「通信制高校を卒業して、ちゃんと就職できるんだろうか」

お子さんの進路を考えるとき、多くの親御さんがいちばん気にされるのは、たぶんここだと思います。学費でも、評判でもなく、その先の人生です。

先に結論から書きます。通信制高校からの就職は制度として普通にできます。ただし「できます」と励まされても、知りたいのはたぶんそこではありません。いつ、何を、どの順番でやればいいのか。 この記事はそこを中心に書きます。数字の確認はあとでいいから手順を先に知りたい、という方は「具体的にどうすればいいですか?」から読み始めてください。

私は中学で不登校を経験し、通信制高校を卒業して就職しました。いまは店を含む複数の事業を経営していて、人を採用する側にもなっています。数字と手順は公的な資料で、実感はその両方の立場から書きます。

「通信制高校は就職が難しい」は本当ですか?

統計上は、就職する人の割合そのものに大きな差はありません。 ただし、よく引用される数字の読み方には注意が要ります。ここを取り違えたまま話が進むと、必要以上に不安になります。

まず、「卒業者に占める就職者の割合」は就職率ではありません

卒業者に占める就職者の割合とは、その年の卒業者全体を分母にして、就職した人が何%いたかを数えた数字です。 進学した人も、進路を決めずに卒業した人も、全員が分母に入ります。

文部科学省「学校基本調査」の令和7年度確定値によると、全日制・定時制等の高校で、この割合は13.8%でした(令和7年12月26日公表/2026年9月3日確認)。

ここで、同じ卒業生を別の物差しで測った調査を並べます。文部科学省「令和7年度高等学校卒業者の就職状況(令和8年3月末現在)に関する調査」です。

何を測った数字か分母数字
卒業者に占める就職者の割合(学校基本調査・令和7年3月卒)卒業者 955,335人13.8%
就職希望率(就職状況調査・令和7年3月卒)卒業者13.8%
就職率=就職希望者に対する就職者の割合(同・令和7年3月卒)就職希望者98.0%
就職率(同・令和8年3月卒=最新)就職希望者 127,696人97.9%

最新の令和8年3月卒の内訳はこうです。卒業者929,178人のうち、就職を希望した人が127,696人。そのうち就職できた人が124,978人で、未就職だった人は2,718人でした(2026年5月20日公表/2026年9月3日確認)。

読み取ってほしいのは1点だけです。「卒業者に占める就職者の割合13.8%」は、「就職を希望した人が13.8%だった」という意味であって、「86.2%が就職できなかった」という意味ではありません。 就職を希望した人に限れば、就職率は98%前後です。

通信制の数字も、同じ物差しの数字です

そのうえで、通信制課程の卒業後の状況を見ます。令和6年度間に通信制課程を卒業したのは91,809人でした。

卒業後の状況通信制課程全日制・定時制等
卒業者数91,809人955,335人
大学等進学26,301人(28.6%)586,639人(61.4%)
専修学校(専門課程)進学21,013人(22.9%)137,876人(14.4%)
就職者(卒業者に占める割合)12,989人(14.1%131,522人(13.8%
左記以外の者23,995人(26.1%)58,595人(6.1%)

(e-Stat「学校基本調査 令和7年度」統計表〈通信制 卒業後の状況調査 表297〉より。2026年8月22日確認)

14.1%と13.8%。 通信制のほうがわずかに高いくらいで、実質的に同じです。この14.1%も、さきほどと同じく「卒業者全体のうち就職を選んだ人の割合」であって、85.9%が就職に失敗したという意味ではありません。 通信制は卒業者の半数以上が進学しているので、当然そうなります。

進学のほうも天秤にかけている段階なら、通信制高校から大学進学は難しい?を先に開いてもらったほうが早いと思います。同じ調査の数字を、進学の側から並べています。

なお「左記以外の者」は、文部科学省の定義では死亡・不詳の人と、進学でも就職でもないことが明らかな人(進学準備中・就職準備中・家事の手伝いなど)の合計です。通信制の26.1%は全日制・定時制等の6.1%より大きく、ここは目をそらさずに書いておきます。

通信制の「就職率」は、実は公表されていません

ここが、この記事でいちばん正直に書いておきたいところです。

さきほどの就職率97.9%を出した調査は、調査対象が「国立、公立、私立の高等学校及び中等教育学校(全日制・定時制)」と明記されています。通信制課程は対象に入っていません。

つまり、通信制課程について「就職希望者に対する就職率」を示した全国統計は、公表されていないということです。公的に確認できるのは、卒業者を分母にした14.1%までです。当サイトでも、原典で確認できない割合を作り出すことはしません。

通信制高校から就職するには、具体的にどうすればいいですか?

