N高等学校という名前は知っていても、「実際どういう学校なのか」を一言で説明できる人は多くないと思います。ネットの高校らしい、生徒がすごく多いらしい、KADOKAWAが関係しているらしい——断片だけが集まっている状態で検索された方が多いはずです。

私自身も通信制高校の出身です。といってもN高ではなく、紙のレポートを郵送していたころの別の学校でした。いまは自分の店で現役のN高生を4人雇っていて、シフトの合間に学校の話を聞いています。

学校の説明そのものは、公式サイトを読めば書いてあります。この記事で書きたいのは、公式が出している情報と、N高生と毎日顔を合わせている側から見えていることを、並べて置くことです。どんな人が通っているのか。「底辺校では」「ヤバいのでは」という言葉はどこから来ているのか。そこまで含めて、最初の地図になるようにしました。

学費・入試・スクーリングといった一つひとつのテーマは、それぞれ専用の記事に詳しく書いてあるので、気になったところから読み進められます。

長い記事なので、検索の多い3つの疑問には先に短く答えておきます。

  • 「底辺校」なのですか? —— この言葉は入試の難易度で高校を並べる物差しから出てきますが、学力試験で合否を決めないN高はその物差しに載っていません。代わりに見るべき数字は本文に挙げます
  • 「ヤバい」って本当ですか? —— 「ヤバい」は否定にも感嘆にも使われていて、否定側の中身は4つにほどけます。あるのは欠陥ではなく「合う・合わないの分かれ目」です
  • どんな人が行くのですか? —— うちの店のN高生4人は、全日制も選べる中で選んで入っています。行けなくなって選ぶ入り方も同じくらい普通にあり、この両方が混ざっているのが実態です

N高等学校とは?

N高等学校とは、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する、単位制・通信制課程(広域)の高等学校です。 ネットを使った学習を軸に、年に数日のスクーリング(登校授業)とテストを組み合わせて単位を積み上げ、卒業すれば全日制とまったく同じ高校卒業資格が得られます。

ポイントは3つあります。

  • 正式な高校です。 公式サイトには「学校教育法第一条に定められた高等学校」と明記されています。塾でも予備校でもサポート校でもありません
  • 「広域」の通信制です。 3つ以上の都道府県から生徒を受け入れられる認可を持つため、どこに住んでいても出願できます
  • 学び方を選べます。 ネット中心でほとんど通わない形から、週5日キャンパスに通う形まで、同じ学校の中に幅があります

通信制高校そのものの仕組み——レポート・スクーリング・試験で単位を取るという基本設計や、全日制・定時制との違いを先に知りたい方は、通信制高校とは?仕組みと全日制との違いを卒業生が解説を読んでいただくと、この先の話がつながりやすくなります。この記事は「通信制一般」ではなく「N高という個別の学校」に絞って書いていきます。

N高等学校には、どんな人が行くのですか?

「学校に行けなくなった子が行くところ」というイメージで検索される方が多いのですが、実際に通っている子を見ていると、それは一面でしかありません。 私の店で働く4人は、全日制も他の通信制も選べる状況で、自分でN高を選んでいます。

まず制度の面から確認します。N高の入学は4月・7月・10月・1月の年4回で、高校からの転入・編入も受け入れています。中学を卒業してすぐの生徒だけでなく、いったん別の高校に進んでから進路を変えた生徒も、同じ学校に入ってきます。入口が1つではないので、在籍している生徒の背景には最初から幅があります。

部活に入っていない2人も、学校生活は楽しいと言っています。順番としては、部活に入るかどうかの前に、学校生活が成り立っているということだと受け取っています。

4人という数は、統計として何かを言える規模ではありません。私の店という、かなり限られた範囲の話です。それでも、やりたいことがあるから通学の量を減らすという選び方が実際にある、ということは言えます。進路の行き場がなくて流れ着いた場所、という前提だけは、少なくとも彼らには当てはまりません。

逆に言うと、この4人のように「やりたいことがあって選んだ」子だけの学校でもありません。学校に行けなくなって、消去法に近い形で通信制を選ぶ入り方も、同じくらい普通にあります。私自身がそうでした。行きたい気持ちと行きたくない気持ちの間で、親がすすめてくれた通信制を選んだだけで、入学の時点で夢や目標があったわけではありません。どちらの入り方でも、入ってしまえば同じ生徒です。 やりたいことが入学後に見つかった例は、あとの章の親族の子がそうでした。

