「不登校は親のせい」——この言葉を検索窓に打ち込んで、ここにたどり着いたのだと思います。誰かに言われたのかもしれませんし、自分の頭の中で何度も繰り返している言葉なのかもしれません。

私は中学1年の途中から学校に行けなくなり、通信制高校を出て社会に出ました。いまは二児の親です。

この記事は、支援する側でも専門家でもなく、当時「不登校の子ども」だった側から書いています。まず事実を確認し、そのうえで、ほかの記事では読めない話をひとつだけします。

長い記事です。いま読む気力が出ない方は、前半を飛ばして「親御さん自身が『疲れた』『しんどい』と感じているとき」から読んでください。公的な相談窓口の一覧だけ知りたい方は、こちらにあります。 前半は、あとで余力のあるときで大丈夫です。

「不登校は親のせい」なのでしょうか

結論から書きます。「不登校は親のせい」と言い切れる根拠は、国が毎年全国の学校から集めている調査のどこにもありません。

前提を整理しておきます。不登校とは、病気や経済的な理由を除き、年間30日以上欠席した状態を指す言葉です(文部科学省の調査上の区分)。

まず規模です。文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(概要PDF・2026年9月3日確認)によると、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人、児童生徒1,000人あたり38.6人でした。学年別では中学3年生の80,464人が最も多くなっています。

数字を出すのは「よくあることだから気にしなくていい」と言いたいからではありません。これだけの規模で起きていることを、個々の家庭の育て方だけで説明するのは、そもそも無理があるという一点です。

国の側の見方も、はっきり文章になっています。令和7年10月29日の通知には、不登校は「取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るもの」として捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないような配慮が必要だと書かれています(令和7年10月29日通知・2026年9月3日確認)。

さらに調査の作り方そのものが変わりました。令和5年度調査(2024年10月公表)から、文部科学省は不登校の「要因」を主たるもの1つに絞って集計する形をやめ、「不登校児童生徒について把握した事実」を複数回答で集める形式に変更しています。項目は15にわたり、1人について複数が立つ前提です。

そのなかで「親のせい」にいちばん近い項目は「親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった」で、44,557人(12.6%)でした。ただしこれは原因の内訳ではなく、学校が把握した事実の複数回答です。項目ごとの数字は後半で表にまとめます。

そして、国の文書のなかで保護者がどう書かれているかも確認しておきます。

  • 令和5年3月のCOCOLOプランの柱の1つは、そのまま「一人で悩みを抱え込まないよう 保護者を支援」という見出しです
  • 令和5年11月17日通知の別紙には、「不登校児童生徒の保護者が悩みを抱えて孤立せず、適切な情報や支援を得られるよう」支援を行うことが求められると書かれています
  • 最新の令和7年10月29日通知にも、「不登校児童生徒の保護者等に対する相談支援体制の整備等を進めることも重要であること」とあります

(いずれも2026年9月3日確認)

つまり国の文書のなかで保護者は、責任を追及される対象ではなく、情報と支援を届ける相手として一貫して書かれています。

なぜ「不登校は親のせい」という言葉が広まるのか

根拠がないのに言葉だけが残るのは、誰かが悪意で言っているというより、原因を1つに決めたくなる力が、周囲にも本人にも働くからだと考えています。

私が思いつくのは3つです。

  • 原因がわからない状態が、周りにとってつらい。 だから、いちばん近くにいる人に理由を求めやすくなります
  • 検索されるから、記事が作られる。 「母親が原因」「親の特徴」といった言葉には一定の検索需要があり、需要のある言葉には記事が集まります
  • 古い説明が、言葉として残っている。 不登校がいまよりずっと少なかった時代の説明が、更新されないまま流通している面もあると思います

