「高校生になってから、学校に行けなくなった」
そういう状況で、本人か親御さんが「不登校 高校生」と検索しているのだと思います。
中学までは行けていたのに、という方も多いはずです。そして高校は、中学と同じようには待ってくれません。単位、留年、退学。義務教育ではないぶん、時間とともに決まっていくことがあります。
この記事では、文部科学省の最新の調査(令和6年度)から、高校生の不登校が何人いて、どんな理由で、その後どうなっているのかを数字で確かめます。そのうえで、親にできること、選べる道を整理します。単位、留年、休学、転校のそれぞれについては、別の記事で深く書いているので、ここでは全体の地図として読んでください。
書いているのは、中学で学校に行けなくなり、通信制高校を卒業した人間です。いまは二児の親で、店では通信制に通う高校生を雇っています。
高校生の不登校は、何人いますか?
令和6年度の高校生の不登校は67,782人でした。1,000人あたり23.3人、在籍者のおよそ43人に1人です。
出典は文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2026年10月1日確認)です。本文にはこうあります。
高等学校における不登校生徒数は67,782人(前年度68,770人)であり、前年度から988人減少した。
不登校とは、この調査では、病気や経済的な理由などを除いて、年間30日以上欠席した状態を指す言葉です。 人数の移り変わりを並べると、こうなります。
| 年度 | 高校生の不登校 | 1,000人あたり |
|---|---|---|
| 平成26年度 | 53,156人 | 15.9人 |
| 平成30年度 | 52,723人 | 16.3人 |
| 令和2年度 | 43,051人 | 13.9人 |
| 令和4年度 | 60,575人 | 20.4人 |
| 令和5年度 | 68,770人 | 23.5人 |
| 令和6年度 | 67,782人 | 23.3人 |
(同じ調査の概要 p.34〜35より)
令和2年度を底に増え、令和5年度に一番多くなり、令和6年度はわずかに減りました。10年前の平成26年度と比べると、1,000人あたりで1.5倍ほどです。
定時制では、5人に1人
課程ごとに見ると、数字はまったく違います。同じ調査の本体(課程・学年別不登校生徒数)から抜き出しました。
| 区分 | 不登校の人数 | 在籍者に占める割合 |
|---|---|---|
| 全日制 | 53,128人 | 1.9% |
| 定時制 | 14,654人 | 20.3% |
| 合計 | 67,782人 | 2.3% |
(調査結果の本体 p.106より)
学年で区分している課程では、1年生が16,180人(1.9%)、2年生15,302人(1.8%)、3年生13,183人(1.6%)と、学年が上がるほど割合は少しずつ下がり、1年生がいちばん多い形です。学年で区分しない単位制の在籍者は別枠で22,867人(5.3%)です。
中学生より少なく見えるのは、なぜか
中学校の不登校は、同じ令和6年度で216,266人、1,000人あたり67.9人でした。高校の23.3人と比べると、3分の1ほどに見えます。
ただ、この数字の読み方には注意が要ります。この調査で高校の不登校として数えられているのは、全日制と定時制の生徒だけです。 上の課程別の表は全日制と定時制の2行で、その合計がちょうど67,782人になります。通信制の生徒は、通えているかどうかにかかわらず、この人数には入っていません。
一方で、文部科学省の「令和7年度通信制高等学校実態調査」(2026年10月1日確認)によると、令和7年度に通信制高校に入学した77,998人のうち44,461人(57.0%)は、中学3年生のときに不登校でした。中学で不登校だった人の少なくない部分が、高校では通信制に進んでいて、この6万7千人の外側にいるということです(この入学者に転入・編入が含まれるかは資料に書かれていないので、全員が中学からそのまま進んだ人とは言い切れません)。
実際、67,782人のうち48,869人(72.1%)は、前回の調査では不登校として数えられていなかった「新規」の不登校です(同じ概要 p.3)。高校で不登校として数えられている6万7千人は、全日制・定時制に入ってから行けなくなった人が中心だと読むのが、実態に近いと思います。
中学生の不登校と、何が違いますか?