参考までに、私自身が通っていた学校の話も置いておきます。N高ではない、別の通信制高校の、20年ほど前の話です。

いまのN高は、当時の私の学校とは形がまったく違います。それでも共通しているのは、同じ年齢・同じ生活リズムの人だけが集まる場所ではないということです。

20年前の通信制と、いまのN高生の両方を見てきて思うのは、あまり人と関わりたくない人にも、関わりたい人にも、どちらにも成立する環境になっているということです。ネットで完結させることもできるし、キャンパスに週5日通うこともできる。この幅の広さが、そのまま「どんな人が行くのか」の答えになっていると思います。

在校生本人の声は、N高等学校の評判は実際どう?働いている在校生4人に聞いてみたにまとめました。

N高等学校は「底辺校」なのでしょうか?

「底辺校」という言葉は、入試の合格難易度で高校を上から下に並べる見方から出てきます。N高は学力試験の点数で合否を決める入試をしていないため、そもそもその物差しの上に載っていません。 公表されている数字を見るかぎり、教育の中身が薄い学校という評価は当てはまらないと思います。

N高について調べていると、「底辺校では」という言い方と、「優秀校では」という見方の両方に出会います。正反対に見えますが、どちらも高校は一列に並んでいるという同じ前提に立っています。そして偏差値という数字がないと、その列のどこに置けばいいかがわからない。わからないものが、いつのまにか「低い」に読み替えられる——「底辺校」という語が出てくる背景は、たぶんここだと思います。

偏差値が存在しない理由そのものはN高等学校に偏差値がない理由は?入試の仕組みと学力の実態に書きました。ここでは、代わりに何を見ればいいかを数字で置いておきます。

項目公表されている数字
進路決定率94.24%(2026年3月卒業生/前年94.97%)
国公立大学の合格者数205名(2026年)
東京大学・京都大学合わせて6名(東大3名・京大3名/2026年)
海外大学の合格者数379名(2026年)
卒業率98%(2022年度に1・2年次で入学し3年次を迎えた生徒/2025年3月末時点)

(出典:学校法人角川ドワンゴ学園のニュースリリース(2026年7月9日公開)、N高グループ公式サイト「大学合格実績」(国内大学は2026年5月19日時点、海外大学は2026年6月3日時点)、公式パンフレット「学校案内」2026年版。いずれも2026年9月7日確認)

海外大学の379名について、公式は全国の高等学校のなかで第1位としています(インターエデュ・ドットコム「2026年 海外大学 合格者ランキング」2026年7月9日時点。未回答および非公表の学校は対象外、という注記つきです)。

入口で学力の選抜をしない以上、在籍する生徒の学力の幅は広くなります。これは仕組みから来る話で、良し悪しではありません。だからこそ、平均像を探しても答えは出ないとも言えます。見るべきは入口の難易度ではなく、卒業要件と、続けられる仕組みが自分の子に合っているかどうかだと思います。

面接をしていて感じるのは、これは学力の話ではなく人と話してきた場数の話だということです。用意してきた答えは言えても、その場のやりとりになると言葉が出にくい子はいます。ただ、それは慣れの問題で、働き始めてしばらく経つと気にならなくなります。

「底辺校かどうか」という問いに、雇う側の私が答えられることがあるとすれば、この程度のことです。少なくとも、学校名から仕事の出来を予想できたことは一度もありません

「N高はヤバい」「欠点は?」と言われるのはなぜですか?

「ヤバい」は否定にも感嘆にも使われる言葉で、検索の背景も二手に分かれています。 否定側の中身をほどくと、たいてい次の4つに整理できます。

言われていること短い答え
自己管理できないと続かないのではそういう面は実際にあります。ただし「通学の量」は同じ学校の中で選び直せます
学費が高いのではネットコースの実質負担額は年73,000円〜。金額が大きくなるのは通学コースを足したときで、これは上乗せの構造です
友達ができないのでは店の子に聞くかぎり、友達はいます。ただし「できるまでに時間がかかる」というのが実態に近いようです
進学・就職で不利では卒業資格は全日制と同じで、進路決定率は94.24%です。場面によっては説明が必要になりますが、制度上の不利はありません

4つそれぞれを事実で検証したものがN高等学校は「やめとけ」と言われるのはなぜ?卒業生が4つの理由を検証です。この記事では短い答えだけ置いておきます。

感嘆側の「ヤバい」は、生徒会に配分される予算の規模や、投資部・起業部といった部活の顔ぶれを知った人が使っている印象です。同じ言葉が正反対の意味で流通しているので、検索結果を読むときは、どちらの意味で書かれた記事なのかを先に見分けると混乱が減ります。

N高の欠点はどこですか?