高卒の就職は、全国共通の日程の上で動きます。 令和9年3月に卒業する人の場合、求人票が学校に届き始めるのが令和8年7月1日、応募書類の提出が9月5日以降、選考と採用内定の開始が9月16日以降です。まずこの日程を押さえたうえで、どのルートを使うかを決めます。

高卒就職の日程は、国が毎年決めています

高卒求人とは、その年度に高校を卒業する予定の生徒だけを対象にした求人のことです。 一般の中途採用と違い、企業が勝手に募集や選考を始めることはできません。文部科学省と厚生労働省が毎年、都道府県教育委員会と知事あてに通知を出して、開始期日を揃えています。

いま高校3年生の人(令和9年3月卒業予定者)に適用されるのは、令和8年2月25日付の通知(7文科初第2279号・職発0225第15号・開発0225第26号)です。日程はこうなっています。

時期何が起きるか
令和8年6月1日企業がハローワークに求人票を提出。受理と内容確認が始まる
令和8年7月1日確認済みの求人票が学校へ。企業の学校訪問も解禁
令和8年9月5日(沖縄県は8月30日)学校からの推薦書類が企業に届いてよい日=応募のスタート
令和8年9月16日企業の選考開始・採用内定の開始
卒業後就業開始(企業に対して卒業後とするよう指導される)

(厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」および同通知より。2026年9月3日確認。年度によって変わるので、自分の卒業年の日程を進路担当に確認してください

生徒側の動きに直すと、こうなります。

  1. 3年生の春まで

    進路担当に「就職を希望している」と伝える。ここが遅れると求人が届いても動けない

  2. 7月〜8月

    学校に届いた求人票を見て、応募先を絞る。職場見学が設定されることもある

  3. 9月5日以降

    学校を通して応募書類を提出する

  4. 9月16日以降

    面接などの選考。内定が出るのもこの日以降

日程に関して、知っておくと得な決まりが2つあります。

ひとつは、企業が学校に出す求人票には、ハローワークの受理・確認印が要るということ。押印のない求人票が来た場合、学校は生徒の推薦を行わず、押印のある求人票の提出を求めることになっています。求人の内容が事前にチェックされる仕組みが入っている、ということです。

もうひとつは、求人情報を見るためのIDは生徒本人に渡されるということ。厚生労働省の「高卒就職情報WEB提供サービス」は、全国の求人を検索できる仕組みで、通知では生徒にのみIDを付与すること、そして保護者と一緒に閲覧してよいことが定められています。家で親子で求人を見る、というのは想定された使い方です。

応募できる社数は、都道府県ごとに決まっています

一人一社制とは、高校生の就職活動で、一定の時期まで一人が一社にしか応募できないという慣行のことです。

ここは誤解されやすいので、原典の通りに書きます。国の通知には「全国一律で一人一社」という規定はありません。 通知が定めているのは開始期日で、応募・推薦の方法については、都道府県ごとに置かれる「都道府県高等学校就職問題検討会議」で、各都道府県の状況を踏まえた応募・推薦方法の在り方について関係者が申合せを行う、という枠組みになっています。

つまり、何社まで応募できるか、いつから複数応募になるかは、住んでいる都道府県によって違います。 「うちの県はどうなっていますか」は、進路担当の先生に聞くべき質問のひとつです。

もうひとつ、通知にはこんな一節もあります。求人企業が学校を指定せずに出している求人については、校内選考を行う必要はない、というものです。校内選考(同じ求人に複数の生徒が希望した場合に学校内で選ぶ手続き)は各学校の判断で行われているもので、全部の求人に必要なわけではありません。