大きく違うのは2つです。学校が把握している事情の出方と、高校には単位・留年・退学があることです。
学校が把握している事情
この調査は、不登校の生徒一人ひとりについて、学校が知っている事情を複数選んで答える形になっています(項目名は「不登校生徒について把握した事実」)。高校と中学校で割合を並べると、違いが見えます。
| 学校が把握した事実 | 高校 | 中学校 |
|---|---|---|
| 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった | 26.9% | 30.1% |
| 生活リズムの不調に関する相談があった | 26.2% | 24.3% |
| 不安・抑うつの相談があった | 16.0% | 24.4% |
| 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた | 12.8% | 15.7% |
| いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった | 10.2% | 14.1% |
| 入学、転編入学、進級時の不適応による相談があった | 7.0% | 5.2% |
| 左記に該当なし | 11.9% | 4.9% |
(同じ調査の概要 p.36・p.28より。割合は不登校の人数に対するもの)
高校のほうが多く出ているのは、生活リズムの不調、入学・進級時の不適応、そしてどれにも当てはまらない(該当なし)です。とくに「該当なし」は中学校の2倍以上です。高校生になると、学校のほうでも理由をつかめていないケースが1割を超えるということです。
念のため書いておくと、この表は原因の一覧ではありません。学校が把握した範囲の話で、1人に複数付いていることも多い数字です。私は医療や心理の専門家ではないので、誰かの状態をこの表に当てはめて判断することはできません。
高校には、単位・留年・退学がある
中学校までは、学校を休んでいても卒業できます。高校はそうはいきません。科目ごとに単位を取り、卒業には74単位以上が必要です。
欠席が続くと、科目ごとの欠課時数が上限に近づき、単位が認められなくなります。学年制の高校では留年(原級留置)になることがあり、そのまま退学を選ぶ人もいます。ここが、高校の不登校のいちばん大きな特徴です。
単位と出席の仕組みは保健室登校と単位の関係を法令から整理した記事に、留年の基準とお金の話は高校留年を人数とお金で比べた記事に詳しく書いています。
高校で不登校になった生徒は、その後どうなっていますか?
同じ調査に、不登校の高校生の「その後」に当たる数字があります。
| その年度のうちに | 人数 | 不登校の人数に対する割合 |
|---|---|---|
| 指導の結果、登校する又はできるようになった | 33,935人 | 50.1% |
| 中途退学に至った | 10,566人 | 15.6% |
| 原級留置になった(留年) | 2,963人 | 4.4% |
(本体 p.107・p.109より。登校できるようになった割合は、全日制52.6%・定時制41.0%)
半分は、その年度のうちに登校できるようになっています。 一方で、6〜7人に1人は中途退学に至っています。留年より退学のほうが3倍以上多い、という形です。
欠席の長さで見ると、不登校の高校生の58.1%は欠席30〜49日で、90日以上欠席した人は14.9%でした。「不登校」とひとくくりにされる中にも、月に数日休む人から、ほとんど行けていない人まで幅があるということです。
課程で分けると、この幅はさらにはっきりします(本体 p.101)。
| 欠席日数 | 全日制 | 定時制 |
|---|---|---|
| 30〜49日 | 62.3% | 43.1% |
| 50〜89日 | 26.6% | 28.4% |
| 90日以上 | 11.1% | 28.5% |
定時制では、不登校の人の4人に1人以上が90日以上休んでいます。在籍者に占める不登校の割合も、定時制は20.3%と、全日制より高く出ています。
中途退学のほうは、不登校とは別に、辞めた理由と学年が集計されています。辞めた理由の最多は「進路変更」で、その中でいちばん多いのは、別の高校に入りたいという希望でした。理由と学年の内訳は、高校を辞めたいと思ったときの選択肢の記事に表で載せているので、ここでは繰り返しません。
ひとつだけ重ねておくと、中途退学は学年で見ると1年生が最も多く、不登校の人数も1年生が最多でした。高校生活の最初の1年が、いちばん揺れやすい時期だということは、どちらの数字からも読み取れます。
専門的な相談につながっていない高校生が、4割います
不登校の高校生の43.4%は、学校の中でも外でも、専門的な相談・指導を受けていません。 同じ調査(本体 p.6・p.112)の数字です。
| 相談・指導の状況 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 学校外の機関で専門的な相談・指導を受けた | 13,067人 | 19.3% |
| うち病院・診療所 | 10,385人 | 15.3% |
| 学校内で専門的な相談・指導を受けた | 28,038人 | 41.4% |
| うち養護教諭(保健室の先生) | 14,340人 | 21.2% |
| うちスクールカウンセラー・相談員等 | 19,286人 | 28.5% |
| どちらも受けていない | 29,437人 | 43.4% |
(学校内・外は重複あり)
ただし、「どちらも受けていない」29,437人のうち、79.1%は教職員から週1回程度以上の継続的な相談・指導を受けていたとされています。専門の窓口にはつながっていなくても、担任などとのつながりは残っている生徒が多い、ということです。
学校の外の相談先を細かく見ると、病院・診療所が15.3%で飛び抜けています。一方で、市区町村の教育支援センター(適応指導教室)で相談・指導を受けた高校生は283人、0.4%です(本体 p.112)。高校生が学校の外で相談・指導を受けた先は、病院・診療所にかなり偏っているということでもあります。
体の不調や、眠れない、食べられないといった状態が続いているなら、学校に行くかどうかとは切り離して、医療機関に相談できます。
親にできることは、何ですか?