私が正直に思う欠点は3つです。

  1. 自由度は、自動的には助けにならない。 時間割がないということは、時間割の代わりを自分で用意する必要があるということでもあります
  2. 学費の構造がわかりにくい。 ネットコースの金額だけを見て予算を立てると、通学コースを足したときに見込み違いが起きます
  3. 人間関係が、自動的には始まらない。 毎日同じ教室に座っていれば勝手に生まれるものが、ここにはありません

3つめについては、在校生から聞いた話がいちばん正確だと思うので、そのまま書きます。

つまり「友達ができない学校」ではなく、友達ができるまでの時間が全日制より長く、きっかけが行事のほうに寄っている学校だと理解するのが近いと思います。欠点ではありますが、対策のはっきりしている欠点でもあります。

勉強の負担についても書いておきます。4人に難易度を聞いたときの答えは「大変だけど、なんとかなるレベル」でした。楽勝でも地獄でもないこの中間の答えが、いまのところいちばん実態に近い表現だと思っています。

N高等学校はどうやって生まれた学校ですか?

出版のKADOKAWAと、ニコニコ動画などを手がけるドワンゴが共同で設立した学校法人が母体です。 2つの会社が経営統合したのちに設立された学校法人角川ドワンゴ学園が、2016年4月にN高等学校を開校しました。

本校を沖縄県うるま市の伊計島に置いているのは、通信制高校の認可に「本校」という拠点が制度上必要だからです。日々の学習はネットとキャンパスで行い、本校は主に2年次の宿泊型スクーリングの舞台になります。

生徒数の伸び方は、この学校の性格をよく表しています。公式パンフレット「学校案内」(2026年版)に掲載されている推移です。

時点在籍生徒数
2016年4月(開校時)1,482名
2019年5月10,367名
2022年5月22,166名
2025年3月32,613名
2026年3月末36,371名

10年で24倍です。ここまで増えた学校は、良くも悪くも「まだ評価が定まりきっていない」状態でもあります。だからこそ、口コミの印象ではなく公表されている数字と仕組みで見ていく価値があると思います。この増え方の中身は、N高の生徒数で出どころから確かめています。

入学から卒業までの流れは?

大きく分けると、出願・ネット学習・スクーリング・テスト・卒業の5段階です。 全体像を先に図にします。

  1. 出願・入学

    入学は4月・7月・10月・1月の年4回。Web出願で、コースにより書類選考または筆記試験・面接

  2. ネット学習

    学習アプリZEN Studyで映像授業を視聴し、レポートを提出する。日々の中心はここ

  3. スクーリング

    決められた日数だけ登校して授業を受ける。2年次は本校での宿泊型

  4. テスト

    期末に指定会場で単位認定試験。基準点に届かない科目は追加課題で挽回する

  5. 卒業

    在籍3年以上・74単位以上・特別活動30単位時間以上などを満たすと高校卒業

公式のよくある質問には、卒業に必要な条件として「在籍年数3年以上」「必履修科目をすべて履修」「修得単位数74単位以上」「特別活動の必要時間数」「学費および諸費用の納入」の5つが挙げられています(2026年8月8日確認)。

ここで押さえておきたいのは、単位はレポート・スクーリング・テストの3つがそろって初めて認められるという点です。「映像授業を見ただけ」でも「登校しただけ」でも単位にはなりません。全日制の「授業に出ていれば単位が来る」感覚とは、この一点が大きく違います。

入学月が年4回ある点も、全日制にはない特徴です。体調や状況が整った時点で入り直せる設計になっています。

N高には、どんなコースがありますか?

