「N高 やめとけ」で検索してこのページにたどり着いた方は、たぶん不安な気持ちのほうが大きいと思います。
私も高校を選ぶとき、通信制について調べては不安になっていました。N高等学校のやめとけという評判が本当なのか、この記事では一つずつ確かめていきます。なお、そもそもN高がどんな学校なのかはこちらの記事で全体像を整理しました。
私は中学で不登校を経験し、通信制高校を卒業しました。いまは会社を経営していて、店では現役のN高生が4人アルバイトとして働いています。
学校の関係者ではないので、いいことばかり書くつもりはありません。合わない人がいるのも事実です。そこも含めて正直に書きます。
なぜ「やめとけ」と検索されるのか
まず、この言葉がどこから来ているのかを整理します。
N高等学校は角川ドワンゴ学園が2016年に開校した広域通信制高校で、いまや生徒数は国内最大級です。それだけ在籍者が多ければ、良い感想も悪い感想もネット上に大量に集まります。「やめとけ」が目立つ背景には、まずこの母数の大きさがあります。
実際に検索結果を見ると、上位に来るのはYahoo!知恵袋の質問と、在校生や卒業生が書いたnoteの記事です。学校を批判する記事が並んでいるわけではありません。
つまり「やめとけ」という強い言葉が独り歩きしているというより、入学を迷っている人が不安を確かめるために検索しているというのが実態に近いと思います。
私が調べたかぎり、繰り返し挙がっている懸念は次の4つでした。
| 言われていること | 実際のところ |
|---|---|
| 自己管理ができないと続かない | 事実です。ただし対策はあります |
| 通学コースの学費が高い | コースによります。ネットコースとは大きな差があります |
| 友達ができにくい | 人によります。関係の作り方が全日制とは違います |
| 大学進学に不利では | 進路は分散しており、一概には言えません |
ひとつずつ見ていきます。
懸念1:自己管理ができないと続かない
これは事実です。 通信制のいちばん大きな特性であり、いちばん多く指摘される点でもあります。
通信制高校は、レポート(課題)・スクーリング(面接指導)・単位認定試験の3つで単位を積み上げていく仕組みです。全日制のように「学校に行けば授業が進む」のではなく、自分でレポートを進めなければ何も進みません。
それでも卒業できた理由
では、なぜ続かなかった私が卒業できたのか。
通信制の仕組みそのものに、失敗の余白があったからです。多少サボっても取り返せる設計で、さらに私は4年かけて卒業する道を選びました。「3年で出られなければ失敗」という前提を外したことが、結果的にいちばん効きました(詳しくは体験記で)。
つまり「自己管理ができない=通信制は無理」ではありません。できない前提の設計にすれば、続けられる可能性は十分あります。
入学前に確認できること
自己管理が不安な場合、学校選びの段階で対処できます。
では、肝心の学習量はどうなのか。いま店で働いているN高生に聞いた答えは「大変だけどなんとかなるレベル」でした。難易度そのものが理由で詰まっている様子は、4人を見ているかぎりありません。 ネットコースと通学コースの子が混ざった4人の様子はN高の通学コースの選び方のほうに詳しく書きました。
一方で「溜めると後がきつい」という話は、4人とも共通して言っています。ここは通信制である以上、どうしても残る部分です。
懸念2:学費が高い
これはコースによります。 ここが誤解されやすい部分です。
公式サイトによると、学費はこうなっています(2026年8月6日確認)。
| コース | 年額(実質負担) |
|---|---|
| ネットコース | 73,000円〜 |
| 通学コース(週3オンラインキャンパス)を追加した場合の合計 | 556,000円〜 |
N高の学費は、ネットコースの学費を土台に、通学コースを選ぶ場合はその費用が上乗せされる二段構えになっています。つまり通学コースを選ぶと、年間で55万円を超えます。
「N高は安い」という記事と「高い」という記事の両方が存在するのは、このためです。どちらのコースの話をしているかで、7倍以上の差が出ます。
FP2級として相談を受けていると、家計が教育費で苦しくなるのは、総額の大きさよりも支払いが一時期に集中することが効いていると感じます。総額だけを見ず、初年度にいくら必要かを確認しておくことをおすすめします。
懸念3:友達ができにくい
これは人によります。 ただ、全日制とは関係の作り方が違うのは事実です。
いまのN高について
私が通っていた学校とN高は別ですし、時代も違います。いま働いているN高生の話を聞くと、状況はかなり変わっているようです。
「通信制だと友達と疎遠になるのでは」という心配はよく聞きますが、むしろ予定を合わせやすい面もあるということです。これは雇う側になるまで、私も気づいていませんでした。
なお、人間関係やいじめの不安についてはN高等学校にいじめはある?で、公式アンケートのデータを使って詳しく検証しました。
そのうえで、いまのN高の設計についてひとつ言いたいことがあります。ネットが中心で、登校の機会もある。この形は、人との距離を自分で決められるということです。
あまり人と関わりたくない人にとっても、関わりたい人にとっても、どちらにも良い環境。 私はここが、いまの通信制のいちばん優れた点だと思っています。全日制は「毎日集団の中にいる」以外の選択肢がなく、完全に自宅だけで完結する形は逆に人と切れてしまう。その中間に幅を持たせた設計は、私の時代には無かったものです。