就職ルートは3つあります

高卒の就職と聞くと学校斡旋だけを思い浮かべがちですが、実際は3つあります。

ルートどう動くか向いている場合
学校斡旋学校に届いた求人票から選び、学校長の推薦を受けて応募する学校に求人が届いていて、支援体制がある場合
ハローワークハローワークが確認・保有する求人を紹介してもらう。卒業後は新卒応援ハローワークが使える学校の求人だけでは選択肢が足りない場合、卒業後に動く場合
学校の紹介によらない応募公務員試験、自営、家業、縁故など目指す先が決まっている場合

この3つめは例外的な抜け道ではありません。さきほどの就職状況調査も、学校等の紹介を希望しない自営業者や公務員などを含めて就職希望者を数えています。

ただし在学中は、企業への連絡や応募の受付は学校またはハローワークを通すのが原則です。気になる会社があったら、まず進路担当に相談するのが早道です。

通信制高校で「学校斡旋」は使えますか?

制度上、通信制課程を置く高校が「求人を受理する高等学校等」から除かれてはいません。 通知の書きぶりも、全日制と通信制を分けていません。ですので「通信制だから学校斡旋が使えない」ということはありません。

一方で、実際に求人票が届くか、校内に応募先を決めるまでの支援体制があるかは学校ごとに差があります。 ここは制度で保証されている部分ではないので、使えると断定はできません。学校に確認する事項として扱ってください。

参考までに、N高グループの公式サイト「進路サポート」には、進路学習の動画授業、メンター・生徒・保護者での三者面談、志望理由書/履歴書の添削面接時の言葉遣いや身だしなみの複数回の練習、業種・職種の見学フェアといった内容が載っています(2026年9月3日確認)。学校斡旋の求人数までは公表されていませんが、支援メニューの中身は資料や個別相談で確認できる範囲です。実際に取り寄せると何が入っているのかは資料を請求して中身を確かめた記録に書きました。

なお、資料請求でもらえる学校案内(2026年版)には、卒業生の就職先としてヤマト運輸・ローソン・くら寿司・京浜急行電鉄・オリエンタルランド・東京都職員・陸上自衛隊・航空自衛隊などの名前が並んでいます。公式サイトの「就職実績」ページにも年度ごとの就職先企業名が掲載されています(2026年9月3日確認)。通信制からの就職先が「限られた業種」ではないことは、公式資料からも読み取れます。

卒業後・中退後にも窓口があります

在学中に決まらなかった場合や、いったん学校を離れた場合でも、公的な窓口が使えます。

  • 新卒応援ハローワーク:対象は「大学(院)・短大・高専・専門学校・高校などを卒業予定の学生(生徒)及び卒業・中退してからおおむね3年以内の方」。専門の相談員が担当者制で支援し、費用はかかりません
  • わかものハローワーク:おおむね35歳未満で、正社員就職を目指す人向け
  • ジョブカフェ:都道府県が運営するワンストップの就職支援施設。就職セミナーや職場体験など

(厚生労働省「正社員就職を目指す若者の皆さまへ」および奈良労働局の案内より。2026年9月3日確認)

「中退してからおおむね3年以内」も対象に入っているのは、知っておく価値があると思います。中退後の進み方については高校中退は人生終わり?雇う側になって見えている実際にまとめました。

なぜ「通信制は就職に不利」と言われるのですか?

言われる理由は4つに整理できます。うち2つは学校ごとの体制差で、実際に起こり得ます。残り2つは、制度上は否定されているか、当時よりかなり薄れています。 順に検証します。

理由1:学校に届く求人票の数に差がある

これは事実として起こり得ます。 高卒求人は企業が学校を選んで出すことができ、長年の付き合いで毎年同じ高校に求人を出す企業もあります。歴史の浅い学校や、生徒が全国に散らばっている学校に、地元企業の求人が同じように届くとは限りません。

ただしこれは「通信制だから」ではなく「その学校だから」の話です。だからこそ、さきほどのチェックリストの1問目を先に聞いてほしいと思っています。求人が薄いとわかったら、ハローワークのルートを早めに併用すればいいだけです。