そして、この矛先がとりわけ向かいやすいのが、母親です。「母親が原因」「母親の特徴」といった記事はいまも作られ続けていますが、母親という属性で不登校を説明できるという根拠を、私は知りません。 多くの家庭で、学校とのやり取りや日々の対応をいちばん近くで担っているのが母親だから、原因を求める視線もそこに集まりやすい——「母親が原因」という言葉の広まりから読み取れるのは、その構図までだと考えています。

もしあなたがいま、誰かから「母親のせいだ」と言われているのなら、それは根拠のある指摘ではなく、原因のわからないつらさを、いちばん近くにいる人に手渡しているだけの言葉かもしれません。少なくとも、その言葉を裏づける数字は、この記事でこれから見ていく国の調査のどこにもありません。

支援の目標についても、国は「学校に登校する」という結果のみに置くのではなく、社会的な自立を目指すものとしています(令和元年10月25日通知・2026年9月3日確認)。「行かせられていない親=失敗した親」という前提そのものが、国の方針とずれているということです。

正直に書きます。私は「親のせいだ」と思っていました

ここからは、当時子どもだった側の話をします。慰めにはならない話から始めます。

だから、もしいまお子さんがあなたを責めていたとしても、私はそれを「ありえないこと」だとは言えません。私自身がそうだったからです。

——ただし、この話には続きがあります。この記事で本当に伝えたいのは、続きのほうです。

その考えが変わったのは、自分が親になったときでした

当時の私の他責は、自分が子どもを育てる側になった時点で終わりました。 親も正解を持っていなかったのだと、そこで初めて分かったからです。

これが、この記事でいちばん伝えたいことです。

子どもが親を責めるのは、途中経過であって結論ではありません。 少なくとも私の場合はそうでした。いま責められていることを、永遠の判決のように受け取らないでください。

もちろん、すべての子が同じ道をたどるとは限りません。これは私一人の記録です。ただ、「責められたまま終わるとは限らない」という実例が1つあることは、お伝えできます。

その「終わったあと」にあたる部分——私の20年後と、店で雇ってきた元不登校の子たちがどうなったかは、不登校の子の将来はどうなる?に置いてあります。うまくいった話ばかりではありません。励ますためではなく、実例として読んでいただければと思います。

当時、子ども側から親はどう見えていたか

結論を先に書くと、私が見ていたのは親ではなく、自分の目の前の状況だけでした。

もうひとつ、正直に書いておきたいことがあります。

ここは、いま自分を責めている親御さんに読んでいただきたい部分です。

あなたが「自分のせいだ」と思っているとき、お子さんのほうも「自分のせいだ」と思っている可能性があります。 同じ家の中で、二人がそれぞれ別々に、自分を責めている。私の家は、たぶんそういう状態でした。

その状態から抜ける方法を私は知りませんが、少なくとも「どちらが悪いのか」という問いには、答えがなさそうだということは言えます。

なお、お子さん自身が読めるものとしては、中学生の「学校に行きたくない」を本人の側から書いた記事を用意しています。親に言えないままでもできることを、子ども本人に向けて書いたものです。

私の親が「していなかったこと」

私の親は、登校を強制しませんでした。ただ、それが正解だったのかどうかは、いまも分かりません。

だから私は、「登校を強制しないのが正しい対応です」と書くつもりはありません。

ここを美化してしまうと、この記事は「うまく対応できた親の話」になってしまいます。そうすると、読んでくださっている方を追い詰めるだけです。

そのうえで、逆のことをしてしまったという方にも、ひとつだけ書いておきたいことがあります。強く言ってしまった、責めるようなことを口にしてしまった、と後悔している方です。

これは「だから何を言っても影響しません」という話ではありません。私の場合はそうだった、というだけです。ただ、特定の一言を取り出して自分を裁いている方には、当時の子ども側の記憶がこの程度の解像度だった、という事実だけお伝えしておきます。

親御さんの関わり方については、してもらって助かったこと・つらかったことを分けて不登校の子の進路、親にできることに書きました。「しないほうがよかった」と私が感じたことも、そちらに具体的に置いてあります。

