「飛鳥未来、きずな、きぼう……結局どれが何なの?しかも『やばい』って出てくるけど」
飛鳥未来高校を調べ始めると、まず似た名前の学校が3つ出てきて、そのどれにも検索候補に「やばい」が付いています。ほかにも「学費 高い」「偏差値」「スクーリング 足りない」といった言葉が並びます。
「飛鳥未来高校がやばい」と言われるとき、その中身は、学費・偏差値・スクーリング・中退・進路・校則の話がまとめて一つの言葉になっています。 この記事では、それを一つずつ分けて、公式サイト、各校が公表している基本データのPDF、学校法人の事業報告書で確かめました。口コミや知恵袋は「何が言われているか」をつかむためだけに読み、根拠としては使っていません。
書き手の私は、中学で不登校になり、N高とは別の通信制高校を卒業しました。いまは店を経営していて、N高に通う生徒がアルバイトで働いています。記事の最後では、N高との違いも並べます。
飛鳥未来高校とは
飛鳥未来高校とは、学校法人三幸学園が設置する、全国から入学できる通信制・単位制の高校です。 正確には3つの学校があり、まとめて「飛鳥未来高校グループ」と呼ばれています。
| 項目 | 飛鳥未来高等学校 | 飛鳥未来きずな高等学校 | 飛鳥未来きぼう高等学校 |
|---|---|---|---|
| 本校 | 奈良県天理市 | 宮城県登米市 | 茨城県水戸市 |
| 開校 | 2009年4月 | 2017年4月 | 2024年4月 |
| キャンパス数 | 12 | 16 | 17 |
| 在籍(文部科学省のサイト) | 9,987人 | 9,323人 | 5,680人 |
(出典:飛鳥未来高校グループ「3校の違い」、各校の基本データPDF、文部科学省「通信制高等学校情報発信サイト」。2026年10月17日確認。学校の資料では時点によって在籍の数字が少しずつ違います)
設置者の三幸学園は、全国で専門学校などを運営している学校法人です。3校とも学校法人立で、茨城県の私立学校のページでも、きぼう高校の設置者は「三幸学園」とされています。3校の在籍を合わせると24,990人で、全国の通信制高校の中でも大きなグループです(生徒数の順位は通信制高校の人気ランキングにまとめています)。
公式の「3校の違い」のページは、3校について「教育内容や学びの仕組みに大きな違いはなく」「学費は同じです」としています。どのキャンパスに通うかによって、出願する学校の名前が決まる、という関係です。
通学スタイルは、ベーシック・スタンダード・ネット・3DAY・5DAYの5つで、美容師免許取得コースなどもあります。スタイルごとの中身はN高と飛鳥未来はどっち?で詳しく比べているので、この記事では「やばい」と言われる点の確認に絞ります。
「やばい」と言われる中身を、資料で分けてみる
検索候補や口コミで目立つ声を10個に絞り、それぞれを公式資料と突き合わせました。
| 言われていること | 資料で確かめたこと | 判定 |
|---|---|---|
| 学費が高い | 支援金のあとで年225,000円〜405,000円。通学しない形ではN高ネットより高く、週3日以上通う形ではN高の通学コースより低い | 一部事実 |
| 学費が分かりにくい | スタイル別の年額は公式に表で公表。コース費用と3年間の合計は公式サイトにない | 一部事実 |
| 偏差値が低い | 選考は書類審査と面接で、学力試験がない。偏差値がない | 誤解 |
| 入試で落ちる | 選考はある。不合格率・倍率は非公表 | 確認できず |
| スクーリングが遠い・泊まり | 最寄りのキャンパスで受けられる。本校スクーリングは卒業要件ではない | 誤解 |
| 卒業できない・中退が多い | 退学率は2025年度で4.0〜4.7%(学校法人の公表・定義の記載なし)。卒業率は非公表 | 確認できず |
| 系列の専門学校に流される | 三幸学園の系列校に「優先的に入学できる」仕組みは公式。進む人の割合は非公表 | 一部事実 |
| 校則がなくて荒れている | 「校則は基本的に自由」「服装自由」は公式。荒れているという資料・報道はない | 誤解(細かな校則がないのは事実) |
| いじめがある | 3校とも防止の基本方針を公開。件数は非公表 | 確認できず |
| 3つの学校があって紛らわしい | 本校・校長が別の3校。学費と仕組みは同じ | 事実 |
(判定は当サイトによるもの。根拠は下の各章と出典。2026年10月17日確認)