理由2:校内の就職支援の体制に差がある

ここも事実です。そして、確認できる材料があります。

通信制高校には、高等学校通信教育規程第14条によって、学校の状況を公表することが定められています。その第5号には「入学、退学、転学、休学及び卒業に関すること」として、進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況が含まれています。つまり、進路実績は本来公表されているはずのものです。

では実際どうか。文部科学省の「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(令和8年8月31日公表/調査時点は令和7年5月1日)が、通信制課程を置く高校323校を調べています。

第5号(進学者数・就職者数を含む)の公表状況学校数割合
公表している103校31.9%
一部公表している135校41.8%
公表していない85校26.3%

きちんと公表しているのは3校に1校です。 4校に1校は公表していません。「進路実績を見て学校を選びましょう」というよくあるアドバイスは、正しいのですが、そもそも見られないことがあるというのが実態です。

同じ調査で、第9号「生徒の学習活動、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること」については、公表している学校が190校(58.8%)、一部公表が90校(27.9%)、公表していないが43校(13.3%)でした。

理由3:面接で通信制について説明を求められる

これは、ある場合とない場合があります。 そして採用側の実感としては、聞かれること自体は不利ではありません。何を見られているかは後半に書きます。

そして制度の側は、この点をはっきり否定しています。さきほどの通知には、新規中学校・高等学校等卒業者の採用にあたって、本人の適性と能力に基づいた公正な採用選考の確立を図るとともに、定時制課程及び通信制課程の卒業者と全日制課程の卒業者との間の差別的取扱いが行われないようにする、という記載があります。

国が毎年、企業と学校に向けて名指しで注意している事項だ、ということです。 「通信制だから落とす」は、制度上は認められていません。履歴書の書き方や学歴の扱いは通信制高校の学歴は不利になる?に分けてまとめています。

理由4:進路の情報が届きにくい

これは以前より小さくなっています。 求人情報については高卒就職情報WEB提供サービスがあり、IDは生徒本人に渡されます。学校の求人だけが情報源、という時代ではありません。

また通知は、ハローワークに対して、企業の採用担当者と学校の進路指導担当教諭の情報交換会や、合同企業説明会・面接会を開催するなど、学校と企業への協力を行うよう求めています。

とはいえ、その情報にたどり着くかどうかは、本人か保護者が動くかどうかにかかっています。 ここは正直、まだ差が出る部分だと思います。

ここからは私の話です:学校推薦を使って就職しました

制度の話はここまでです。ここからは、実際に通信制から就職した人間として、当時どう動いたかを書きます。

意外に思われるかもしれませんが、私が通っていた通信制高校にも、全日制と同じように学校推薦の枠がありました。

学校を通した紹介なので、そもそも「通信制の生徒である」という前提で求人が来ています。そこを改めて問われる場面は、私の場合ほとんどありませんでした。

もし一般応募で面接を受けていたら、当時は多少マイナスに働いた部分もあったかもしれません。ただ、それは20年ほど前の話です。いまは通信制高校がずいぶん一般的になり、偏見も当時より少なくなっていると感じます。

求人が「どこから」来るかも、学校の側で決まっていました

私が見ていた求人票は、地元の会社だけではありませんでした。

先に打ち消しておきます。これを「通信制からでも大きい会社に入れる」という意味で読まないでください。 これは20年ほど前の話で、しかもN高グループではない別の通信制高校で、たまたまそういう求人が届いていた、というだけのことです。同じ条件がいまもどこの学校でも揃っている、とは言えません。

そのうえで、就職を考える材料として意味があるのは別の部分です。求人が何件届くかだけでなく、「どこの会社から届くか」も、生徒が入る前の段階で決まっているということです。学校斡旋を使う以上、生徒が選べるのは、すでに届いている求人票の中からです。

理由1で「学校に届く求人票の数に差がある」と書きましたが、実際には数だけでなく範囲にも差が出ます。地元企業が中心の学校もあれば、遠くの会社の求人が並ぶ学校もある。ここは入学したあとに生徒の努力で動かせる部分ではないので、就職を視野に入れているなら、学校を決める段階の判断材料になります。