通学の頻度が違う4つのコースがあり、ネットコースが全員に共通する土台になっています。 公式サイトの記載を整理すると次のとおりです。

コース通学頻度特徴(公式サイトの説明より)
ネットコースなし(時間割なし)好きな時間にネットで学習。余った時間を打ち込みたいことに使える
週5コース週5日メンターのサポートを受けながら、友だちと一緒に学べる
週3コース週3日同上。通学と自分の時間のバランスを取りやすい
週1+コース週1日自分のペースを守りつつ、学習進捗のサポートを受けられる

(出典:N高グループ公式サイト「コース紹介」 2026年8月8日確認)

なかでもネットコースは、学費・スクーリング日数・1日の過ごし方まで具体的に知りたいという方が多い部分です。公式パンフレットに載っている在校生の1日を含めて、N高等学校のネットコースとは?にまとめました。

週5・週3・週1+の3コースは、通学先をリアルキャンパス(全国100カ所以上)とオンラインキャンパス(Zoomを使って自宅から参加)のどちらかから選べます。「通いたいけれど近くにキャンパスがない」「外出そのものに負担がある」という場合に、オンラインキャンパスという中間の選択肢が用意されているわけです。

N高等学校の学費はいくらですか?

ネットコースの実質負担額は年額73,000円から、通学コースを追加する場合は別途年額483,000円からです。 公式サイトに掲載されている金額を挙げます。

項目金額
ネットコース(実質負担額のモデル)年額 73,000円〜
通学コースを追加(週3オンラインキャンパスの例)別途 年額 483,000円〜
上記を合わせた合計年額 556,000円〜
単位制・通信制課程の3年間モデル(普通科・先引きあり)199,000円

(金額の出典:N高グループ公式サイト「高等学校等就学支援金および支給見込額の先引きについて」/2026年8月8日に確認)

「先引き」というのは、本来あとから支給される高等学校等就学支援金の見込額を、学校があらかじめ学費から差し引いてくれる仕組みのことです。これが使えるかどうかで、入学時に用意する現金が大きく変わります。

金額の内訳、先引きが使えない要件、世帯年収による違い、3年間のシミュレーションはN高等学校の学費はいくら?コース別の実質負担額をFP2級が整理しましたにまとめました。2026年の制度改正で負担がどう変わるかはN高の学費は無償化でどうなる?2026年改正後の実質負担額で扱っています。

N高の学校生活はどんな感じですか?

日々はネット学習が中心で、そこに年数日のスクーリングと、期末のテスト、任意参加の行事や部活動が乗る形です。 主要な要素を順に、要点だけ挙げていきます。

レポート

学習アプリ「ZEN Study」で映像授業を視聴し、教科ごとの課題を提出します。公式パンフレット(2026年版)によると、用意されている授業数は15,668本(うち8,700本以上がVR学習に対応)とのことです。

期日までに全部提出することが単位認定の条件になっているので、つまずくとしたら、まずここです。提出が遅れたときにどうなるか、どう挽回するかはN高のレポートが間に合わなかったらどうなる?今夜からの挽回手順に書きました。

スクーリング

公式のよくある質問によると、標準履修の場合、1・3年次は年7〜8日間程度、2年次は8〜10日間程度(期末のテストを含む)です。2年次には在籍する本校での宿泊型スクーリングがあり、N高生は沖縄伊計本校へ向かいます。

日数・会場・費用の詳細はN高のスクーリングは年何日?会場一覧・沖縄伊計本校・費用まで解説に、当日の準備はN高スクーリングの持ち物リスト|全国拠点と本校(宿泊)別にまとめています。

テスト(単位認定試験)

期末に、指定された全国各地の会場で受けます。公式パンフレット(2026年版)には、学園が用意したタブレットを使う試験で、合格基準点は30点、届かない場合は自宅で追加の課題を受験する、と説明されています。基準を満たすまで繰り返し受験する仕組みなので、一度の失敗が即・単位不可にはなりません。詳しくはN高の単位認定試験とは?内容・難易度・落ちたときの流れへ。

制服・校則

制服の購入も着用も任意です。公式のよくある質問には、身なりに関する校則がないことも記載されています。デザインはコシノジュンコ氏によるもの。実際にどのくらいの生徒が着ているのかは、在校生に直接聞いた結果をN高の制服は買うべき?値段・購入方法・実際の着用率を在校生に聞いたに書きました。

部活動・課外活動

ネット上で活動する部活が用意されており、公式パンフレット(2026年版)によると部員数は7,916名(2023年3月時点・N中等部生を含む延べ人数)。生徒会に年間1,000万円の予算が配分されている点や、投資部・起業部・eスポーツ部といった特徴的な部があることも記載されています。参加はいずれも任意です。

入試・出願はどうなっていますか?