表の中身を、学費から順に見ていきます。
学費は高い?N高と比べると
どの通い方で比べるかで、答えが逆になります。 まず、公式の学費表です。
| 通学スタイル | 年間の学費(支援金前) | 支援金のあと |
|---|---|---|
| ベーシック | 485,000円 | 225,000円 |
| スタンダード | 565,000円 | 305,000円 |
| ネット | 485,000円 | 225,000円 |
| 3DAY | 665,000円 | 405,000円 |
| 5DAY | 665,000円 | 405,000円+選択コースの費用 |
(出典:飛鳥未来高校グループ「学費」。2026年10月17日確認。選考料10,000円は別。公式の注記は「学費合計は目安です」)
内訳は、入学金10,000円、施設設備費60,000円、単位履修料260,000円(1単位10,000円・26単位の場合)、補習費100,000〜280,000円、諸経費約55,000円です。このうち就学支援金で0円になるのは、授業料にあたる単位履修料だけです。補習費・施設設備費・諸経費は支援金の対象外で、毎年かかります。
N高と並べると、こうなります。
| 通い方 | 飛鳥未来(支援金のあと・年額) | N高(2027年度・先引きのあと) |
|---|---|---|
| 通学しない形 | ベーシック・ネット 初年度225,000円 | ネットコース 1年次73,000円(3年間で199,000円) |
| 週3日通う形 | 3DAY 初年度405,000円 | 週3リアル 初年度803,000円/週3オンライン 556,000円 |
| 毎日通う形 | 5DAY 初年度405,000円+選択コースの費用 | 週5リアル 初年度1,028,000円/週5オンライン 700,000円 |
(飛鳥未来は入学金10,000円を含む初年度の額で、2年目以降の額は公式ページに明記がありません。N高は2027年度生徒募集要項。N高の通学コースの学費は就学支援金の対象外。MacBook Air(約16万円)は別。詳しくはN高等学校の学費はいくら?)
家で学ぶ形なら、N高のほうが安くなります。 N高のネットコースは3年間で199,000円なので、飛鳥未来のベーシック・ネットの1年分より少ない金額です。
週3日以上通う形なら、飛鳥未来のほうが安くなります。 N高の通学コースは、単位制の学費に加えて通学コースの学費が丸ごと上乗せされ、ここに支援金は使えません。
なぜこうなるかというと、お金を払っている中身が違うからです。飛鳥未来はベーシックでも「週1日〜5日の自由登校」ができる設計で、補習費が全スタイルに入っています。N高のネットコースは通学しないぶん、その費用がありません。「学費が高い」は、家で学ぶ形で比べたときには当たっていて、通う形で比べたときには当たっていない、ということになります。
公式のよくある質問には「登校日数による学費の追加はありますか?」に対して「ありません」とあります。ただ、スタイルによって補習費が100,000円から280,000円まで違うので、これは「同じスタイルの中で登校日を増やしても追加はない」という意味だと読むのが自然です。スタイルを変えると学費は変わります。
「分かりにくい」と言われるところ
スタイル別の年額は表で公表されていて、トライ式(トライ式高等学院は「やばい」?)のように学費が公式サイトにない、という状態ではありません。ただ、次の点は公式サイトだけでは分かりません。
- 5DAYの選択コースや、美容師免許取得コースの費用(「各学校・各キャンパスで異なるため 募集要項をご確認ください」)
- 3年間の合計のモデル(公式サイトには見当たりません)
- 表のどの費目が初年度だけで、どれが毎年か(入学金以外は毎年と読むのが自然ですが、ページに明記はありません)
支払いは、合格後に入学金と施設設備費、履修のオリエンテーションのあとに単位履修料・補習費・諸経費、という2回に分かれています。入学手続きのときは補習費の一部だけを納め、残りの補習費を在学中に都道府県の奨学金を使って払える「初期費用軽減&学費分割制度」(新入学対象)も案内されています。申し込み方は各校・各キャンパスで異なります。3年間でいくらになるかは、志望キャンパスの募集要項と説明会で確かめるのが確実です。
偏差値が低い?入試で落ちる?