聞き方も、「求人はありますか」より「昨年度に届いた求人は、どのあたりの地域の会社が多かったですか」のほうが、数と範囲が一度に分かります。

推薦をもらえた基準が何だったのかは、いまも分かりません

「だと思います」としか書けないのは、私自身がはっきり分かっていないからです。 ここは事実ではなく推測として読んでください。

ただ、推測でしか書けないからこそ、いま在学中の人には先に聞いておいてほしいと思います。校内選考があるのか、推薦を出してもらうのに何が要るのかは、その学校の中の運用です。外から調べても出てきませんが、進路担当に聞けば答えが返ってくる種類の話です。

そして、もし成績と態度が効くのだとすれば、それは3年生の夏から慌てても間に合いにくい部分です。レポートを溜めない、スクーリングに行く、という日常の話に戻ってきます。

学校が用意していたのは、3つでした

並べてみると、この3つはどれも学校の側にあらかじめ置かれていたもので、私が探してきたものではありません。当時の私は、置いてあったものに乗っただけです。

だからこの3つは、そのまま学校に確認する項目になります。前半のチェックリストに「社会人としてのマナーを扱う授業」と地域の話を足したのは、ここから来ています。面談についても、回数より先に「授業の中でやるのか、個別に時間を取るのか」を聞いたほうが実態が分かります。私の学校は前者でした。個別面談を前提に考えていると、そこがずれます。

最初の就職先の選び方は、正直に言って雑でした

きれいな話ではないので、そのまま書きます。

いま思えば、7月に届いた求人票を条件だけで見て、9月に応募した、というだけの動き方です。日程は守ったけれど、中身は考えていなかった。 これから就職する人には、求人票の条件欄より先に「その仕事を何年やれそうか」を考える時間を作ってほしいと思います。

そのあとのキャリアは、回り道だらけでした

その回り道のなかで学歴が問題になった場面は、ほとんどありませんでした。転職のときも、独立してからもです。

通信制で身についたのは「サボる力」でした

少し変な言い方に聞こえるかもしれません。社会に出てから役に立った力は何かと考えると、私の場合は「サボる力」でした。

正確に言うなら、自分のコンディションを見て、ペースを自分で調整する力です。一方で、この自由度が合わずに生活リズムを崩してしまう人もいます。自由な環境は、合う人と合わない人をはっきり分けます。

採用する側は、通信制の子をどう見ているか

私はこれまで学生を何十人と雇ってきました。通信制の子だけで12人以上、定時制も含めるともっと多いです。結論から言うと、働く能力に違いはありません。

飲食や小売の現場では、平日の日中に人が足りません。そこに入れる人材は、率直に言って貴重です。「通信制だから雇いたくない」ではなく、「通信制だから助かる」というのが、現場の実感です。雇う側から見た日々の様子はN高生4人と働いてわかったことに書きました。

面接で見ているのは、経歴ではありません

採用側が通信制について質問するとき、確認したいのはたいてい次のようなことです。

「なぜ通信制なのか」を責めたいわけではありません。 説明できるかどうかを見ています。

そして、面接がうまくなくても採用されることはあります。うちの実例です。

続く子と、続かない子

いい話だけを書くつもりはないので、こちらも正直に書きます。

面接が苦手なら、練習で埋まる部分です。学校の面接練習を使う、ハローワークの相談員に模擬面接をしてもらう、その前にアルバイトで大人と話す時間を作る。順番としては最後のものがいちばん効くと思っています。

面接で通信制について聞かれたら、どう答えるか

事実をそのまま言うだけで足ります。きれいな理由をつくる必要はありません。

参考までに、私自身が一般応募で聞かれたとしたら、という前提で書きます。

「中学のときに学校に行けない時期があり、自分のペースで学べる通信制を選びました。最初は課題を溜めてしまうこともありましたが、4年かけて卒業する形にして、最後まで続けられました」