コースによって選考方法が違い、ネットコースは書類選考のみです。 公式サイトの記載を整理します。

コース選抜方法費用
ネットコース書類選考(必要に応じて面接)入学検定料 5,000円
週5・週3・週1+(オンラインキャンパス)書類選考入学検定料 5,000円+受験料
週5・週3・週1+(リアルキャンパス)書類選考+筆記試験+面接(グループワークを含む)入学検定料 5,000円+受験料 15,000円

(出典:N高グループ公式サイト「入学試験について」入学案内 2026年8月8日確認)

筆記試験は35分、面接はグループワークを含めて20分程度で、現地受験とオンライン受験を選べると記載されています。出願はWeb出願で、N高・S高・R高のうち1校を選んで登録します。登録後に志望校を変更できない点は、出願前に知っておきたいところです。

学力試験の点数で輪切りにする入試ではないため、模試会社が算出する偏差値という数字も存在しません。その理由と仕組みはN高等学校に偏差値がない理由は?入試の仕組みと学力の実態に、不合格になる要因と出願前の準備はN高等学校の受験に落ちることはある?不合格になる要因と出願前の準備にまとめました。

卒業後の進路はどうなっていますか?

直近で公表されているのは、2026年3月に卒業した生徒の進路決定率94.24%です(前年は94.97%)。ただしこの手の数字は、分母と時点を確認しないと意味が変わってしまうので、そこも合わせて示します。

(出典:学校法人角川ドワンゴ学園「海外大学合格が379名で全国1位。東大・京大へ6名が合格。」 2026年7月9日公開・2026年9月7日確認)

進路の内訳まで数字で公表されているのは、ひとつ前の学年です。公式パンフレット「学校案内」(2026年版)によると、2024年度の卒業生の進路決定率は95.04%で、これは卒業生9,687名を分母とし、2025年4月30日時点で集計したものでした。内訳は次のとおりです。

進路割合
大学等進学45.54%
専門学校ほか22.14%
就職10.28%
アルバイト等8.41%
浪人8.08%
進路未定4.84%
留学・その他0.70%

公式のニュースリリースには、この大学等進学45.54%のうち、系列のZEN大学への進学者1,408名を除くと30.02%になる、という説明も添えられています。学園が自ら内訳を開示している点は、数字を読むうえで公正な扱いだと思います。

大学の合格実績も公表されていますが、それは「底辺校なのか」という問いと切り離せないので、記事の前半「N高等学校は『底辺校』なのでしょうか?」の章にまとめてあります。

通信制高校からの就職について、卒業生として、そしていま人を採用する側としての実感は通信制高校から就職はできる?卒業して社会に出た私の実体験に書きました。

N高・S高・R高はどういう関係ですか?

運営法人も学費も学ぶ内容も同じで、違うのは本校スクーリングの会場だけです。 公式サイトには「N高、S高、R高の主な違いは3年に1度の本校スクーリング会場のみ。学費や学びの内容に違いはありません」と明記されています(2026年8月8日確認)。

本校の所在地開校
N高等学校沖縄県うるま市(沖縄伊計本校)2016年4月
S高等学校茨城県つくば市(茨城つくば本校)2021年4月
R高等学校群馬県桐生市(群馬桐生本校)2025年4月

キャンパスも部活も授業も3校で共有されているので、選ぶべきは、在学中に一度行くことになる本校の場所です。

3校の比較はN高・S高・R高の違いは?学費とスクーリングを比較表で解説に、各校の詳細はS高等学校とは?正式名称・N高との違い・つくば本校まで公式情報で解説R高等学校とは?正式名称・学費・群馬桐生本校を解説にまとめています。

N高が向いている人・向いていない可能性がある人

学び方の自由度が高いぶん、「自由が助けになる人」と「自由が負担になる人」で結果が分かれます。 正直に両方書きます。

「やめとけ」と言われる理由を検証したN高等学校は「やめとけ」と言われるのはなぜ?卒業生が4つの理由を検証、実際に通っている子の声を集めたN高等学校の評判は実際どう?働いている在校生4人に聞いてみたも、判断材料として合わせて読んでいただけたらと思います。

よくある質問

N高の制服は「ダサい」と検索されているようですが、実際はどうですか?
デザインはコシノジュンコ氏によるもので、購入も着用も任意です。判断の前に知っておきたいのは、そもそも着ている生徒がそれほど多くないということでした。在校生に聞いたところ「クラスで制服を着ているのは3人」という答えが返ってきています。値段・購入方法・着用率はN高の制服は買うべき?値段・購入方法・実際の着用率を在校生に聞いたにまとめました。