偏差値はありません。 公式の入学試験のページでは、新入学の選考方法は「書類審査 面接試験」です。入試の種類は自己PR入試と一般入試で、単願と併願があります。偏差値は、学力試験の点数をもとに出す数字なので、試験そのものがない学校には付けようがありません。「低い」のではなく、もともと「ない」のです。
「飛鳥未来 福岡 偏差値」のように、キャンパス名と一緒に検索されることもありますが、選考の方法は全キャンパス共通です。
入学の前には「必ず、学校説明会・学校相談会・学校見学等にご参加ください」と案内されています。面接での選考なので、全員が必ず合格するとまでは言えません。ただ、何人が不合格になったかや倍率は、どこにも出ていません。キャンパスごとに受け入れられる人数には上限があるので、希望のキャンパスに空きがあるかは、説明会で聞いておくと安心です。
N高の入試は、ネットコースとオンラインキャンパスが書類選考(必要に応じて面接)、リアルキャンパスが書類・筆記・面接です。仕組みはN高等学校の偏差値は?で整理しています。どちらも不合格率は公表されていないので、「どちらが入りやすい」とは言えません。
スクーリングは遠い?泊まり?
最寄りのキャンパスで受けられ、遠くの本校まで泊まりで行く必要はありません。 公式のスクーリングのページは、すべてのキャンパスがスクーリングを受けられる施設なので「遠方への集中スクーリング」をせず、「最寄りのキャンパスのみで」受けられる、と案内しています。3校とも、本校でのスクーリングは卒業要件ではありません。
きずな高校には、宮城県登米市の本校で3泊4日の集中スクーリングがあります。2026年10月6日のプレスリリースでは、これは「選択制の授業」で、希望者が参加する形とされています。行きたくない人が行かなければならないものではありません。
回数については、公式のよくある質問に「スクーリングも、ほとんどの科目が2〜4回でOK」とあります。サジェストに出てくる「スクーリング 足りない」は、決められた回数に出られないと単位が出ない、という話です。飛鳥未来の実施計画にも「規定回数以上の面接指導出席」が単位認定の条件として書かれています。これは飛鳥未来に限らず、通信制高校ならどこも同じ仕組みです。
N高のスクーリングは、1・3年次が全国の会場、2年次が原則として本校(N高は沖縄)で、本校では4泊5日の宿泊型です。日数や費用はN高のスクーリングは必須?にまとめています。本校での宿泊がない分、スクーリングの負担は飛鳥未来のほうが軽いと言えます。ここは飛鳥未来の長所です。
卒業できる?退学率は?
「卒業できない」「中退が多い」という声については、退学率が学校法人から公表されています。 学校法人三幸学園の2025年度の事業報告書に、3校の退学率が次のように載っています(年度と分母の定義は書かれていません)。
| 学校 | 退学率(2025年度 事業報告書) |
|---|---|
| 飛鳥未来高等学校 | 4.7% |
| 飛鳥未来きずな高等学校 | 4.0% |
| 飛鳥未来きぼう高等学校 | 4.4% |
(出典:学校法人三幸学園「2025(令和7)年度 事業報告書」。2026年10月17日確認)
ただし、この退学率が「何を分母にした数字か」は、事業報告書に書かれていません。各校の基本データPDFには退学者の人数も載っていますが、分母や時点の取り方が分からないので、ここから率を計算することはしていません。
卒業率は公表されていません。「中退が多い」と言える根拠は資料にはありませんが、「少ない」とも言い切れない、というのが正確なところです。N高の卒業率はN高の卒業率・中退率で、3通りの数字を定義つきで紹介しています。退学率と卒業率は別の物差しなので、2校を並べて比べることはしません。
進路は?系列校への進学は?
進路決定率は、2つの分母で公表されています。 同じ事業報告書によると、2025年度の3校の数字は次のとおりです。
- 進路決定率1(進路決定者÷進路希望者):96.5%
- 進路決定率2(進路決定者÷卒業生数):84.3%
- 進学率:75.1%(分母の記載なし)
本文で大きく出てくる「96.5%」は、進路を希望した人を分母にした数字です。卒業生全体を分母にすると84.3%になります。どちらも学校が定義を書いて公表している点は、誠実だと思います。N高も進路決定率を定義つきで公表していますが、分母や対象(N高は4月生のみ)が揃っていないので、2校の率を並べて比べることはしません。N高の数字の読み方はN高等学校の進学実績は?に書いています。
「系列の専門学校に流される」という声については、公式のよくある質問に、三幸学園グループの専門学校・大学・短期大学に「優先的に入学することができます」とあります。仕組みとしては事実です。ただ、系列校に進む人がどれくらいいるかは公表されていません。公式の進路実績のページには大学名や専門学校名が並んでいますが、人数と年度が書かれていないので、何人がどこへ進んだかは分かりません。
美容や医療・福祉、保育など、三幸学園の専門学校が強い分野に進みたい本人にとっては、優先入学は使える仕組みです。大学受験を考えているなら、大学受験のサポートがどうなっているかを説明会で具体的に聞いてみてください。
校則は自由?雰囲気は?
