高・R高の違いは?に、S高そのものはS高等学校とは?にまとめています。特別奨学生の制度は学校案内に案内がありますが、審査の基準は公表されていないので、気になる場合は個別に問い合わせることになります。

よく混同される人・卒業生ではない人

「N高 有名人」で検索すると、卒業生ではない人の名前もよく出てきます。確認できた範囲で整理します。

名前N高との関係
西村博之(ひろゆき)さん卒業生ではない。2022年にN高グループのテレビCMに出演
堀江貴文さん卒業生ではない。2017年の特別授業の講師、2018年の起業部の入部審査の審査員
家入一真さん卒業生ではない。起業部の特別顧問
村上世彰さん卒業生ではない。投資部の特別顧問
高原直泰さん卒業生ではない。元サッカー日本代表。アスリートクラスのアドバイザー
深田茉莉選手N高ではなくS高の卒業生

(出典:学校法人角川ドワンゴ学園のプレスリリース(2022年7月15日)、N高グループ公式ブログ・ニュース。2026年10月12日確認)

ほかにも、まとめサイトには「在校生」として古い情報のまま載っている人や、本人が公表していない人の名前が混ざっていることがあります。また、「転入した」という本人の発言はあっても、卒業までは確かめられない人もいます。この記事では、学園の公式発表か、本人の言葉で確認できる人だけを載せています。

「N高出身の有名人」を自分で確かめる方法

ネットで見かけた名前が本当にN高の卒業生なのかは、次の順に確かめると、まとめサイトの古い情報に振り回されにくくなります。

この記事の表も、2026年10月12日時点で確認できた範囲です。卒業生紹介のページは更新されることがあるので、気になる名前があれば、そのときの公式サイトで確かめてください。新しい活躍は、公式ニュースの「生徒の活躍」で発表されています。

有名人ではない卒業生の「その後」

親御さんが本当に知りたいのは、有名人の話より、普通の卒業生がどうなっているかだと思います。

公式の数字で見る進路

2026年3月にN高グループを卒業した生徒(4月生11,476人)の進路は、次のとおりです。

進路割合
大学等進学(関連校のZEN大学を含む)43.24%
専門学校他23.14%
就職11.22%
アルバイト等8.66%
浪人7.09%
進路未定5.52%

(出典:N高グループ公式サイト「進路実績」。2026年5月19日時点。2026年10月12日確認。留学0.88%・その他0.24%は省略)

数字の読み方はN高等学校の進学実績は?に、就職についてはN高は就職に不利?に詳しく書いています。

学校案内に載っている卒業生の進路

学校案内(2026年版・第4版。公式サイトでも公開)には、有名人ではない卒業生の声も載っています。名前は伏せて、進路だけを紹介します。

卒業生進路
通学コース(リアルキャンパス)の卒業生在学中から3DCGのモデルを作って販売していて、大学に行かずに就職
ネットコースの卒業生高1の途中でS高に転入。東京理科大学に進学
ネットコースの卒業生前の学校が合わずに転入し、eスポーツ部で活動。ZEN大学に通いながらプロチームの運営
ネットコースの卒業生アメリカのミネルバ大学に進学
通学コースの卒業生(2019年度卒)中学に通えていなかった。映像系の専門学校に進み、テレビ番組の制作会社で働いている

この卒業生の声に共通しているのは、進路を決めるところで、メンターやスタッフの手を借りていることです。3DCGの仕事に就いた卒業生は「メンターさんが求人情報やポートフォリオ作成をサポートしてくださったおかげで、今の仕事に巡り合えました」、ミネルバ大学に進んだ卒業生は「専門スタッフの伴走があったからこそ海外留学の夢を叶えられました」と話しています。ZEN大学に進んだ卒業生も、就職を考えていたところで、メンターに相談して別の選択肢を示されたと書いています。

公式サイトにも、卒業生のインタビューが9人分載っていて、「人生の道は一つではないと思った高校生活でした」「進路の選択肢を広げてもらいました」といった見出しが並んでいます(2026年10月12日確認)。

対談に登場した通学コースの卒業生は、メンターとの対談の中で「もともと中学校に通えていなかった僕がこうして働いているなんて、昔は想像もできなかった」と話しています。学校案内に載るのは学校が選んだ例なので、これが平均だとは言えません。それでも、不登校からN高を経て、専門学校、そして仕事へという道筋が、具体的な形で示されています。

店で働いていたN高生たちのその後

私の店で働いていたN高生のその後も、少しだけ書きます。

有名になった子はいません。それでも、仕事に就いた子も、学校に進んだ子もいます。営業職の子が帰省のたびに店に寄ってくれる話は、N高等学校は人生終わり?にも書きました。いま店にいるN高生たちの様子はN高生4人と働いてわかったことに書いています。

通信制を卒業した私の「その後」

最後に、私自身のことも書いておきます。私が通ったのはN高ではなく、20年ほど前の別の通信制高校です。

これは私の場合の話で、通信制を出れば同じ道をたどれるわけではありません。ただ、高校を出た時点の進路で、その後の全部が決まるわけではなかったということは言えます。「N高を出たら人生が終わるのでは」という不安については、N高等学校は人生終わり?で、公式の数字と一緒に確かめています。

有名な卒業生の話も、普通の卒業生の話も、N高が「好きなことに時間を使える学校」だという点ではつながっています。その時間を何に使うかは、本人次第です。

子どもが「有名人も行ってるから」と言ったら

子どもが「N高に行きたい。有名人も行ってるし」と言い出したとき、親としてどう受け止めるか。私なら、有名人の名前の話はいったん置いて、「N高で空く時間を、何に使いたい?」と聞いてみると思います。

公式に紹介されている卒業生は、競技でも創作でも研究でも、時間を使う先がはっきりしていました。テニスの望月慎太郎選手は、在学中のコメントで「僕は小さい頃からテニスのプロになることを目標にしてやってきました」と話し、在校生に向けて「皆さんもなにか好きなことなど、目標を明確に出来れば頑張れると思います!」と書いています。答えがすぐに出なくても構いません。ゲームが好き、絵が好き、何もしたくない、どれでも話の入口になります。そこから、レポートを自分で進められそうか、通学コースとネットコースのどちらが合いそうか、と具体的な話に進めると、「有名人が行ったから」ではない理由で学校を選べるはずです。

学校案内には、ここで紹介した卒業生の声のほか、在校生のインタビューや進路の実績も載っています。私が取り寄せたときの中身はN高に資料請求してみたにまとめました。N高そのものへの不安はN高等学校は「やめとけ」と言われるのはなぜ?で整理しています。

まとめ

  • 学園公式の「卒業生紹介」には18人が名前入りで載っている。サッカー日本代表GKの鈴木彩艶選手(N高2020年度卒)、紀平梨花選手、吉田唄菜選手、上野愛咲美さん、SASUKE(原口沙輔さん)など
  • 2026年は、五輪・ワールドカップ・アジア大会で卒業生の活躍が続いた。五輪金の深田茉莉選手はS高卒
  • ひろゆきさん・堀江貴文さんは卒業生ではない(CM出演・特別授業の講師など、N高に関わった人)
  • 有名な卒業生の多くは入学前から実績があり、アスリートクラスに所属していた人もいる。N高に行けば活躍できるわけではない
  • 普通の卒業生の進路は、大学等進学43.24%・専門学校他23.14%・就職11.22%(2026年3月卒)。不登校からN高・専門学校を経て就職した例も公式に載っている