原因を1つに特定しようとすると、何が起きるか

結論は単純です。過去に向けて使ったぶんだけ、いまに使えるエネルギーが減ります。

原因を考えることが無意味だと言いたいのではありません。ただ、実際問題として1つに絞りきれないことが多い。それは、国の統計の作り方にも表れています。先ほど触れた「把握した事実」の集計を、多い順に並べます。

学校が把握した事実(項目名)人数割合
学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった106,436人30.1%
生活リズムの不調に関する相談があった88,563人25.0%
不安・抑うつの相談があった85,854人24.3%
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた55,152人15.6%
いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった46,624人13.2%
親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった44,557人12.6%

(小・中学校合計353,970人に対する複数回答。文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」2026年9月3日確認)

私がここで言いたいのは、全国の学校から集めた国のデータですら、1人の子どもについて理由を1つに決めていないということです。

親御さんが原因を突き止められないのは、注意深くないからでも、情報が足りないからでもないと思います。本人にも分かっていないことが、あるからです。

そして、分からないものを分かろうとし続けているあいだ、時間だけは進みます。私の場合、中学3年生の1年間はそういう時間でした。

いま親になって、正直に思うこと

二児の親になったいまでも、私に答えは出ていません。

不登校の当事者だったことは、正解を持っていることとは違いました。もし自分の子が同じ状態になったら、私もたぶん、自分を責めるだろうと思います。

だからこの記事は、「自分を責めなくていいですよ」という慰めにはなりません。責めてしまうこと自体は、たぶん止められない。 私にも止められないと思います。

ただ、止められないものを、一人で抱え続ける必要はありません。ここから先の2つの見出しは、そのために書きました。

親御さん自身が「疲れた」「しんどい」と感じているとき

先に、自分の立場をはっきりさせておきます。私は不登校を経験した子ども側の当事者であって、親御さんの心のケアの専門家ではありません。 ですから「こうすれば楽になります」とは書けません。

そのかわり、事実として書けることがあります。そのしんどさは、国の不登校対策の文書のなかに、はっきり書き込まれているということです。

文部科学大臣メッセージ「~保護者の皆さまへ~」(令和6年11月・PDF・2026年9月3日確認)は、こう始まります。

お子さまが学校に行けなくなったとき、いちばんそばにいらっしゃるご家族の皆さまもまた、大変お辛いこととお察し申し上げます。

そして、こう結ばれています。

学校に行けない子供たちを支えているご家族もお支えできるよう頑張ります。

同じことは、通知の側にも書かれています。令和元年10月25日の通知には「家庭への支援」という項目があり、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だと明記されています。COCOLOプランの柱の1つは「一人で悩みを抱え込まないよう 保護者を支援」で、そこでは保護者の不安を和らげられるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが関係機関等と連携して保護者を支援すると書かれています。

つまり、親御さんが相談することは、制度の側であらかじめ想定されています。 「子どもの問題なのに親が相談するのは筋違いではないか」と遠慮する必要のあるものではない、ということです。

不登校のことを、どこに相談できるのか

保護者が使えると公的に明記されている窓口が、いくつもあります。学校経由・自治体経由・全国共通の電話の3系統で整理します。

窓口どこから使うか保護者が使えると書かれている根拠
スクールカウンセラー/スクールソーシャルワーカー在籍校・教育委員会令和5年11月17日通知の別紙に「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる保護者への相談支援の実施」
教育支援センター(適応指導教室)市区町村・都道府県の教育委員会教育支援センター整備指針(試案)に「センターは、不登校児童生徒の保護者に対して、不登校の態様に応じた適切な助言・援助を行うものとする」
都道府県ごとの不登校相談窓口文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」から都道府県を選ぶ同ページに「保護者の皆様、支援者の皆様、相談先にお困りの方は」と明記
24時間子供SOSダイヤル 0120-078310電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながる文部科学省の案内に「悩んでいる子供や保護者等がいつでも相談できるよう」と明記
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556所在地の都道府県・政令指定都市が実施する公的な相談機関につながる厚生労働省「まもろうよ こころ」の電話相談窓口一覧に掲載