説明としてはこれで十分です。むしろ、つじつまの合わない説明のほうが印象に残ります。

在学中にやっておくと、就職で効くこと

いちばん効くのはアルバイトです。 資格やスキルはあとから足せますが、「働いた経験」は在学中にしか作れない時期があります。

アルバイトをしておく

雇う側になってからも、同じことを思います。時間を守る、報告する、わからないことを聞く——こうしたことは職場でしか身につきません。人と関わる時間が自然に生まれるので、生活のリズムも整いやすくなります。そして何より、「自分は働ける」という実感が持てます。

通信制は平日の日中に時間を作りやすいので、この点では全日制よりむしろ有利です。働ける時間や条件は通信制高校でバイトはできる?に法令ベースで整理しました。

資格やスキルで、あとから積み増せる

学歴に不安があるなら、そこを直接埋めようとするより、別の軸を足すほうが早い場合があります。

  • 専門学校へ進学する
  • 業務に関わる資格を取る
  • 実務で使えるスキル(デザイン、プログラミング、簿記など)を身につける

私自身、いま仕事で使っている知識のほとんどは、高校卒業後に必要になってから学んだものです。ファイナンシャル・プランニング技能士2級を取ったのも、事業をやるうえで必要になったからでした。

高校を出た時点ですべてが決まるわけではない、というのは実感として言えます。

それでも、正直に書いておきたいこと

いいことばかり書くつもりはないので、当時つらかったことと、いま振り返って思うことを書きます。

  • 当時はまだ通信制が少数派で、学校名を聞かれる場面が少し苦手だった
  • 平日の日中に制服姿でない高校生でいることに、周囲の視線を感じることがあった

いまは通信制の生徒数が大きく増え、この点は当時よりずいぶん楽になっているはずです。

また、普通の高校に行って普通の青春を送ってみたかったという気持ちは、いまも少しだけ残っています。私自身の経緯は中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに書いています。

読み終えたら、立場別に「今日やること」

「就職できるかどうか」は、通信制かどうかよりも、その学校とその子の状況で決まる部分が大きい——これが、卒業した側と雇う側の両方を経験した私の結論です。漠然と不安がるより、今日できることをひとつ決めて閉じるほうが現実的だと思います。

いまの立場今日やること
高校3年生(令和9年3月卒業予定)進路担当に「就職を希望している」と伝える。伝えてあるなら、求人票 7月1日〜/応募 9月5日〜/選考 9月16日〜の3つの日付を控える
高校1・2年生アルバイトを探し始める。次の進路面談で「昨年度に届いた高卒求人の件数」を聞くと決めておく
中3・志望校を検討中の保護者気になる学校に、先ほどのチェックリストの最初の3問(求人件数・推薦の有無・進路指導の担当)を資料請求や個別相談で確認する
卒業後・中退後新卒応援ハローワークに相談する(卒業・中退からおおむね3年以内・無料)

私の場合、通信制の学校を探してきてくれたのは親でした。わからないから調べる——親にできることは、案外そういう地味なことなのだと思います。

まとめ:就職できるか、の答え

通信制高校から就職はできるのか——答えは「できます」です。ただし、条件をつけずに言い切るつもりはありません。

  • よく見る「通信制の就職14.1%」は就職率ではなく、卒業者を分母にした割合です(全日制・定時制等は13.8%)。通信制課程の「就職希望者に対する就職率」は公表されていません
  • 高卒就職には全国共通の日程があります。動き出すのは3年生の春。求人が学校に届くのが7月1日、応募が9月5日、選考が9月16日(令和9年3月卒業予定者の場合)
  • ルートは学校斡旋/ハローワーク/学校の紹介によらない応募の3つ。卒業・中退後も新卒応援ハローワークが使えます
  • 学校斡旋が使えるかは学校ごとに違うので、求人件数と推薦の有無は在学中・出願前に確認してください
  • 国の通知は、通信制課程の卒業者を全日制課程の卒業者と差別的に扱わないよう求めています

進路の不安は、情報が足りないことから来る部分も大きいと思います。気になる学校があれば、資料を取り寄せて進路実績と就職支援の中身を確認してみるところから始めてみてください。

学歴そのものの扱い(履歴書の書き方、学歴フィルター、転職時の影響)は通信制高校の学歴は不利になる?に、進学の側から見た数字は通信制高校から大学進学は難しい?にまとめています。