懸念4:どんな生徒がいるのか不安
入学前に身構える方は多いと思います。私もそうでした。
先に結論を言うと、この不安は入学後に解消される可能性が高いです。私が通っていた通信制では、生徒の大半は私と同じように学校に行けなかった経験のある、おとなしいタイプでした(体感の内訳は在校生4人に聞いた評判の記事にまとめています)。
いまのN高について店の4人に聞くかぎり、インドア寄りで、目標があって入っている子が多いそうです。ゲームや創作の話題がよく出て、雰囲気は落ち着いているようです。
懸念5:進学や就職に不利では
冒頭の表で挙げた4つ目の懸念です。ここは私自身が答えられる部分なので、簡潔に書きます。
通信制高校を卒業して得られるのは、全日制とまったく同じ「高等学校卒業」の資格です。 大学受験の資格も同じように得られますし、履歴書で通信制であることを区別して書く必要もありません。
そしていまは、私が採用する側です。
うちの店では現役のN高生が4人働いていますが、平日の日中に入れるので、正直かなり助かっています。高校生バイトから正社員に進んだ実例もあります。少なくとも私の採用基準に「通信制だから」というマイナスは存在しません。
ただし、進路実績や就職支援の体制は学校によって差があります。進学や就職を重視するなら、志望校の進路実績を確認しておくことをおすすめします。詳しくは通信制高校から就職はできる?に書いています。
途中でやめてしまうのはどんなときか
「やめた」という検索もよくあります。ここも正直に書きます。
私が見てきたケース
「やめる」前にできること
ここは私の経験から、いちばん伝えたい部分です。
通信制は単位制なので、ペースを落として続けるという選択肢があります。全日制のように「留年か退学か」の二択ではありません。
私が4年制を選んだのも、結果的にこの「ペースを落とす」判断でした。もし3年で卒業する前提のままだったら、途中で折れていたかもしれません。
辞めるかどうかを決める前に、続け方を変えられないか確認してみてください。 具体的にどんな選択肢があるかは学校によって異なるので、まずは担任や学校の窓口に相談することをおすすめします。
「やめとけ」ではなく「合うかどうか」
ここまで4つの懸念を見てきました。整理すると、指摘されている点の多くは通信制という仕組みの特性であって、そのまま裏返すとメリットにもなります。
| 特性 | 合う人にとっては | 合わない人にとっては |
|---|---|---|
| 自分のペースで進められる | 体調や状況に合わせられる | 進まないまま溜まる |
| 通学日数が少ない | 通うことの負担が小さい | 生活リズムが崩れやすい |
| 人間関係が濃くない | 気楽・仕切り直せる | 孤立感を覚えることがある |
| 時間の自由度が高い | やりたいことに使える | 何もしない時間になる |
同じ性質が、人によって正反対に働きます。 だから「N高はやめとけ」も「N高は最高」も、どちらも本当なのだと思います。
私が通信制を選んだ理由
参考までに。当時の私は「行きたい気持ち」と「行きたくない気持ち」の両方を抱えていて、その間にあった選択肢が通信制でした。決め手は人間関係をリセットできること——このあたりの経緯は体験記に全部書いています。
正直に書いておきたいこと
いい話ばかりにするつもりはないので、心残りも一言だけ。普通の高校の青春への憧れは、正直いまも少し残っています。それでも後悔はしていない——この気持ちの整理は体験記の最後に書きました。
「やめとけ」を検証してきた側の人間も、無条件の賛美はしていない、ということだけ伝わればと思います。
逆側の意見も書いておきます
「やめとけ」の検証記事なので、反対側の声もひとつ。ほかならぬ私自身の意見です。
もちろん、これは「向いている人にとっては」という前提つきです。ただ「やめとけ」という声と同じ重さで、こういう見方もあるということは知っておいてほしいと思います。
判断のためのチェックリスト
「やめとけ」という言葉で判断するより、確認できることを確認したうえで決めるほうが確実です。
これらはすべて、資料や個別相談で確認できる事実です。口コミが誰かの感想であるのに対し、募集要項や学費表は動かない事実だからです。
なお、判断材料をそろえる最初の一歩がどんなものかは、実際に資料を取り寄せたときの記録に書いています。何が届いて、勧誘についてどう案内されるのかまで載せました。
まとめ
「N高はやめとけ」という言葉について、指摘されている点を確かめてきました。
- 「やめとけ」の中身は、通信制という仕組みの特性であることが多いです
- 自己管理が必要なのは事実。ただし4年かけて卒業する選択や、サポート体制の確認で対処できます
- 学費はコースで7倍以上の差があります。ネットコースと通学コースを区別して考えてください
- 友達はできにくい面もありますが、私は在学中に声をかけた相手と10年以上続いています
- 生徒の雰囲気は、思っていたより落ち着いています。攻撃的な子は結局続きません
- ただし合わない人はいます。「通信制なら誰でも大丈夫」ではありません
不安なまま判断するより、確認できることを確認したほうが早いと思います。気になる学校があれば、まず資料を取り寄せて、サポート体制と費用を見比べてみてください。
通信制の仕組みそのものは通信制高校とは?に、私自身がどう進んだかは中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに、在校生の声はN高等学校の評判は実際どう?にまとめています。