最初に、私自身の考えを書いておきます。行けるなら行ったほうがいいと思う一方で、無理強いはしたくない。その両方を抱えたまま、親として迷っています。
この気持ちの全体と、私自身が子ども側として親に何をしてもらったかは、不登校の子の進路、親にできることを書いた記事に書いています。
そのうえで、親がやっておくと本人が楽になることを挙げます。どれも本人を学校へ行かせるための手段ではなく、選べる道を減らさないための準備です。
遠隔授業で単位を取る仕組みは、まだ使われ始めたばかりです
2024年4月から、不登校の高校生が自宅などで遠隔授業を受けて単位を取れる仕組みができました。令和6年度の調査結果を受けた文部科学省の通知(2026年10月1日確認)は、その初めての実施状況をこう書いています。
全日制・定時制課程における不登校生徒のうち、遠隔授業を実施した生徒数は2,172人、うち単位修得者は1,405人、通信教育を実施した生徒数は416人、うち単位修得者は287人
不登校の高校生67,782人のうち、遠隔授業を受けたのは2,172人、およそ3%です。制度はあっても、使えている学校と生徒はまだ少ないということです。実施するかどうかは学校長の判断なので、在籍校に「この仕組みを使っているか」を聞いてみる価値はあります。対象になる生徒の範囲と、保健室や別室から受ける場合の話は保健室登校と単位の記事に書きました。
もし今、親御さん自身が「自分のせいかもしれない」と苦しくなっているなら、「不登校は親のせい」と責められている方へを先に読んでいただいたほうがいいと思います。
どんな道がありますか?
残る、学校の中で形を変える、休学する、転校する、高卒認定を使う。 大きく5つです。どれを選ぶかで、卒業の時期とお金、戻れる場所が変わります。
| 道 | どういう選択か | 詳しく書いた記事 |
|---|---|---|
| 今の学校に残る | 欠課の上限と補習・追試で単位を確保する | 保健室登校と単位の記事 |
| 学校の中で形を変える | 保健室・別室・遠隔授業で単位を取る | 保健室登校と単位の記事 |
| 休学する | 籍を残して休む。期限と支援金の手続きに注意 | 高校の休学の記事 |
| 転校する | 通信制・定時制などへ、単位を持って移る | 高校の転校の記事・通信制への転入の期限 |
| 高卒認定を使う | 大学などの受験資格を得る。最終学歴は高卒にならない | 高卒認定試験の難易度の記事 |
辞めるかどうかで迷っている段階なら、高校を辞めたいと思ったときの選択肢から読むと整理しやすいと思います。留年が見えてきたなら高校留年の記事です。
どの道でも共通するのは、退学届は最後に出すことです。先に退学すると、転校(転入学)ではなく編入学の扱いになり、選べる時期が減ることがあります。
通信制に進んだ私の場合
私は中学で不登校になり、通信制高校に進みました。入ってすぐに何かが変わったわけではありません。
回復は一直線ではなく、学校、バイト、日常の外出という、きっかけの連鎖でした。通信制に移れば解決する、とは書けません。ただ、私には、月に数回だけ登校する形がちょうどよかった、ということは言えます。
通信制が合うかどうかを確かめるには、パンフレットを取り寄せて、登校の頻度とサポートの中身を比べてみるのが早いと思います。請求しても入学を決めたことにはならず、まず中身を見るだけで構いません。私がN高等学校の資料を実際に請求して届いたものを記録した記事もあります。
まとめ
高校生の不登校は、6万7千人の中の1人です。高校には単位と期限があるぶん、早めに「数字」と「道」を知っておくことが、本人の選択肢を守ることになります。
- 高校生の不登校は令和6年度で67,782人、1,000人に23.3人。定時制では在籍者の20.3%
- 中学生と比べると、「生活リズムの不調」「入学・進級時の不適応」「該当なし」が多く、「不安・抑うつ」は少なく出ています
- その年度のうちに、半分(50.1%)は登校できるようになり、15.6%は中途退学に至っています
- 43.4%は専門的な相談・指導を受けていません。ただしその多くは教職員とのつながりが残っています
- 道は、残る・形を変える・休学・転校・高卒認定の5つ。どれでも退学届は最後です
- 親にできるのは、無理強いではなく、欠課・単位・支援金・受け入れ時期の数字を持っておくことだと思います