N高の本校はどこにありますか?
沖縄県うるま市与那城伊計(沖縄伊計本校)です。日々の学習はネットとキャンパスで行い、本校へ行くのは原則として2年次の宿泊型スクーリングのときだけです。S高は茨城県つくば市、R高は群馬県桐生市に本校があります。

N高を卒業すると「高卒」扱いになりますか?
なります。学校教育法第一条に定められた高等学校なので、卒業資格は全日制と同じ「高等学校卒業」です。履歴書の学歴欄も「N高等学校 卒業」と書けば足り、通信制であることをわざわざ添える決まりはありません。この点を気にされている方には「N高等学校は恥ずかしい?」と検索したあなたへも書いています。

N高は誰でも入れますか?
選考はあります。ネットコースとオンラインキャンパスは書類選考(必要に応じて面接)、リアルキャンパスは筆記試験と面接があります。学力で輪切りにする入試ではありませんが、選考がある以上、不合格の可能性がゼロというわけではありません。

「N高」の「N」には何か意味がありますか?
公式サイトおよび公式パンフレット(2026年版)では、「N」の由来についての説明を確認できませんでした(2026年8月8日確認)。ネット上にはNet・New・Next・Necessaryなどの解釈が流通していますが、公式が発表したものとしては確認できていません。

N高の退学率はどのくらいですか?
退学率は公表されていません。 公式サイト・公式パンフレット(2026年版)のいずれにも、退学率に関する記載を確認できませんでした(2026年8月8日確認)。近い数字としては、公式パンフレットのよくある質問に卒業率98%(2022年度に1・2年次で入学し3年次を迎えて卒業した生徒の割合/2025年3月末時点)が掲載されています。これは在学し続けた生徒を母集団とした割合なので、途中で在籍をやめた生徒を含む数字ではない点に注意が必要です。

N高生はアルバイトできますか?
できます。公式のよくある質問に、法で定められた範囲内でアルバイトや各種免許の取得が可能と記載されています。うちの店で働く4人の様子はN高生4人と働いてわかったこと|通信制の子を雇う店長の記録に書きました。

まとめ

N高等学校について、公式情報と、N高生を雇っている側から見えていることを並べて整理しました。

  • N高等学校とは、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する単位制・通信制課程(広域)の高等学校。2016年4月開校、本校は沖縄県うるま市
  • 卒業資格は全日制と同じ「高等学校卒業」。学校教育法第一条に定められた高等学校です
  • 単位はレポート・スクーリング・テストの3つで積み上げ、74単位以上などの要件を満たすと卒業。入学は年4回
  • コースはネット/週5/週3/週1+の4種類。通学コースはネットコースの学費に上乗せされる二段構え
  • 学費はネットコース年額73,000円〜、3年間モデルで199,000円(先引き適用時)
  • 2026年3月卒業生の進路決定率は94.24%(前年94.97%)。内訳まで公表されているのは2024年度卒業生(分母9,687名)の95.04%
  • 「底辺校」という物差しの上に、この学校は載っていない。入試で学力を測っていないため。見るべきは入口の難易度ではなく、卒業要件と続けられる仕組み
  • N高・S高・R高の違いは本校スクーリングの会場のみ

こうして並べてみると、N高を検討するときに残る変数はそう多くありません。「どのコースにするか」「本校スクーリングの行き先をどう受け止めるか」「自由度の高い学び方が本人に合うか」——だいたいこの3つです。

そして、私の店で働く4人を見ていて思うのは、この学校を選ぶ理由は「行けなくなったから」だけではないということです。やりたいことがあって選ぶ子も、行けなくなって選ぶ子も、入ってしまえば同じ卒業要件を積み上げるだけです。

そして3つめの「本人に合うか」だけは、資料を読んだだけでは答えが出ません。本人と一緒に写真を見て、「これならやれそう?」と聞いてみるところからだと思います。資料請求をすると紙の資料が届く前に電子パンフレットを見られるので、この記事で触れた数字も実際の誌面で確かめられます。実際に請求してみた記録はN高に資料請求してみた|届くまでの日数・パンフレットの中身・勧誘の有無にまとめました。

私自身が進路を決めたときも、家の中で話が具体的になったのは、親が取り寄せた資料が届いてからでした。そのときのことは中学で不登校だった私が、通信制高校を選んで社会に出るまでに、親の立場から何ができるかは不登校の子の進路、親にできることに書いています。N高以外も含めて比べたい方は、通信制高校の選び方|後悔しないための7つのチェックポイントからどうぞ。