校則が自由なのは公式です。荒れているという資料はありません。 公式のよくある質問では、校則は「基本的には自由です」、制服は「制服で通っても私服で通ってもOKです」とされています。ただし学則には退学・停学・訓告といった懲戒の決まりがあり、何をしてもいい、という学校ではありません。
見た目が自由な生徒がいるのは、服装が自由な学校なら自然なことです。それが「荒れている」という話にすり替わって検索されている面があると思います。
いじめについては、3校とも「学校いじめ防止基本方針」を公開しています。いじめ問題対策委員会を置くこと、相談を受けた教員がすぐに委員会へ情報を伝えること、重大な事態への対応などが書かれています。何件あったかは公表されていないため、多い・少ないを資料から判断することはできません。
サポート体制としては、担任のほかにスクールカウンセラー、養護教諭、スクールソーシャルワーカーがいると案内されています。各校の基本データPDFには、学校が行った卒業生アンケートも載っていますが、回答者数が書かれていない学校自身の調査なので、この記事では数字を取り上げていません。説明会では「生徒どうしのトラブルが起きたとき、最初の窓口は担任ですか、スクールカウンセラーですか」と聞いてみると、そのキャンパスの体制が具体的に分かります。N高のいじめ対策はN高にいじめはある?にまとめています。
飛鳥未来とN高、どう選ぶ?
ここまでの事実をもとに、2つのグループの違いをまとめます。
| 項目 | 飛鳥未来高校グループ | N高グループ |
|---|---|---|
| 設置者 | 学校法人三幸学園 | 学校法人角川ドワンゴ学園 |
| 本校 | 奈良県天理市・宮城県登米市・茨城県水戸市 | N高は沖縄(S高は茨城・R高は群馬) |
| 在籍(文部科学省のサイト・3校計) | 24,990人 | 34,990人 |
| 家で学ぶ形の学費(支援金のあと) | 初年度225,000円 | ネットコース 1年次73,000円 |
| 週3日以上通う形の学費(支援金のあと) | 初年度405,000円(5DAYは+コース費用) | 初年度556,000円〜1,028,000円 |
| スクーリング | 最寄りのキャンパス。本校は卒業要件ではない | 2年次に原則本校(N高は沖縄で4泊5日)。1・3年次は全国の会場 |
| 入試 | 書類審査・面接(全スタイル) | ネットは書類選考、リアルキャンパスは書類+筆記+面接 |
| 進路の公表 | 進路決定率(2つの分母)・退学率 | 進路決定率・卒業率 |
(2026年10月17日確認。N高の数字は2027年度生徒募集要項と当サイトの各記事)
この記事で確かめた範囲で、飛鳥未来とN高の差がはっきり出るのは2つです。学費は「週に何日通うか」で安いほうが入れ替わること。そして、本校での宿泊が飛鳥未来にはないこと。だから先に決めるのは学校名ではなく、本人が週に何日なら通えそうか、です。
家で学ぶ時間が中心になりそう・学費をできるだけ抑えたいならN高のネットコース寄り、週3日以上キャンパスに通いたい・遠くの本校に泊まりで行くのは避けたい・美容や保育などの専門学校につなげたいなら飛鳥未来寄り、と考えると整理しやすいと思います。もちろん、最後に合うかどうかを決めるのは本人です。
迷っているなら、両方の資料を取り寄せて、通いたい日数のところの学費を横に並べてみてください。N高の資料請求で届く中身はN高に資料請求してみたで紹介しています。
他校の「やばい」の検証は、第一学院高等学校とKTCおおぞら高等学院の記事にあります。
まとめ
- 飛鳥未来高校グループは、学校法人三幸学園が設置する3つの通信制高校。3校の学費と仕組みは同じ
- 学費は支援金のあとで年225,000円〜405,000円。家で学ぶ形ではN高より高く、週3日以上通う形ではN高より低い
- 偏差値はない。選考は書類審査と面接
- スクーリングは最寄りのキャンパスで、本校は卒業要件ではない
- 退学率(4.0〜4.7%)と進路決定率(96.5%/84.3%)は公表されているが、定義に注意。卒業率・いじめの件数は非公表
- 大手報道の不祥事・行政処分の記事は見つからなかった。キャンパスの空き、相談の窓口、大学受験のサポートは、説明会で聞いておきたい