不登校に関する地元の相談窓口24時間子供SOSダイヤルについて教育支援センター整備指針(試案)まもろうよ こころ。いずれも2026年9月3日確認)

いくつか補足します。

教育支援センター(適応指導教室)とは、教育委員会が設置し、不登校の子どもの相談・指導を行う公的な施設のことです。整備指針には保護者への助言・援助も業務として書かれているため、子ども本人が通える状態でなくても、まず親だけで相談するという入り方があり得ます(受付の方法は自治体ごとに運用が違うので、窓口でご確認ください)。

保護者の会(親の会)やフリースクールについては、COCOLOプランに「教育支援センター、相談機関、保護者の会、フリースクール等に関する分かりやすい情報を提供します」とあり、地域にどんな会や施設があるかは、各教育委員会の相談窓口が情報を持っているという建て付けです。個別の団体名は地域によって違うので、ここでは挙げません。

相談することが特別な行動ではない、という数字も出しておきます。令和6年度の調査では、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた不登校児童生徒は218,246人(61.7%)でした。受けていない子どものうちでも89.0%は担任等から継続的な相談・指導を受けており、何らかの相談・指導につながっていた割合は全体で95.8%です。相談すること自体は、例外的な行動ではありません。

それでも自分を責めてしまう方へ、いまできること1つ

先に書きます。いまできることは、「選択肢を、家の中に置いておく」ことです。 進路の情報を集めておく、という、それだけの作業です。

これを挙げるのは、私自身の入口がそれだったからです。渡された側がそれをどう受け取っていたかは、通信制高校と親の気持ち|「申し訳ない」と思う子と、「これでよかったのか」と思う親へに書きました。うまくいった話としてではなく、そのときに何を感じていたかとして書いています。

ここで大事なのは、この作業が「過去」ではなく「これから」に向いていることです。

自責は、どうしても過去に向かいます。あのとき何を間違えたのか、どの時点で気づけたのか、と考える。一方、資料を取り寄せて中身を見るのは、これから先の話です。同じ30分を使うなら、後者のほうが手元に何か残ります。

私自身がその後どうなったのかは中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでにまとめています。制度の仕組みから知りたい場合は通信制高校とは?を、いまの学校の中の様子を知りたい場合は在校生4人に聞いた評判を読んでみてください。資料を請求すると実際に何がどう届くのかは、届くまでの日数と中身をそのまま記録したページにまとめています。

なお、お子さんの状況が「不登校」ではなく「高校中退」の段階にある方には、高校中退した子の親の気持ちへを用意しています。子ども側から見えていたものと、いまできる実務をまとめました。

まとめ

「不登校は親のせい」という言葉について、事実と、当時の子ども側から書けることを整理します。

  • 「親のせい」と言い切れる根拠は、国の調査にも通知にもありません。 国は不登校を「どの児童生徒にも起こり得るもの」として扱っています
  • 国の文書のなかで保護者は、原因ではなく、情報と支援を届ける相手として書かれています
  • そのうえで、当時の私は「親のせいだ」と思っていました。でもその考えは、自分が親になったときに変わりました
  • 一方で、引け目は私の側にもありました。親が自分を責めているとき、子どもも別の理由で自分を責めている場合があります
  • 原因を1つに決めるのは、国の統計ですらやめたことです。本人にも分からないことがあります
  • 親御さん自身がしんどいときの相談先は、学校のスクールカウンセラー/自治体の教育支援センター/都道府県ごとの窓口/24時間子供SOSダイヤル(0120-078310)などがあります。相談することは制度の側で想定されています
  • そのうえで行動を1つだけ挙げるなら、選択肢を家の中に置いておくこと。それは過去ではなく、これからに向いた作業です